インタビュー
» 2020年04月09日 20時00分 公開

“うつを背負いながらの医師選び”の難しさ エッセイマンガ『うつを甘くみてました』作者インタビュー(2/2 ページ)

[ねとらぼ]
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『家族もうつ甘』 #3 頑張れは禁句

























『家族もうつを甘くみてました』

その他の収録エピソードは、ぶんか社のスマホ向けマンガ配信サイト「よもんが」に掲載。また、同社Webサイトの商品ページからも試し読み、購入できます

うつに「頑張れ」はなぜいけないのか

―― 「うつ状態の方に『頑張れ』と言ってはいけない」という話があります。ブリ猫。さんはこの言葉、どう思いますか?

ブリ猫。:何でもかんでも頑張れはイヤです(笑)。

 同じ立場から言う「一緒に頑張りましょう」、相手に寄り添ったり、後押ししたりする「頑張りましょう」は心強いです。すごくありがたい。

―― 「頑張れ=絶対にNG」というわけではないんですか

ブリ猫。:でも、「お前はやってないんだよ。だから、やれよ」という意味の「頑張れ」は……。旦那さんの浮気が原因で離婚するとき、向こうの家族から「あなたの努力が足りない部分もある。病気になったからといって、そこは“頑張って”もらわないと」というようなことを言われたのはキツかったですね。

―― あー、その違いはうつ経験がない人でも心当たりがあるかもしれないですね

『うつ甘』担当編集者:私の解釈ですが、例えば、ダイエットしようとジョギングの準備をしているタイミングで「頑張れ」と言われるのはうれしい。でも、サボリたい気持ちが湧いてきたときに「頑張れ」と言われると、イヤみのように聞こえてしまうことがあるというか。

 頑張るつもりはあるけど、どうしても頑張れていないときってありますからね。周囲は「ダイエットすると言ってたくせに、どうして頑張らないんだ」と思ってしまうのかもしれませんが。

病気が改善して気付いた「支える人も大変なんだ。困っているんだ」

―― ブリ猫さんが初めて心療内科に行った当時と今の医療状況の違いは?

ブリ猫。:身体の精密検査のように、うつ病、双極性障害などにも検査があって、小さな病院に行くと「うちでは調べられないので、大きな病院に」と案内されることがあるそうです。これが、ここ10数年の大きな違いなんじゃないかなあ。

 昔は「病院に行ったら薬漬け」という感じが強くて。身体で例えるなら「高血圧ですね、これ飲んでおきましょう」「下がらないですね、あれ飲んでおきましょう」と処方されているうちに、他のところが悪くなってしまう……みたいな。そういう治療を受けてきて、「まだ苦しいんです」という人たちが情報発信しているのが、今の時期なんじゃないかなあ。

―― 『うつ甘』も、そういった“長期にわたる体験談”の1つといえそうですね

ブリ猫。:1作目『うつ甘』を描いていたころは、正直、「理解してほしい」という気持ちが強かった……というか、それだけでしたね。「うるさいな、何で分かってくれないんだよ」「こうなんだよ、私が思っているのは」ということに重きを置いていました。

 自分の体験をマンガにしてPixiv上で発表し、それが出版社さんの目に止まり、いよいよ刊行というところにきて、ようやく自分の過去を冷静に振り返れるようになって。両親と話しているうちに「この人たちは私のために、こんなに頑張ってくれていたんだな」と気付きました。

 前回もお話した通り、私が心療内科に行くようになったころはうつ病、双極性障害などが今ほど一般的ではなかったので、「本人やその家族がどうすればいいか」という情報が少なくて。両親は手探り状態のなかで、病気を抱える私と向き合ってくれていたんですよね。

 心の病気に悩む側の大変さだけでなく、「それを支える人も大変なんだ。困っているんだ」ということまで描かないと、あのころ両親が求めていた本にならない。そう思って制作したのが、両親視点の『家族もうつを甘くみてました』です。

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