おうち時間を豊かに過ごす、おとなのための童話の読み方。3月27日〜4月9日は「絵本週間」です

» 2020年03月28日 12時21分 公開
[日本気象協会 tenki.jp(http://www.tenki.jp/)]
Tenki.jp
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています


 新年度がはじまる4月も目前となりました。なにかと慌ただしい時ですが、いつもとは違う今年の春。家での過ごし方を工夫している人も多いのではないでしょうか。

 童話作家アンデルセンの誕生日である4月2日は「国際子どもの本の日」。その前後2週間にあたる4月9日までは「絵本週間」です。絵本文化の発展と教育の場や家庭に「絵本読書」が定着することを願って、1967年に国際児童図書評議会(IBBY)が設けました。この機会に、おとなも子どもも楽しめる多彩な絵本の世界を味わってみませんか。

旅の日々から童話が生まれた、アンデルセンの生涯

デンマーク オーデンセの街並み

 童話作家、詩人のハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805年4月2日〜1875年8月4日)は、デンマーク・フュン島の都市オーデンセで誕生しました。美しい田園風景が広がり、豊かな伝承文化に恵まれたこの地で、貧しい靴職人だった父は幼いアンデルセンにおとぎ話や物語を読み聞かせて育てました。父の死後、首都のコペンハーゲンに旅立ったアンデルセンは、数々の挫折を経験した後に大学で文献学と哲学を学ぶ機会を得ます。

 アンデルセンの一生は、旅から旅へのさすらいの日々でした。1833年から翌年にかけての、ドイツ、フランス、イタリアへの旅の印象が小説『即興詩人』(1835年)を生み出し、彼の名は国内外に知られるようになります。日本では森鷗外が10年の歳月をかけて翻訳し、人気を博しました。

 『即興詩人』が出版された同年にはじめての童話作品である『子どものための童話集』(1835〜1837年)が世に出ます。この本には、幼い頃に誰もが親しんだ「親指姫」「人魚姫」「裸の王様」などが収められています。その後、アンデルセンは1875年に亡くなるまでの約40年間に150を超える数々の童話が生み出し、現在も世界中の子どもたちに読み継がれています。

ここが違う! 「アンデルセン」と「グリム兄弟」の童話の成り立ち

デンマーク コペンハーゲンの人魚像

 最終的に大学を卒業しなかったアンデルセンは、旅行で見聞を深めながら多くの旅行記も書いています。ドイツのグリム兄弟、フランスではバルザックやヴィクトル・ユーゴーなど、旅先で多くの作家や芸術家と交友しました。

 ほぼ同時代に生きたアンデルセンとグリム兄弟。同じく童話作家というイメージがありますが、グリム童話集はヤーコプとヴィルヘルムのグリム兄弟が編纂したドイツの昔話(メルヒェン)集。グリム兄弟は昔話を収集し編集して本にしたということになります。その過程で加筆修正が加えられたとしても、グリム兄弟が創作した作品ではないのですね。アンデルセンの童話は彼のオリジナル作品なので、同じ童話でも成り立ちが異なるのです。グリム童話の正式なタイトルは『子どもと家庭のメルヒェン集』で、1812年に初版が刊行されました。改訂を繰り返しながら1857年に出た第7版が決定版とされ、200篇もの昔話が紹介されています。

 それぞれの代表的な物語はこちら! どちらの童話か確認してみましょう

アンデルセン童話

  • 「エンドウ豆の上に寝たお姫さま」
  • 「親指姫」
  • 「人魚姫」
  • 「裸の王様」
  • 「白鳥の王子」
  • 「みにくいアヒルの子」
  • 「雪の女王」
  • 「赤い靴」
  • 「マッチ売りの少女」
  • 「とび出した五つのエンドウ豆」

グリム童話

  • 「かえるの王さま」
  • 「ラプンツェル」
  • 「ヘンゼルとグレーテル」
  • 「シンデレラ」
  • 「赤ずきん」
  • 「ブレーメンの音楽隊」
  • 「おやゆびこぞう」
  • 「小人の靴屋」
  • 「いばら姫」
  • 「白雪姫」

 アンデルセン童話、グリム童話と並んで、世界三大童話ともいわれるイソップ童話は、古代ギリシャ時代から伝わる寓話集。ヘロドトスの『歴史』にもイソップ物語に関する記述があるそうです。主な物語には「アリとキリギリス」「王様の耳はロバの耳」「北風と太陽」「金の斧と銀の斧」などがあります。

 成り立ちや時代の違いを超えて読み継がれている作品の数々に、色褪せない普遍性を感じずにはいられませんね。

童話のような短編集『絵のない絵本』

 「さあ、わたしの話すことを、絵におかきなさい」と、月は、はじめてたずねてきた晩に、言いました。「そうすれば、きっと、とてもきれいな絵本ができますよ」

 アンデルセンの短編集『絵のない絵本は(1839〜1855年)は、屋根裏部屋に住む若く貧しい画家が、夜のひとときに訪れる月が窓越しに語る話を書きとめていくというストーリー。33夜にわたる月の話には、アンデルセン自身の旅の体験が色濃く反映されています。

 パリやフランクフルト、スウェーデン、イタリアへの旅、想像の翼はインドや中国、アフリカにも及びます。なかでも明るい太陽に満ちたイタリアは、アンデルセンの憧れの地でもあり、物語の舞台として数多く登場します。子どもに向けられるアンデルセンの温かいまなざし、ユーモアや人生の苦悩。『絵のない絵本』は、想像力を刺激するおとなのための童話といえるかもしれません。

 家で過ごすひととき、世界三大童話を読み返すのも、旅行気分を味わいながらおとなのための童話を読んでみるのも、またとない豊かな時間になりそうです。

参考文献・引用

アンデルセン[著] 矢崎 源九郎[訳]『絵のない絵本』新潮社


関連リンク


Copyright (C) 日本気象協会 All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた