世界一臭いニシンの缶詰「シュールストレミング」空輸の梱包が厳戒態勢すぎる 輸入業者に苦労話を聞いた

一歩間違えばバイオテロ。

» 2018年10月02日 19時35分 公開
[福田瑠千代ねとらぼ]
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 「世界一臭い食べ物」ともいわれる「シュールストレミング」。スウェーデンの伝統的なニシンの缶詰※ですが、その空輸のための梱包が厳戒態勢すぎて完全に危険物の取り扱いのようだとTwitterを騒がせています。

※加熱殺菌していないため厳密には「缶詰」ではなく「缶入り食品」などと呼ばれる。


世界一臭いニシンの缶詰「シュールストレミング」空輸の梱包が厳戒態勢すぎる 「バイオテロ対策」「そもそも空輸できたの?」と驚きの声 いかにもヤバイものが入ってそう


 シュールストレミングといえば、焼いたくさやの6倍以上ものにおいを発するやばい食べ物。販売サイトでも、周辺に被害を与えないため、水の中や迷惑のかからない屋外での開缶を勧めているほどです。

 それだけに輸送にも相当な苦労があるようで、シュールストレミングの輸入販売を行う三幸貿易は公式Twitter上で輸入時の梱包状態を公開。梱包の上には危険物を指し示す「危」のラベルが貼られ、密閉された容器からは物々しさが伝わってきます。さらに輸送中は航空規制液体として、国連により定められた危険物取り扱いルール「国連番号」の下で管理。梱包を開くまではとても食品が入っているとは思えない姿で運ばれてきていました。

世界一臭いニシンの缶詰「シュールストレミング」空輸の梱包が厳戒態勢すぎる 「バイオテロ対策」「そもそも空輸できたの?」と驚きの声

世界一臭いニシンの缶詰「シュールストレミング」空輸の梱包が厳戒態勢すぎる 「バイオテロ対策」「そもそも空輸できたの?」と驚きの声

 輸入には相当な苦労があるようなので、その辺りを三幸貿易の担当者に聞いてみました。


「そもそも毒劇物や爆発物用の規格」

――輸入にあたり特に苦労した点をお聞かせください。

担当者:最大の障壁は輸送コーディネートです。航空便はそもそも、ほとんどの航空会社が禁止していますし、海上便となるとかなり長い陸路、あるいは水路を使って大きな港へ運び、そこで他の貨物と一緒に冷蔵コンテナ(リーファー)に積み合わせをしてもらう事になります。ですがそもそも冷蔵の積み合わせをしている所が少ない上に、高価なグルメ食材との積み合わせは嫌がられます。さらに危険物用の特殊梱包や煩雑な手続きがある為、最初に問い合わせた5社は全て断られました。

――おお……。

担当者:もう1つは輸入自由化していない商品なので、輸入許可を取得する必要があった事です。対象の商品かどうか税番号を確定してもらうために税関でチェックしてもらうのですが、皆さん開けたくないので、なかなか話が進みませんでした。

――過去に輸送中爆発するなどの事故はありましたか?

担当者:私は10年間、扱っていますが自然爆発は起きたことがありません。昔、缶の製造技術が低かった時は、スーパーの棚で自然爆発という大災害が頻発したそうですが、今のシュールストレミングの缶は通常よりも分厚い上に、内圧を逃がせるように蛇腹状の構造になっています。このため爆発は起きません。たぶん。

――航空規制液体「国連番号3334」とは一般的にどういうものに使われるものですか?

担当者:航空規制液体とは、国連が定めた国際標準の約3000種類ある危険物の中の液体にあたります。かなり細分化されている中で3334というのは極めて珍しいらしく、他に該当する商品は今の所、見たことがありません。そもそも、毒劇物や爆発物用の規格なので食品に使用されるのは食品輸入商社の私達も、シュールストレミングでしか見ない物です。

――普段はどんなお客さんが買われていきますか?

担当者:特に目立つのは研究職の方々です。アカデミックな興味をお持ちの方が多いと思われます。

――三幸貿易の社員さんたちもよく食されて……?

担当者:シュールストレミングは私達にとって毎日、晩ごはんには欠かせない存在です……と、言いたい所ですが、食べた後は数日間地獄の臭いに苦しむので食べません。臭いが無くて、塩気がもう少し抑えられれば、たまに食べても良いのですが。



 シュールストレミングをスウェーデンの田舎にある工場から直接買い付けているという三幸貿易。特殊な輸入方法のため運賃と関税が「恐ろしく高い」とツイートしている通り、現地で約600円で売られているものが、日本での販売価格は5000円ほど。価格だけ見ると高い気がしましたが、輸入経緯を聞くと妥当な気がしてきます。


世界一臭いニシンの缶詰「シュールストレミング」空輸の梱包が厳戒態勢すぎる 「バイオテロ対策」「そもそも空輸できたの?」と驚きの声 この見た目

 Twitterでは迫力ある梱包の様子に「航空でなんておそろしやー」「爆発するとバイオテロになる」「食品だけど機内持ち込み禁止の最凶クラスの危険物」などなど、そのアグレッシブな輸入姿勢に恐れおののく感想が相次ぎました。怖いけど、一度くらいは食べてみたいかも。

