「乱入するか?」「うしろで見てる方が好き」 2人めの少女参戦 「ハイスコアガール」4話 (1/2 ページ)

ハルオ、モテ期のはじまり。

» 2018年08月04日 01時00分 公開
[たまごまごねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

ハイスコアガール (C)Rensuke Oshikiri/SQUARE ENIX

 ゲーセンで燃やした青春があった。ゲーセンで育った恋があった。格ゲーが盛り上がっていた90年代を舞台に、少年少女の成長を描くジュブナイル「ハイスコアガール」(原作アニメは、当時を経験していた人も、そうではないゲーム好きも、そしてかつて子どもだった全ての大人が、共感できる悩みをたくさん練り込んだ作品です。

 今回から中学生編。新たな恋が始まります。


ハイスコアガール

ゲームやるのに忙しい時代

 アニメ3話(原作1巻)で大野晶がロスに引っ越してしまい、離れ離れになってしまった矢口春雄(ハルオ)。それからしばらくたち、93年末。ハルオ、中学2年生。

 91年の「ストII」ショックからしばらく経ち、93年から94年は新たな格ゲーが爆発的に生まれたカンブリア紀でした。

 「ストII」は「スーパーストリートファイターII」になり、キャラが追加されグラフィックも一新。同じカプコンからは「ヴァンパイア」が登場、滑らかな動きがファンを魅了しました。SNKは「餓狼伝説スペシャル」「龍虎の拳2」「サムライスピリッツ」「KOF'94」を発売し、超快進撃。多くのお店にMVS筐体(ゲームが複数本入っていて、選んで遊べる)が並びました。

 一方でセガは3DCGの格闘ゲーム「バーチャファイター」を稼働させます。ゲームでポリゴンの人間キャラを動かす発想がほぼなかった時代なだけに、ゲーマーの間に衝撃が走りました。最初期はワンプレイ200円のところもありました。

 そんな時代の中に生きていたら、ゲームバカのハルオが夢中になるのも無理はない。小遣いはたいてのめりこんでも、損だと思ってはいないはず。時代の転換点に立ち会っているのだもの、興奮しかない。


画像 大丈夫なの? という気持ちと、うらやましい気持ちと(2巻P7)

 そんなハルオを見つめる1人の少女。同じクラスの日高小春。さほど目立つ方ではない、真面目な商店の娘。黙々と勉強を続ける日々を送る、無趣味な子です。

 ハルオの自由奔放さを見て、ぼんやり考える。「気ままでいいなぁ…」「受験なのに焦りはないのかな…」

 生真面目すぎた小春は、本人いわく「遊びの才能が無い」。親は優しいし、店の外に設置したゲームで遊ばないかと声をかけるくらいおおらか。でも彼女には、あらゆることに対して興味や関心が湧きません。


画像 なにが「いいなぁ」か、この時点では本人も理解できてない「いいなぁ」(2巻P10)

 小春がハルオを気にしだしたのは、最初は自分と真逆の、全力で楽しそうにしている姿を見たからです。自分は心が動かない、羽ばたけない、全力で遊べない。誰にも縛られていないのに。なのにハルオは、勉強はからっきしだけども、人生を心の底から楽しんでいる。何が違うんだろう?

 周りの人と「楽しい」を合わせられない彼女は、1人で過ごす時間を好み続けていたはずでした。

初めての体験

 93年くらいになると、ゲーセンにはゲーマーが押し寄せてきており、いわゆる「不良のたまり場」ではなくなってきていました。けどそんなことは当然一般的には知られていないわけで、「行ってはいけない盛り場」感覚の人も多かったと思います。小春はそっち側の人間でした。

 雨の日に、駄菓子屋にたまたま来たハルオと小春。小春にとってはじめての駄菓子屋です。ハルオは負けず嫌いですが、ゲームの布教については非常に熱心。ここでは駄菓子屋のゲーム機に自分のお金を入れて、小春にプレイさせます。当然小春は初プレイ。


画像 よりによってザンギを選ぶ初心者(2巻P21)

 小春だって、やりたかったわけではない。しかしこれが、小春のゲーム初体験です。実は小春は、類まれなるゲームセンスの持ち主。よくわかっていなくても、感覚的にも動かせる天才型の少女。彼女の才能は今後大きな影響を及ぼしていきます。

 とはいえ現時点の初ゲーム体験では、小春からしたらやっぱり「遊び」です。なのになぜハルオは、ゲームのために全てを投げ出す勢いで夢中になれるんだろう。自分は彼のように、心から何かに打ち込んできたものはあるんだろうか……?


画像 芽生えたね…!(2巻P26)

 自分の家である商店の軒に、ゲーム機が置かれていることを伝えた所、自分がしないような笑顔でハルオは喜びました。毎日通うと大ハッスルです。

 小春「…あれ? なんで私…ちょっと浮かれてんだろ…」

 小学校時代、大野がつらい現実から必死に逃れようとしていたところに、逃げていいんだ、とハルオが手を差し伸べてくれました。

 小春も今、似たような状況にあります。大野ほどきつい世界には住んでいないけれども、凝り固まった自分の心の中に、全力で楽しそうにしているハルオが潜り込んできて、解放してくれた。

 彼のまっすぐで正直な楽しむ姿勢に、いろいろなキャラが惹かれていきます。どんなことにせよ、熱中している人間って魅力的なものだ。

あるクリスマスの夜

 友達とのクリスマス会の日。小春は今まで行こうとしなかったようです。本当にこの子は、長い間ワクワクに出会ったことがなかったんだ、と考えるとちょっと寂しい。

 そんな彼女、ハルオがクリスマス会に行くのを聞いて、参加を決意。めちゃくちゃ意識しています。

 小春はハルオと違い、自分や相手の気持ちにはかなり敏感な方です。彼といると楽しくなる自分がいること、わかっているのでしょう。ハルオは結局、自分の欲望のままに、クリスマス会に行かず小春の家の前のゲームをやることにしました。

 みんなとワイワイやるクリスマスに楽しさを感じなかった小春。ハルオが楽しそうに遊んでいるのを後ろから見守ることを即決。全力で楽しむハルオといることで、心に何かが芽生えそうで、ワクワクしている自分に気づいている。


画像 見てるだけで、楽しい。あいつが楽しそうだから(2巻P47)

 寒空の下、立ってゲームしている2人。変な雰囲気だけれども、小春の口には笑顔が浮かんでいます。あまり笑わず感情をほとんど出さなかった、小春が。

 まだこの段階では、小春も「恋」には至っていない様子。そもそもハルオが何者か、よくわかっていない(原作通りなら、彼女がハルオを理解する様子は次回描かれるはず)。ゲーム自体も彼女はまだ、一回しかプレイしておらず、魅力を知りません。

 小春が探し求めているのは、まずは自分の心の解放です。ハルオといたらそれができるかもしれない、趣味で楽しむ生活が手に入るかもしれない。

 楽しそうなハルオといるのが、楽しい。ゲームありきでハルオに近づいた大野の逆で、ハルオありきで彼女はゲーム世界に引き込まれていきます。

 すごくときめく展開ですが、今後の大野VS小春がこの時点でもう見えてしまうつらさたるや。まずは小春の恋の目覚めを見届けよう。


       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた