輸送は人力、飛ばすまでが一苦労! 琵琶湖のほとりで「鳥人間コンテスト」の舞台裏を見てきた(4/5 ページ)
実は先端技術の塊、人力プロペラ機
前述のように今大会ではノーコンテストになってしまったものの、「28日のうちに飛べる機体は飛ばしてしまおう」ということで、会場内では人力プロペラ機も飛行の準備をしていた。また、実際にはエントリーした12機のうち4機は飛行している。そんな準備中の機体が会場のあちこちに駐機されており、いくつか関係者にお話を伺うことができた。
強烈に目立っていたのが電気通信大学 U.E.C. wingsの機体。2015年の鳥人間コンテストでデビューした、あの萌えキャラ“らごぱすたん”が大きく描かれたプロペラ機である。「らごぱす」は雷鳥を意味するLagopusという単語からついた名前。以前電気通信大学が鳥人間コンテストに出場した時に使っていた「雷鳥」というチーム名が由来なのだ。
しかし、らごぱすたんだけが見どころではない。見せてもらったコクピットの操縦桿にはなにやらジョイスティックが。聞けば、このスティックで水平垂直の尾翼を動かし、機体のヨーとピッチ(※)を操作できるとのこと。その尾翼の角度変更は、機体後端に取り付けられたサーボモーターを介して行うのである。
※ヨー:垂直方向を軸とした回転 ピッチ:左右方向を軸とした回転
てっきり、人力飛行機の操作は昔ながらのケーブルや滑車を使った方式で行うものだと思っていたのだが、立派なフライ・バイ・ワイヤ(※)じゃないですか!
※ケーブルや油圧など機械式の制御ではなく、電線を介した電気信号とブラックボックスを使って動翼を制御する方式
8年ぶりの出場となる静岡大学の機体は、人力飛行機としては珍しいコクピットの下に主翼がある低翼型。10年以上前からこの形での飛行に挑戦し続け、ノウハウを蓄積している。低翼の機体は安定性に劣るため、翼端に上向きの角度をつけたという機体だ。
今年の目玉は機体全体に施された迷彩塗装。ピクセルパターンの迷彩で、琵琶湖の湖面に溶け込む……という予定だった。設計の参考にしたのは米軍の無人機であるグローバルホーク。29mという主翼は実際の無人機を見て参考にした。
設計を担当した米澤さんによると、低翼なのは地面翼効果を見込んでのこと。「地面翼効果が人力飛行機に影響をどれだけ及ぼすのかまだちゃんと分からないんですけど、それがあるかないかが証明されるまでは低翼機を続けたい」と語る。
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