インタビュー
» 2020年04月06日 20時00分 公開

「教員は生徒のために自腹を切るのが当たり前」では“平等な公教育”が実現できない? 現役中学教員インタビュー (1/2)

学校行事や部活では教員の持ち出し(自腹を切ること)が常態化している、といいます。

[ねとらぼ]

 公立中学の現役教員に「日々働くなかで感じる学校の課題」を語ってもらう連載企画。今回は「教員が身銭を切ることの“公教育上の問題点”」などについて、Aさん(仮名)にインタビュー。学校行事や部活では教員の持ち出し(自腹を切ること)が常態化している一方、「教育の質に差が出てしまうため、平等性が保てない」という問題もあるといいます。

教員の自腹に頼る学校運営では、“平等な公教育”が実現できない?



―― 以前のインタビューの話になるけど、「『学校はタダ』だと思う保護者、その裏側で自腹を切る先生」という記事にはさまざまな反応があったね

 学校行事などにかかる費用を教員が自腹で賄っている実態について、例えば「行事に合唱コンクールが組み込まれているけど、学校の機材は壊れていて使えない → 教員がキーボードやCDプレイヤーを自費で購入している場合がある」という話をしたね。

 ネット上だと「うちの担任はそんなこと一言も言わなかった」という声もあったなあ……。いや、俺だって自分の生徒には「また、自腹切るハメになったよー」なんて言わないけども(笑)。

―― 生徒や保護者には見えにくいところかもしれないね

 この自腹の問題については、もう1つ言いたいことがある。

 公教育と聞くと「制度的に保証されていて、全員一律で同じものが与えられる」という感じがするけど、教員の自腹を認めてしまうと、それが崩れてしまうんだよね。

―― どうして?

 自腹というのは自分のお金を使うものだから、切るも切らないも教員の自由。「生徒のためならいくらでも」という先生もいれば、渋る先生もいる。

 例えば、卒業のときに生徒全員に記念品をプレゼントする人もいれば、そういうことをしない人もいるんだよね。

―― “財源”が教員のお金である以上、やるかやらないかが各教員の気持ち次第になってしまうわけだ

 さらに言うと、経済的な事情も人それぞれ。仮にもらっている給与が同じでも、仕事のために使えるお金は同じとは限らない。

―― 『こち亀』の中川圭一みたいに、公務員として働いているけど、実は大金持ちで……とか?

 それは漫画の世界だけどね(笑)。リアルなところでいうと「独身、実家暮らしで家賃や生活費があまりかからない」とか。給与のほぼ全額を生徒のために使っても構わない、という人すらいるよ。

―― 熱心な先生だねえ

 でも、例えば、友達とレストランに行ったとする。同じものを注文したのに「作ったシェフが違うから」と友達の方が豪華な料理が出てきたら、理不尽じゃない? 学校ではそういうことがちょくちょく起こってるんだよね。

もしも生徒から「Amazonプライムの会員費と同額」の学級費が得られれば



 それから「教員の自腹に頼らざるを得ない状況なら、学級費をもっと取ればいいのに」みたいなコメントもあったから、考えてみたんだけど。個人的には、もしも“学級費として各生徒から6000円ずつもらえる”ようになったら、状況が改善されるかもなあ、と思った。

―― 月に6000円?

 いや、年だよ。年に6000円。月換算すると500円だね。要は、「プライム・ビデオ」とかが利用できるAmazonプライムの会員費くらい。

―― プランにもよるけど、金額はだいたいそんな感じだね。Netflixよりちょっと安い

Amazon公式サイトによると、Amazonプライムの会費は月額プランが500円、年間プランが4900円、Netflixはベーシックプランが月額800円。

 以前のインタビューでも話したけど、今の学級費は年間で数千円程度。月に直すと数百円にしかならないから、ティッシュ、ビニール袋あたりを買ったら使い切ってしまう。

 1人あたり500円といっても、1クラスにはけっこう人数がいるからさ。30人のクラスだと、1年間で18万円集まる。それだけあれば、学校の設備などがいろいろ整えられるようになると思うんだよね。合唱コンクールの練習で使うキーボードが壊れていても、1万円くらいあれば新調できるし。

―― 本当にやるなら「それは学級費でカバーすべき部分なのか」といった議論も必要かもだけど……取りあえずそれくらいのお金があれば、教員が自腹を切らないといけないような状況は改善されそうだ、と

 念のために言っておくけど、月500円というのはかなり適当に言っている金額。半額の月250円でもかなり助かる。

―― その計算でも、年間数千円だったものが9万円まで増えるからねえ

(続く)

※本企画は、現役教員の声をそのまま記事化したものです。実際の労働環境などは自治体、学校などによって異なる可能性があります。

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