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» 2019年04月18日 20時00分 公開

浪費家のFPが断言「オタ活しながらでも貯められる」! 『一生楽しく浪費するためのお金の話』は“欲張り”なオタク女子の背中を押す (1/2)

『一生楽しく浪費するためのお金の話』を出張掲載。

[芦屋こみね,ねとらぼ]

 世のマネー本は、大体が「趣味にかけるお金はカットしろ」「生活の○○%までに抑えて」とレクチャーしてくる。「それができれば苦労しないんだよ!!」という一言に尽きる。私たちのようなオタク女子にとって、「趣味」と「生活」は切り離せないし、趣味にお金を注げない人生は切ない。

 節約術や、いかに家計を切り詰めるかというテクニックを書かないマネー本が発売された。もぐもぐ・ひらりさ・かん・ユッケの4人組オタク女子「劇団雌猫」と、ファイナンシャルプランナー篠田尚子がタッグを組んだ『一生楽しく浪費するためのお金の話』だ。テーマはズバリ「浪費し続けるためにお金を学ぶ」。

 本書の姿勢は、「浪費を必要経費として受け入れる」「浪費しながら貯蓄を作れるよう考える」というもの。篠田先生は「使う人は貯められる」と語り、オタク女子たちの「浪費」を全面的に受け止め、浪費をしながら将来に備えられる方法を具体的に教えてくれる。“こちら側”の気持ちをわかっている仕様だ。

一生浪費本

 そもそも、ファイナンシャルアドバイスをする篠田先生自身、「メジャーリーグにハマっている」という浪費女子。「こういうタイプもいるんです(笑)。金融の仕事をしていますが、根っからの現場主義で浪費家。プロ野球観戦、ライブ・フェス・コンサート参戦、舞台観劇を何よりの生きがいにしています!」という、心強い自己紹介が飛んでくる。

 聞き手役の劇団雌猫の4人は、それぞれお金の知識がバラバラで、推しジャンルも違う浪費女子。ちなみにこの記事を書いている私も、遠征先で推しにお金を使いすぎて一文無し寸前になった経験がある。「推し」に浪費する気持ちも、「推し」のために金銭感覚がなくなる気持ちも、痛いほどわかる。だからこそ、浪費家のファイナンシャルプランナーがいるなら、わかりやすくお金について学べるかも? という期待が湧いてくるし、劇団雌猫の相づちや疑問に一緒になってうなずく。

 篠田先生のアドバイスは、とにかく簡潔でわかりやすい。

 「同年代の平均貯金額が気になる→はっきり言って、気にするだけ無駄

 「とにかく貯金ができません→引き出せない積み立て用口座に天引き貯金して!」

 「何から手を付ければいいのかわからない→最初は見切り発車でも、天引き貯金、NISAなど、何か始めてみては?」

 ……など、次々と浪費女子の質問に答える。今まで「絶対貯金なんて無理!」と思っていた筆者だが、「これなら私でも貯められるかも?」と思えてきた。

一生浪費するために”お金”を学ぶ

 「推し」を追いかけるオタクには、現実と向き合う強さがある。浪費を続けるためには、浪費できるだけの金銭管理をしていなければならない。世の人々は、何かきっかけがあってお金と向き合うものだ。子どもが生まれて向き合う人もいるし、1人で生きていく自分を守るため向き合う人もいる。それと同じように、本書で紹介されたオタクたちは「浪費し続けたい!」という原動力でお金と向き合おうとする。

 「お金」は生活の全てに密接に関わってくる、生きる限り避けられないテーマだ。お金があれば万事うまくいくわけではないが、お金がないとできないこと、お金で解決できることは多々ある。もちろんオタク活動もそのひとつで、お金がなければチケットは手に入れられないし、グッズも買えない。今あるお金以上に浪費したいのであれば、収入を増やしたり、他の出費を削ったり、工夫をするしかない。

 その「浪費するためには金銭管理が不可欠なんだ」という気付きそのものが、お金と向き合うきっかけだ。何かに浪費する熱量がなければ、お金と向き合うタイミングはもっと先になったはずだ。もしかすると、一生お金と向き合うことなく、ずっと張りのない日々を過ごした可能性もある。篠田先生が「使う人は貯められる」と語っていたのは、まさにこのことなのではないか。

 使う目的や目標があるほど、人は頑張れる。これは金銭管理に限らず、生活に関わる全てのことについて言える。「推しのためなら」という根性が、本書で紹介されたオタクたちには備わっている。私もそんな“先輩”たちの背中を見て、「浪費し続けたい」という願望と「これからに備えたい」という願望を両方かなえたい。

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