ねとらぼ編集部員の怪談「不自然なホテル」(1/2 ページ)
ねとらぼ編集部員が出張先で出会った恐怖体験についてインタビューしました。
ねとらぼ真夏の怖い話特集、第5夜はねとらぼ編集部員の怪談「不自然なホテル」です。
出張から帰ってくるなり「これ、特集のネタになりませんか」と声をかけてくれた編集部員Tさんに、心霊体験の一部始終をインタビューしました。
出張先にて
7月に●●へ出張したんですけど、夏休み期間に入っていることもあって、新しいホテルとか旅館が軒並み埋まってたんですよ。
テーマパークに近いホテルはみんな埋まってて、でもテーマパークの近くにしかホテルがなくて。で、ちょっと離れたところにある有名な温泉がいいね、ということで行ったんです。ぎりぎりで取ったので、新館じゃなくて旧館に泊まる割安プランだったんだけど、もう寝るだけだからさ、いいじゃんって言って、2人で泊まったんですよ。同行者と私で。
――はい。
このあたりでは一番の老舗って言われてるところだったの。で、素泊まりなんでね、着いた瞬間に貸切風呂借りて。露天風呂入って。寝るぞって(部屋に)帰ったんですよ。
――それは何時ぐらい?
着いたのが7時で、9時とかかな。けっこう遊んでたのね、お風呂で(笑)。お風呂貸し切ってたから。お風呂入って、遊んで、布団も自分たちで敷いて、クーラーもテレビも消して、「よし寝るぞ」って2人で寝てたんですよ。
――どういう部屋ですか? 普通のよくある感じの?
よくあるというかね……(図を描く)左側が玄関で、右側が窓ですね。窓の前が板の間。ここに机とか椅子があって座れると。で、板の間の奥になぜかお風呂があるんですよ。シャワーね。
――ん……? シャワーのところ、ふつうは冷蔵庫ですよね?
そうなんだよ。ところがね、冷蔵庫は玄関にあるんだよね。
――なぜ……?
何かよくわからないけどこういう変な造りだったんですよね。玄関側に押し入れとトイレ。で、居間のテレビを見たいから、こういう風に(ふとんを)並べて寝たんですよ。
――Tさんはどっちに寝ていたんですか。
こっちが……ここ私。窓側だった。テレビを見ながら、こっち(頭側)に荷物とか置きながら。寝ていたんですよ。で、寝たのが、そうね、11時には寝たんですよ。
――何泊されたんでしたっけ。
1泊です。で、地方だから見たことない番組ばっかりで、すぐ寝ちゃったんですよ。そしたら、12時ぐらいに、1回めの異音。
――異音。どういう音……?
それが、1回目の音っていうのは、足音。
――上から?
上の階から。でもけっこう部屋が隣接してたんで、子どもさんの声とかも聞こえてたんですよ。まあちょっと騒がしかったけどね、11時ぐらいまでわーーっとなっていたけど。「まあまあいいじゃない」と思って。で、最初は足音だったんですよ。
――これ何階なんですか?
これがね、12階です。
――ほう。それで上にも部屋があると。
……と思ってたんですよ。
――はあ……?
……で、足音が鳴り始めたんですね。これがパタパタ音なんですけど。
――子どもの軽い音ですね。
このパタパタ音がね、こちら(窓側)からこちら(玄関側)に向かって走る音なんですよ。1回ジャンプして、パタパタって。これ最初は1人だったんです。この段階では。ところがこの後、30分おきぐらいにパタパタ音が止まらなくなるんです。
――30分おきっていうのは、すぐに止まるんですか。
止まる止まる。行き切ったら帰ってはこないし、そのあと鳴らない。で、このパタパタが2人になりはじめました。ドン、パタパタ、ドン、パタパタ、みたいな、追いかけっこしてる感じだったの。
――へえ……。
で、やっぱり上がはしゃいでるんだなと思ってたんだけど。もうこの間隔が狭くなっていって、(0時)40、(0時)50分みたいな感じで、パタパタが続くんですよ。すごい走るの。
でもまあ夏休みだし、まあまあまあまあ、気にしなきゃいいや、と思ってふとんかぶって寝てたの。そしたら今度バイーン、バイーンって音が始まったの。
――バイーン……?