取材協力/画像提供:三幸貿易(@SANKO_TRADING

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2410/05/news022.jpg 「クレオパトラみたい」と言われ傷ついた55歳女性→カット&パーマで大変身! 「本当にびっくり」「素敵なマダムに」
  2. /nl/articles/2410/05/news040.jpg 伝説の不倫ドラマ「金曜日の妻たちへ」放送から41年、キャストの現在→75歳近影が「とても見えません」と話題
  3. /nl/articles/2410/02/news116.jpg 余りがちなクリアファイル、“じゃないほう”の使い方で食器棚がまさかのスッキリ 「目からウロコ」「思いつかなかった!」と反響
  4. /nl/articles/2410/05/news023.jpg 七五三で刀を持っていた少年→20年後には…… “まさかの進化”に「好きなもの突き進んでかっこいい!」
  5. /nl/articles/2410/05/news018.jpg 野良猫が窓越しに「保護してください」と圧をかけ続け…… ひしひし感じる強い意志と表情に「かわいすぎるw」「視線がすごい」
  6. /nl/articles/2410/05/news012.jpg 「あのお客さんに幸あれっ!」 小銭の出し方が完璧な“神客”にレジ店員感激 会計がスムーズになる配慮が参考になる
  7. /nl/articles/2410/04/news048.jpg 「こういうの好き」 割れたコップの破片を並べたら…… “まさかの発想”で息を飲むアート作品に 「すごいセンス良い」「前向きな考え」
  8. /nl/articles/2410/04/news040.jpg 50代女性「モンチッチみたいにしてほしい」→美容師がプロのワザを見せ…… 別人級の変身に「めっちゃお洒落」「すごい!」
  9. /nl/articles/2410/04/news025.jpg 「これが免許証の写真???」 コスプレイヤーが公開した“信じられない”免許証が話題 コスプレ姿との比較に「両方とも可愛いすぎる」
  10. /nl/articles/2410/05/news032.jpg 大型犬が18年間、ドアを開け続けた結果……そうはならんやろな驚きの末路に「どうしたらこんな風になるのよ」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. ネットで大絶賛「ブラウニー」にカビ発生 業務スーパーに7万箱出荷…… 運営会社が謝罪
  2. 「全く動けません」清水良太郎がフェスで救急搬送 事故動画で原因が明らかに「独りパイルドライバー」「これは本当に危ない!!」
  3. トラックがあおり運転し車線をふさいで停車…… SNSで拡散の動画、運転手の所属会社が謝罪
  4. 「ヤヴァすぎる!!」黒木啓司、超高級外車の納車を報告 新車価格は5000万円超 2023年にはフェラーリを2台購入
  5. そうはならんやろ “ドクロの絵”を芸術的に描いたら…… “まさかのオチ”に「傑作」の声【海外】
  6. 「ウソだろ?」 ハードオフに3万円で売っていた“衝撃の商品”に思わず二度見 「ヤバいことになってる」
  7. 「結局こういう弁当が一番旨い」 夫が妻に作った弁当に「最強すぎる!」「絶対美味しいビジュアル」
  8. “メンバー全員の契約違反”をライブ後に発表 異例の脱退騒動背景を公式が釈明「繋がり行為などではなく」
  9. 「言われる感覚全く分からない」 宮崎麗果、“第5子抱いた服装”に非難飛び……夫・黒木啓司は「俺が言われてるのかな?」
  10. 大沢たかお、広大プールを独り泳ぐ“バキバキ姿”が絵になり過ぎ 盛り上がる筋肉の上半身に「50代とは思えない」「彫刻みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. “緑の枝付きどんぐり”をうっかり持ち帰ると、ある日…… とんでもない目にあう前に注意「危ないところだった」
  2. 「しまむら」に行った58歳父→買ってきたTシャツが“まさかのデザイン”で3万いいね! 「同じ年だから気持ちわかる」「欲しい!」
  3. 友人に「100円でもいらない」と酷評されたビーズ作家、再会して言われたのは…… 批判を糧にした作品が「もはや芸術品」と490万再生
  4. 高校3年生で出会った2人が、15年後…… 世界中が感動した姿に「泣いてしまった」「幸せを分けてくださりありがとう」【タイ】
  5. 「ま、まじか!!」 68歳島田紳助、驚きの最新姿 上地雄輔が2ショット公開 「確実に若返ってる」とネット衝撃
  6. 荒れ放題の庭を、3年間ひたすら草刈りし続けたら…… 感動のビフォーアフターに「劇的に変わってる」「素晴らしい」
  7. 食べた桃の種を土に植え、4年育てたら…… 想像を超える成長→果実を大収穫する様子に「感動しました」「素晴らしい記録」
  8. 「天才!」 人気料理研究家による“目玉焼きの作り方”が目からウロコ 今すぐ試したいライフハックに「初めて知りました!」
  9. 「エグいもん売られてた」 ホビーオフに1万1000円で売られていた“まさかの商品”に「めちゃくちゃ欲しい」
  10. 義母「お米を送りました」→思わず二度見な“手紙”に11万いいね 「憧れる」「こういう大人になりたい」と感嘆の声