【無料配信記念】コナンファンが劇場版名探偵コナン「探偵たちの鎮魂歌」を語る

2020年5月5日〜6日に無料配信。

» 2020年05月05日 17時00分 公開
[赤いシャムネコねとらぼ]

 4月17日から順次、「名探偵コナン」劇場版第1作〜第10作がさまざまなプラットフォームで無料配信されています。2日間ずつ交代での無料配信で、5月5日〜6日に配信されているのは第10作「探偵たちの鎮魂歌(レクイエム)」(2006年公開)です。

 コナンファンの赤いシャムネコさんに、同作のポイントを極力ネタバレなしで聞きました。やや辛口です。

コナン 「探偵たちの鎮魂歌」をファンが語ります
コナン 無料公開のスケジュール

劇場版コナン史上、大迷作

 この作品がお好きな方もいるでしょうから言いづらいのですが、コナン映画史上に残る大迷作です。今回見返して、見れば見るほど混乱が深まっていく作品だと改めて実感しました。

 舞台は横浜・みなとみらい。謎の男に呼び集められたコナン、蘭、小五郎、灰原、少年探偵団の面々は、気づかぬうちに爆弾が仕込まれたリストバンドを手首にはめられてしまいます。犯人の目的は“ある事件”の真相を解き明かすこと。蘭や少年探偵団は本人たちが知らぬ間に人質にされ、「遊園地から一歩でも外に出る」「遊園地が閉園する22時になる」のどちらかの条件でリストバンドが爆発してしまうという絶体絶命の危機に。同じく和葉を人質にとられた平次とも合流し、探偵たちは事件の捜査を開始する――というストーリー。

 この犯人が提示してくる条件がミソで、まず「何の事件を捜査するのか」を当てるところから始まっています。映画が始まってしばらくは延々リアル脱出ゲームというか、出てくる小謎とヒントに従ってコナンたちが行動していきます。

 ある意味ではホワットダニット(何が起こっているのか)型のミステリといえなくもないですが……事件パートは手を入れて作り込んだんだろうなと思わせられる一方で、「何を解けばいいのかわからない」という事件に観客としてはそもそも興味を持ちにくい。これまでの劇場版コナンでは中心となる事件は明瞭でしたが、本作では謎自体がブラックボックスとなっていて、見ていてどこに向かっているのかわからない視聴感、悪い意味での迷走感があります。

 かつ、それを伝えるためのキャラクターの行動や演出のタイミングやテンポがことごとく変。「このキャラはこんなこと言うか?」「なんで蘭たちに『人質になってるよ』って伝えないんだっけ?」など、事件の謎とは関係ないところでハテナがたくさん浮かんできます。あまりに全員の言動がおかしいので、見ているうちにだんだん面白くなってきてしまうのが困ります。

 いろいろ見どころ(ツッコミシーン)があるのですが、個人的なイチオシは怪盗キッドの登場シーンの恐ろしい唐突さ(青空の下を飛ぶ、明るすぎて逆光になっているキッドを見ながら「闇の世界を舞う怪盗キッド!」と説明するちぐはぐさもすごい)と、終盤コナンと平次が立ち向かう“バイクで追っかけてくる謎の敵(本当に謎)”とのバトルの緊迫感のなさ。挿入歌の使いどころも珍妙で、「ここでこの名曲を流すの!?」と困惑しきり。

 本作はオールスター映画の雰囲気で作られており、ポスターにはこれまでの主要人物43人が登場しています。ジン、ウォッカ、ベルモットといった黒の組織の面々や、松田と萩原(天使の輪っか付き)なども描かれているのですが、これは半ば詐欺みたいなもので……どうやって登場させるのかと思いきや、もちろん登場しません! 43人中16人は、実際には出てこないといったほうがいいでしょう。

 もっとも工藤優作や有紀子、ジンやウォッカは冒頭のおなじみキャラクター紹介部分に出てくるのですが、これを登場とみなしてポスターに出演させていいのか!? 誇大広告ではないか……。京極さんも雑誌にちらっと写るというまさかの登場(?)をしますが、「俺たちはいつからコナンじゃなく『ウォーリーをさがせ!』を見ていたんだ……?」と混乱します。

 唯一きちんと登場しているといっていいのは、白馬探くらいではないかと思うのですが……「唯一の登場作がこれかい!」と言いたくなる扱いというか、楽しみにしていた白馬ファンを裏切るような決着の付け方をするのが何とも言えません。全国に大勢いる白馬ファンのためにも、今後の劇場版で再登場を期待したいところです。

 一応名探偵を集め競わせて謎を解かせるといった構図や、茂木や槍田という2人の探偵に言及しているところ、白馬が登場しているところから、原作30巻の屈指の名エピソード「集められた名探偵! 工藤新一vs怪盗キッド」(黄昏の館事件)を意識しているのかな……? というのは感じ取れますが、黄昏の館のほうが1億倍面白いです。

 一応よかった点も挙げておくと、人質の中で唯一現在自分たちが置かれた状況を把握している哀ちゃんの必死の時間稼ぎ工作や、のちに安室透としてシリーズキャラを演じることになる古谷徹さんが登場していることなどでしょうか。

 また“怪盗キッドの正体”を最後まで直接的には明かさず、映像的な伏線を張って視聴者に推理させるというつくりはチャレンジングでした(やや不発に終わっている感じもあるのですが)。「遊園地を舞台に」という意味では、「観覧車ミステリ」の最高峰といえる劇場版20番目の記念作「純黒の悪夢(ナイトメア)」で、遊園地でのアクションを描くリベンジを遂げたと言えるかもしれません。

 さて、いつも楽しみにしているエンディング実写映像も、サングラスの謎の女が横浜をめぐるというもので、いったいどんな気分で見ればいいのかわからないのが正直な感想。リアルタイムの劇場鑑賞時の記憶としては、キャッチコピーの「さよなら、コナン」やタイトルの「鎮魂歌(レクイエム)」ってつまり、観客にコナンシリーズとのお別れをさせようとしているのか……? と疑いました。衝撃のあまり、しばらく座席を立てなかった思い出があります。翌年の「紺碧の棺(ジョリーロジャー)」も大変な作品だったため、自分も劇場版コナンを卒業する時期になってしまったのだろうか、と覚悟しました。

 とはいえ、12作目「戦慄の楽譜(フルスコア)」以降シリーズは全体的に持ち直していくので、コナン映画最大の鬼門である10作目と11作目を乗り越えれば面白い映画がたくさん待っています! 特にここ数年の面白さは、シリーズ初期の傑作群に匹敵すると断言してよいでしょう。ここで挫折せずこの先を見届けてください。

私が選ぶ劇場版コナン

 今回の10作無料公開やhuluでの全作配信を記念して、huluがTwitterでハッシュタグキャンペーン「私が選ぶ劇場版コナン」を行っています。多くのコナンファンたちがこのハッシュタグとともにそれぞれの推し作品を挙げていて、何時間見ていても飽きません。

 今回、無料公開分の10作全てを順番にレビューしてきましたが、せっかくなのでこの後の11作目以降(11〜23作)でマイベスト3を挙げておきます!

  • 【1位】紺青の拳(フィスト)……爆破アクションとしてのコナン史上最大スペクタクル。ミステリ的にも見どころが多いです
  • 【2位】天空の難破船(ロストシップ)……展開の意外さや楽しさがベスト! 中盤で「えっ」と声を上げそうになりました
  • 【3位】から紅の恋歌(ラブレター)……「迷宮の十字路(クロスロード)」への完璧なアンサー! 十字路で弱かったミステリ面や爆破面でも見どころがあります

 いろいろ言ってきましたが、コナン映画は何十回見ても面白く、何度見ても新しい発見があるシリーズです。いつもは気に入った作品を見たいときに見ていましたが、今回あらためて公開順に見ていくと、「それまでの作品群を踏まえてどう違ったコナンの世界を描くか」という制作者の意図や挑戦を感じることができます。毎年「コナン映画らしさ」を大事にしつつ、新しい舞台で新しい物語を生み出しているのは、驚くべき偉業です。延期になっている「緋色の弾丸」が公開される日を心待ちにしています。


【5月5日18時30分追記:初出時、「古谷徹さんが初めてコナンシリーズに登場している」としていましたが、「初めて劇場版コナンシリーズに登場している」の誤りでした。訂正いたします】



Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2404/15/news019.jpg 4カ月赤ちゃん、おねむのひとり言が止まらず…… 心とけそうなおしゃべりに「とてつもなく可愛すぎる!」「ウルウルした」
  2. /nl/articles/2404/15/news020.jpg 1歳妹が11歳姉に髪を結んでもらうやさしい光景が160万再生 喜ぶ妹のノリノリのリアクションに「可愛すぎて息できない」「ねぇね髪の毛結ぶの上手」
  3. /nl/articles/2404/13/news014.jpg 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  4. /nl/articles/2404/14/news013.jpg 海岸を歩いていたら「めっちゃ緑のヨコエビがおって草」 作りものと見まごうほどの色合いに「ガチャの景品みたい」と驚きの声
  5. /nl/articles/2404/11/news165.jpg 遊び疲れた子猫を寝かしつけてみた 絵本のような光景に「きゃーあ」「可愛すぎて変な声出た!」
  6. /nl/articles/2404/15/news014.jpg 100均大好き起業ママが「考えた人天才すぎる」と思わず興奮 ダイソー&キャンドゥの優秀アイテム5選が参考になりすぎる
  7. /nl/articles/2404/15/news103.jpg 「ケンタッキー」新アプリ、不具合や使いづらさに不満殺到…… 全面的刷新も「酷すぎる」「歴史に名を残すレベル」
  8. /nl/articles/2404/15/news038.jpg ダイソーの材料を“くっつけるだけ”で作れる、高見え「カフェコーナー」 今流行りのジャパンディな風合いに「天才的に美しい」「まねする!」
  9. /nl/articles/2404/14/news006.jpg 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  10. /nl/articles/2404/15/news021.jpg 下っ腹に合わせて購入したGUデニムで50代女性に悲劇→機転を利かせたコーデに称賛!! 「笑って楽しんで60代、70代を迎えたい!」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  2. 500円玉が1つ入る「桜のケース」が200万件表示越え! 折り紙1枚で作れる簡単さに「オトナも絶対うれしい」「美しい〜!」
  3. 赤ちゃんがママと思ってくっつき爆睡するのはまさかの…… “身代わりの術”にはまる姿に「可愛いが渋滞」「何回見てもいやされる!」
  4. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  5. 日本地図で「東京まで1本で行ける都道府県」に着色 → まさかの2県だけ白いまま!? 「知らなかった」の声
  6. 中森明菜、“3か月ぶりのセルフカバー動画”登場でネット沸騰 笑顔でキメポーズの歌姫復活に「相変わらずオシャレで素敵」「素敵な年齢の重ね方」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. もう別人じゃん! 「コロチキ」西野、約8カ月のビフォーアフターが「これはすごい」と驚きの声集まる
  9. 娘がクッションを抱きしめていると思ったら…… 秋田犬を心ゆくまで堪能する姿が440万再生「5分だけ代わっていただけますか?」「尊いなぁ…」
  10. 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」