1時15分ぐらい。「バイーン」音。今度異音が「バイーン」に変わりました。
――どういう音ですか。楽器みたいな感じ?
あのね、なんて言ったらいいかな……金属製のものさしをこう(曲げて手を離すジェスチャーをする)やったらバイーンって鳴るじゃん。
――バネみたいな、しなる音?
そう。しなる音がするんですよ。で、バイーンは明らかにシャワールームから聞こえるんですよ。
それで、ここで私もいいかげん起きて、古いホテルだから設備的な、水回りの何かかと思ったんですよ。見に行ったんですよ、シャワーのほうに。そしたら全く何の異常もないんですね。
なんだけど、こっからもう引き続きまして、バイーンとパタパタが。続きまくって、AM3時50分とかかな。いや3時半か。時間見てたんですよ、私。どれぐらいの間隔で来るのか。
バイーンは大きくなっていくし、パタパタは3人まで増えたの。これはおかしいねって思ったんだけど、一緒に行った人は寝てたので、まあ言わなきゃいいかと。場所も場所だし古いし、何かあるのかもしれない、ぐらいで信じていませんでした。まだ。
――はい。
そしたらAM3時50分。今までは個別だったんです。バイーンとかパタパタは。だったんですけど、3時50分になった瞬間にまず「バイーン!」って鳴りました。で、その後「バタバタバタバタバタバタ!」って、今までにない走り方で早かった。で「え!」と思った。これ電気をつけたりすると音が止まるんですよ。
で、待ってたんですよ、こっちも録画してやろうと思って。でも携帯構えて待ってても、全然何も起きないのね。
――足音の人数は変わってないですか。
3人です。そしたらここにあった窓が、まず「カタ」っていいました。窓が。カタって。カタっていったなあとは思った。見た。そしたら、カタ……ガタガタガタガタガタガタガタ! って、外から思いっきり開けようとしてる。しかもそれが子どもとかじゃなくて、マジで蹴破って入ってくるぐらいの音。
――危機じゃないですか。
そう。これがね、風で鳴ってる音じゃないの。鍵がぶつかって鳴ってるカタカタなんですよ。私は普通に泥棒だと思いました。で、さすがにこのタイミングで(同行者を)起こします。「起きて!」と。3時50分、同行者も起床。「やばいやばいやばい! 入ってくる!」って言ったから、同行者は意味がわからなくて「何? どうしたの? 寝ぼけてるの?」って。でも同行者は強いから、窓を開けに行ったんだよね。
――はあ……。
で、ばっと開けて、開けたらバルコニーがあるだけで何もなかったみたいで。隣を見ても「隣、泊まってないよね」って言って。
ああ、そうなんだ、隣いると思ってたよね、って言って。すごいんだよ、って音の話をしました。そしたらちょっと笑ってました、同行者は。で、まあおかしいよねと言ってたんですけど、まあまあまあまあ寝よ、って言って、AM4時に消灯しました。
そしたら、消した瞬間に「バイーン」っていうんですよ。で、鳴った瞬間に「ほら」って言ったら、すごく怖くなった同行者がフロントに電話したんですよ。出ません。めちゃくちゃかけました。出ました。
番頭さんみたいな人が出てきて、「どうされましたか」と。「音がすごくて、上の方がすごい暴れてるみたいで。お酒とか飲んでるのかわかんないんですけど、ちょっと言ってもらえないですか」と言いました。そしたらその人はこう言いました。「お客さま、(お客さまが)お泊まりの部屋は最上階ですよ」って。
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