輸送は人力、飛ばすまでが一苦労! 琵琶湖のほとりで「鳥人間コンテスト」の舞台裏を見てきた(4/5 ページ)

» 2018年08月29日 12時00分 公開
[しげるねとらぼ]

実は先端技術の塊、人力プロペラ機

 前述のように今大会ではノーコンテストになってしまったものの、「28日のうちに飛べる機体は飛ばしてしまおう」ということで、会場内では人力プロペラ機も飛行の準備をしていた。また、実際にはエントリーした12機のうち4機は飛行している。そんな準備中の機体が会場のあちこちに駐機されており、いくつか関係者にお話を伺うことができた。

 強烈に目立っていたのが電気通信大学 U.E.C. wingsの機体。2015年の鳥人間コンテストでデビューした、あの萌えキャラ“らごぱすたん”が大きく描かれたプロペラ機である。「らごぱす」は雷鳥を意味するLagopusという単語からついた名前。以前電気通信大学が鳥人間コンテストに出場した時に使っていた「雷鳥」というチーム名が由来なのだ。


主翼に大きく描かれたらごぱすたん。そういえばこのキャラ、なんかTwitterで見た記憶があるな……
プロペラもチームTシャツも全部らごぱすたん仕様。この時点で「今日は電気通信大学を応援しよう」と強く思った

 しかし、らごぱすたんだけが見どころではない。見せてもらったコクピットの操縦桿にはなにやらジョイスティックが。聞けば、このスティックで水平垂直の尾翼を動かし、機体のヨーとピッチ(※)を操作できるとのこと。その尾翼の角度変更は、機体後端に取り付けられたサーボモーターを介して行うのである。

※ヨー:垂直方向を軸とした回転 ピッチ:左右方向を軸とした回転

 てっきり、人力飛行機の操作は昔ながらのケーブルや滑車を使った方式で行うものだと思っていたのだが、立派なフライ・バイ・ワイヤ(※)じゃないですか!

※ケーブルや油圧など機械式の制御ではなく、電線を介した電気信号とブラックボックスを使って動翼を制御する方式


サドルの両脇に取り付けられているのが操縦装置。グリップの上端にはジョイスティックが見える。スティック単体とコントローラーの前側にあるボタンを組み合わせることで、細かく機体の挙動を制御できる
胴体後端に取り付けられているサーボモーターと、尾翼を動かすためのギア。周りのアルミホイルは日よけを兼ねた養生用の素材

 8年ぶりの出場となる静岡大学の機体は、人力飛行機としては珍しいコクピットの下に主翼がある低翼型。10年以上前からこの形での飛行に挑戦し続け、ノウハウを蓄積している。低翼の機体は安定性に劣るため、翼端に上向きの角度をつけたという機体だ。

 今年の目玉は機体全体に施された迷彩塗装。ピクセルパターンの迷彩で、琵琶湖の湖面に溶け込む……という予定だった。設計の参考にしたのは米軍の無人機であるグローバルホーク。29mという主翼は実際の無人機を見て参考にした。

 設計を担当した米澤さんによると、低翼なのは地面翼効果を見込んでのこと。「地面翼効果が人力飛行機に影響をどれだけ及ぼすのかまだちゃんと分からないんですけど、それがあるかないかが証明されるまでは低翼機を続けたい」と語る。


珍しい低翼機でエントリーした静岡大学。低翼の機体はプラットフォームに持ち上げるのも大変である
垂直尾翼には米空軍風のコードレターが。「SU」は静岡大学、「AC」が飛行機部を表し、「18」は2018年の機体であること、「11」は飛行機部としては11機目の機体であることを意味している
設計を担当した、大学三年生の米澤さん。見ての通り、本人もピクセル迷彩のTシャツを着用という徹底ぶりである

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