「自然にかえすため」に、金魚すくいの金魚をトイレにドボン → 炎上 下水道局「生き物を流さないで」
下水道に生き物が流れてしまったらどうなるのかを取材しました。
金魚すくいですくってきた金魚を、「自然にかえすため」に生きたままトイレに流す――という動画がTwitterで拡散し、物議を醸しています。
問題となっているのは、7月26日にTwitterへと投稿された24秒の動画。洋式トイレの便器の中を黒い金魚2匹、赤い金魚1匹が泳いでいるなか、投稿主が水洗ボタンを押し、水流が発生。黒い金魚は流れにあらがおうとしますが2匹とも流されていき、赤い金魚だけが辛うじて取り残される様子が写っています。
投稿主はこの動画を「金魚すくいですくってきた金魚を自然に帰してあげることにした」「強く生きるんだよ」というコメント付きでツイート。動画は瞬く間に拡散し、「こんな奴にすくわれた金魚可哀想」「トイレに生き物は流しちゃダメって、子供でも分かってる事なのに」「なんで金魚掬いをしたんだろうね 」「便器の中で金魚飼う人世の中にいるんですね」など批判的なコメントが相次いでいます。
こうした意見について投稿主は「トイレは池に直結している 命を粗末にするわけない」と反論。さらに炎上しています。
生き物をトイレに流したらどうなってしまうのか……東京都下水道局に聞いた
今回のツイートについて問題視されているのは、“生き物をトイレに流す”という行為。ねとらぼ編集部は東京都下水道局に対し、下水処理の仕組みや、生き物を流したことで今後考えられるリスクなどを聞きました。
まず下水道法上における「下水」の定義は「生活もしくは事業(耕作の事業を除く)に起因し、もしくは付随する廃水(以下、汚水という)又は雨水をいう」と定められており、一般的には生活排水などを汚水と呼んでいます。そのうえで担当者は、「(下水道法では)生き物を流すということを想定していない」と回答。
通常、トイレや流しを通った汚水(生活排水)は、家庭内やマンションなどの排水設備を通り、公共下水道に流れ、最終的に水再生センター(下水道処理場)で処理された後に、海や川へ流れますが、その道のりは非常に長く、また公共下水道などが詰まることを防ぐために、途中にはスクリーンと呼ばれる巨大な網などが設置されていることなどから、金魚を含む異物は「ゴミとして取り除かれてしまう可能性が高い」とのこと。
また下水には家庭や工場からの排水などが混ざっていることから、通常の河川に比べると水質は非常に悪いということで、担当者は「(下水の中を)生き物が住める環境かといわれると疑問」と話しました。
以上のことから担当者は、「トイレに流した生き物は水再生センター(下水道処理場)に送られてしまいます。下水はとても生物が生きられるような環境ではありませんし、排水設備や公共下水道や水再生センター(下水道処理場)の設備を詰まらせる原因となるので、絶対に生き物を流さないでください」と語りました。
倫理的な観点からも問題視されている今回の動画ツイート。映画などでは同様のシチュエーションを演出した作品もありますが、それはあくまでもフィクションです。生き物をトイレや流しに流すのは絶対にやめましょう。
画像の一部は編集部で加工しています。
(Kikka)
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