意味がわかると怖い話:「朋乃の呪い」(2/2 ページ)

» 2020年10月25日 21時30分 公開
[白樺香澄ねとらぼ]
前のページへ 1|2       

解説

 かつて見殺しにした恋人の影に怯えていた語り手。彼が家の火事に見舞われたとき、「置いていかないで」と手を伸ばしてきたのは、朋乃の亡霊だったのでしょうか?

 しかし病院でうっすら聞こえてくる声を見ると、「忘れ物を取りに」「ひとりで家に戻って」といった言葉が並びます。語り手の妻と娘はその夜実家に帰っていたのですが、ひとりは忘れ物を取りに家に戻ったようです。

 そう説明するのは語り手の妻。怯えるあまり、語り手がその腕を振り払い、業火の中に突き飛ばしてしまったのはおそらく……。

 

 「我が子を怪異と見誤り、殺してしまう」という本話の主題は、小泉八雲が「幽霊滝の伝説」として取り上げたことで知られる怪談のバリエーションから取ったものです。

 赤ん坊を背負った貧しい母親が、金を賭けた肝試しに参加する。母親は怪異に見舞われながらもなんとか帰ってきて金を得るが、背中の我が子がいつの間にかとり殺され、首を奪われていた――という話ですが、単に「肝試し」と題されることの多いバリエーションでは、母親は護身用に鎌を持って肝試しに参加し、途中、赤ちゃんが自分の髪を引っ張るのを化け物の仕業と誤認し、切りつけてしまう、というストーリーに改話されています。

 個人的には、「物語中に起こったことには合理的に説明がつくのに、それによってなにも救われない」という残酷さで、後者の方がより「こわい」ように思われます。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」