青春18きっぷ、悲しい失敗の記録　肉と鉄道と身延山ロープウェイ「身延線・御殿場線」編：月刊乗り鉄話題（2019年10月版）（2/4 ページ）

» 2019年10月11日 10時30分公開

[杉山淳一，ねとらぼ]

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山北駅　SLとロマンスカーと揚げたてフライ

　山北駅で降りました。山北駅も信越本線の横川駅と同様、峠の区間の入口です。

山北駅に到着

　西へ向かう列車は山北駅で機関車を増結します。かつては蒸気機関車に水や石炭を供給する役目もありました。山北という町そのものが、山北駅で働く大勢の鉄道員のために作られたと言って良いと思います。

　しかし今は蒸気機関車もなく、ましてや本線でもなく。山北は無人駅となっています。町おこしのNPO法人がきっぷ販売を受託しているとのことです。

　山北駅の北側に鉄道公園があります。ここに、かつてこの地で活躍した「D52形蒸気機関車」が保存展示されています。以前、訪れたときは置いてあるだけでした。しかし2016年にレールを約12メートル延長し、圧搾空気による駆動が実現しました。2019年10月現在も月に1回ほど、動く姿を披露しています。そして、もっとレールを延ばす検討をしているとのことです。

　写真を撮っていたら、御殿場線を青い列車が通り抜けました。小田急線から直通するロマンスカー「ふじさん号」でした。

　山北駅に戻る途中、商店街のお肉屋さんが開いていました。鶏ササミと豚レバーのフライを買いました。今回の旅、最初の肉です。おいしい。コーラに合います。お酒が飲める人ならビールですね。

商店街を通り、途中から線路際の道へ。シャレたカフェがある

圧縮空気で動態化された「D52」。以前訪れたときより線路が少し伸びていた

炭水車を眺めていたら、「ロマンスカーMSE」が通過。新宿行き「ふじさん」号だ

　山北駅から沼津駅へ向かう列車は少し遅れていました。反対方向の列車の遅れです。単線ですから、列車が遅れると、逆方向の列車にも影響があります。遅れが遅れを呼び……となるわけです。沼津駅には4分遅れで到着しました。

　乗り継ぎは大丈夫。次は10時52分発です。ところがこの電車も8分遅れていました。原因は東海道本線掛川駅での人身事故です。なるほど、御殿場線の電車の遅れの理由もこれだった。御殿場線の列車が、東海道本線の遅れた列車からの乗り継ぎ客を待ったようです。

　沼津駅には「桃中軒」という老舗の駅弁屋さんがあります。しかしこの日は「肉系」の駅弁がなかった。残念。

　8分遅れの列車に乗ります。あれ、予定では富士駅に11時10分着。次に乗り換える身延線の電車は11時14分発。これが8分遅れの到着だと間に合いません。身延線の電車は待っていてくれるでしょうか。

　結果は残念。待っていてくれませんでした。仕方ないですね。身延線も単線です。遅れを放置すると、他の列車もどんどん遅れていきます。ある程度の見極めが必要です。

山北駅の駅前にある「山北町ふるさと交流センター」には、2階に「山北町鉄道資料館」がある。開館時間が12時～16時なので今回は時間が合わず立ち入れなかったが、一部の資料は外側に展示されていた

開店したばかりの街のお肉屋さんで買った「ささみカツ」と「豚レバーカツ」がおいしかった。コーラのお供にサイコーです

ちょっと見えにくいけれど、トンネルの左側に古いトンネルがある。複線時代の名残

富士宮でお待ちかねの「富士宮やきそば」を喰らう　これが後の過ちだとは知らずに……（泣）

　幸いにも次の列車は11時38分発の西富士宮行きでした。待ち時間は約20分。ローカル線の乗り継ぎ時間としては良いほうです。それを見越して、身延線の通常ダイヤを維持したようです。なるほどね。確認したわけではないけど、それならば納得。モヤモヤしても旅は楽しくならないですね。

東海道本線を西へ。今度は身延線に乗る

身延線は富士と甲府を結ぶ88.4キロのローカル線。富士川に沿って南北方向に建設された

　身延線の車窓は岳南鉄道（関連記事）に似て製糸関連工場が多いです。

　富士宮駅の到着は11時58分。お昼です。「富士宮やきそば」を食べましょう。富士宮やきそば提供店は富士宮市中心部だけでも約80店舗もあります。以前は富士宮駅改札口の向かいの店「麺'sステーション」で食べました。今回は富士宮やきそば学会の直営アンテナショップにします。場所は駅から徒歩8分の「お宮横丁」です。

富士宮駅に到着。さあ富士宮やきそばだ!!

　「お宮横丁」は富士宮本宮浅間大社の向かいにあります。まずは浅間大社に参拝。富士山の湧水の池を見物しました。当初の予定では11時32分着、12時33分発でした。しかし遅れて着いた結果、次の身延方面は14時37分発でした。2時間半もある。ゆっくりしましょう。……この判断が過ちだと気付いたのはずっと後です。

お宮横丁の向かいに富士山本宮浅間大社がある

富士山の湧水池。富士登山する人が身を清めたという

　富士宮やきそばの特徴は、事前に麺をゆでないこと。製麺後に蒸すだけ。コシの強い麺です。炒め油はラード、具材は地元の高原キャベツとラードを絞った後の肉かす。そこに出し粉というイワシの削り粉を振りかけます。これが基本です。

　富士宮やきそば学会直営アンテナショップの焼きそばは基本に忠実。麺のコシがかなり強く、いままで食べた富士宮やきそばと違いました。製麺屋さんの違いかもしれません。富士宮やきそばの専用麺は、富士宮市内の4つの製麺屋さんしか作っていないそうです。

お宮横丁は期待以上に楽しいところだった

富士宮やきそば学会のアンテナショップ。ほかに天むす、ギョーザ、しぞーかおでん、豚の溶岩焼、ジェラートなどの店がある

　お宮横丁は開放的なフードコートです。富士宮やきそば学会の他にも焼きそば提供店があります。一周りして「しぞーかおでん」「富士宮餃子」、伏流水で作った「しょうゆ団子」を買いました。

　しぞーかおでん（静岡おでん）はこんにゃく含めてどの具材も味が染みています。黒はんぺんは煮込むと魚の匂いがなくなりますね。魚介が苦手な私でも食べられました。富士宮餃子は富士山の形。富士宮やきそばを食べ終わると、お皿には富士山の絵。凝ってます。テーブルが並ぶ場所の中央に富士山の伏流水が引かれています。お店で紙コップを受け取って飲み放題です。