「素敵」「心が洗われる」 閉店前の書店に置かれた1個の「檸檬」をめぐる交流に心が温まる(1/2 ページ)
爆弾を仕掛けられたはずなのに、なんだか爽やかな気持ちに。
閉店する書店の店頭にそっと置かれた「檸檬」。それをめぐった書店とお客さんの交流がなんとも素敵です。
「えっ!…檸檬…! いつの間に…!! すてきなお客様がご来店されたようです」という言葉とともに、平積みされた本の上に置かれたレモンの写真をTwitterに投稿したのは、7月26日に閉店したJR静岡駅前の「戸田書店 静岡本店」。
直木賞を受賞した川崎宗一さんの『熱源』の上に載せられたレモンは、梶井基次郎の短編『檸檬』へのオマージュであることは読書好きならすぐに分かるでしょう。
この投稿を見た人からは、「おおおおおおお、素敵!」「これいつかやってみたいと思ってました」という声が。その中には「わ〜置いていったの私です!」と名乗り出た「犯人」の姿もありました。
レモンを店頭に置いたのは、Twitterユーザーのイリヤ愛してる(@Iliyaisthebest)さん。幼い頃から通っていた書店が閉店すると聞き、「書店員さんもお店が閉まることになって寂しい気持ちになっているかもしれないと思い、本好きにわかるネタで笑顔になってもらえないか」と考えて行動をとったといいます。
イリヤ愛してるさんの投稿には、店頭のレモンを発見した戸田書店の書店員のyosigonさん(@445Gack)も反応。「あなたか犯人は(笑)」としつつ、「今までご利用頂きありがとうございました!」と感謝の意を伝えました。
「檸檬を発見した時は、スタッフ一同驚きました」というyosigonさん。店員さんの間では「梶井さんが檸檬を置いてった!」「そんな事がリアルに起こるなんて!」と驚きと共に笑いが起きたといい、「置いてったお客様への『檸檬を発見しましたよ。』というお知らせ」のため、お店のアカウントでツイートをしたそうです。
閉店に関してyosigonさんは「長い間地元で愛して頂いて本当に感謝しています。最後までたくさんの方々に本をお届けできた事が嬉しいです。これからも本と地元の本屋さんを愛してください。ありがとうございました」とコメント。レモンを置いたイリア愛してるさんは、「戸田書店へは園児の頃から通っていて、園児の頃は絵本、小学生の頃は児童文学、中学に上がってからはさらに厚い小説……と、私の成長には戸田書店が寄り添ってくれていたように思っています」としており、「街の本屋さん」が1つ消えることを悲しみつつ、感謝を滲ませていました。
このやり取りは、レモンが置かれた本『熱源』の作者・川崎宗一さんにも伝わる事態に。川崎さんからは「書店さまとお客さまの素敵な交流のお写真、心が洗われるような思いで拝見し、またなんだかとても光栄でした」とコメントしており、1つのレモンを通してまた新しい交流が生まれているようでした。
※編集部注・通常、書店の店頭に檸檬を置くことはお控えください
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