「ひのとり」デビューで引退へ さよなら往年の新スナックカー「近鉄12200系」を追う(3/3 ページ)

» 2020年03月10日 15時30分 公開
[新田浩之ねとらぼ]
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ほんの30分ほどの乗車なのに、目まぐるしく変わる大阪線の車窓もいい

 大阪上本町駅から大和八木駅までは特急で約30分の行程ですが、風景は目まぐるしく変わります。大阪上本町〜布施間は複々線で、ひっきりなしに電車が通り過ぎます。途中の鶴橋駅でJR大阪環状線と大阪メトロ千日前線に接続します。

photo 大阪上本町〜布施間はひっきりなしに電車とすれ違う

 近鉄八尾駅を通り過ぎたあたりから、大阪府と奈良県の県境となる生駒山地が見えてきます。12200系はひたすら高架線を走り、次々と駅を通過します。

 鉄道ファンならば高安駅に注目しましょう。高安駅の近くには近鉄の高安検車区があります。特急車をはじめとする多くの近鉄電車が休んでいます。

photo 近鉄八尾駅あたりから生駒山地が見える
photo 高安検車区には多くの近鉄電車が止まっていた

 広々とした畑が見えてくると、大和八木駅の到着を知らせる放送が流れてきます。わずか30分の鉄道旅行でしたが、めまぐるしく変わる12200系の車窓はとても興味深いものでした。

 降り立った大和八木駅で名残惜しく12200系を撮影していると、となりに大阪上本町方面に向かう特急列車が入線しました。まるで「先輩、おつかれさまです!」と呼びかけているようで……思わずジーンとなりました。

photo 大和八木駅に近づくにつれ、畑が見えてきた
photo 「先輩、おつかれさまです!」なんて、大和八木駅ですれ違った上り特急列車が言っているように感じた

 80000系「ひのとり」のデビューにより、大阪難波駅、近鉄名古屋駅を毎時30分に発車する名阪特急は順次「アーバンライナー」に置き換わります。「ひのとり」のデビューと12200系の引退により、近鉄特急は全体的にグレードアップすることになります。

 そして12200系は2020年度末(2021年3月末まで)に順次特急列車の運用から外れ、姿を消していくのです。新型車両と快適サービスが誕生する裏ではかなく消えゆく思い出の車両。これからの近鉄特急の活躍に期待したいと思います。

photo 歴代の近鉄電車がずらりと並ぶ近鉄おしぼり。これ好き


「近鉄12200系」に狙って乗る方法

 近鉄特急に乗るには、乗車券の他に特急券が必要です。特急券は近鉄のWebサイトでネット購入できる「チケットレス特急券」が便利。当日は乗車券や交通系ICカードで自動改札機を通ると、そのまま近鉄特急に乗車できます。

photo 近鉄特急の乗車は「チケットレス特急券」が便利

 なぜチケットレス特急券を勧めるかというと、購入時に「12200系が使われている列車」を簡単に発見できるからです。

 列車選択の画面で「この列車に喫煙室はありません」と書かれている列車を探しましょう。前述した通り、引退予定の12200系には喫煙室を設けません。ですから喫煙室のない車両は12200系というわけです。大阪上本町〜大和八木間は特急で約30分、運賃は大人1090円、特急料金520円です。みなさん……乗り遅れませんように。


新田浩之(にったひろし)

1987年神戸市生まれ。関西大学文学部卒、神戸大学大学院国際文化学研究科修了。主に鉄道と中欧、東欧、ロシアの旅行に関する記事を執筆。2018年からチェコ政府観光局公認の「チェコ親善アンバサダー2018」を務める。




「近鉄12200系」フォトギャラリー

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