500枚描いても月収10万円 アニメ業界の縁の下の力持ち「動仕会社」が月18万円の“異例”求人票を出したワケ(2/5 ページ)
動仕会社ってどんなところ?
――素朴な疑問で恐縮なのですが、そもそも動仕会社ってどんなところなのでしょうか? 元請けと呼ばれるアニメ会社なら、アニメーターがいて、制作進行がいて……というのは思い浮かぶのですが。
浅沼 本来、日本の動仕会社は「海外動仕」のための窓口会社がほとんどです。要は「スケジュールの管理」「素材の回収」「スキャン」「納品」というところまでなので、PCとスキャナーが1台ずつあれば始められます。
――結構ぶっちゃけましたね。
浅沼 ただし弊社は海外動仕を外注という形ではなく、「reboot China」という中国の会社も作って、そこに一括で作業してもらう形を取っています。また、近年ではものすごく高い品質を求められているので、先ほど申し上げた通り、社内のクリエイターのボリュームも増やしていきたいという考えでやっています。
――なるほど。reboot Chinaについても後ほど詳しく聞かせてください。まずは海外動仕をさばく上での1日の流れについて伺えますか?
坂本 まず、中国では朝イチから作業を始めるところが多いので、そこに合わせて始業します。中国の作業者の手元に素材が届き、「原画が1枚足りない」とか、「原画はあるけどタイムシートの指示が無い」といった素材の不備が発覚し始めるのが日本時間の10時〜11時ごろ。
そうした問い合わせが日本側に上ってくるので、それを仲介して発注元の制作進行さんに確認を取り、問題点を解決していく。作業が終わるとデータが上がってくるので、それを納品するまでが一連の流れです。
――アニメ業界は夜型のイメージでしたが、動仕会社は朝が早いんですね。
坂本 朝9時ごろにはスタートします。ただ午前中だと発注元の制作進行さんが出社されていないことが多いんですよね。あまり電話をかけすぎて、せっかくお休みになっているところをお邪魔しても悪いので。事前にアドレスを聞いておいて、先回りしてメールを送っておくことが多いです。文章として残ったほうが向こうも分かりやすいですし。
あとは発注元の制作会社さんに連絡して、例えば「今日の夜(動仕素材が)出ますか? 出ませんか?」と聞いておく。「今週末は固まります」と言われたら、「じゃあキャパ確保しときます」とか、スケジュールについて前もってお話したりします。
物理的に毎日300キロの原画を抱えて海外に飛ぶ
――原画が上がると、素材は依頼のあった元請け会社さんから直接持ち込まれるのでしょうか?
浅沼 直接運転で持ち込まれるのは本当にごくまれですね。今はコンプライアンスの問題があるので、会社が運転させないところも多いです。数年前にアニメ会社で大事故があって、そうするとアニメ会社側も運転させるのが怖いじゃないですか。
大小はともかく、事故はどうしても起きるものです。そこで現在では配送会社を利用する制作会社が多くなりました。うちも別会社で配送会社さんと業務提携していて、回収はそちらが担当しています。
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