新幹線列車名のルーツを探る 伝統の列車名「つばめ」、悲しい歴史「あさひ」月刊乗り鉄話題(2021年6月版)リニア中央新幹線の「列車名」大予想(3)(2/3 ページ)

» 2021年06月20日 10時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]
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上越新幹線

とき

 「とき」は1962(昭和37)年に誕生した上野〜新潟間の特急列車でした。約20年間の活躍の後、1982(昭和57)年の上越新幹線開業時に各駅停車タイプで採用されました。

 公募では1位の名前でしたが、トキが絶滅寸前という事情があり、表看板になれなかったようです。1997(平成9)年に各駅停車タイプが東京〜越後湯沢間に短縮されたため、新潟駅に行かない「とき」は「たにがわ」に改名。列車名の方が先になくなりました。

 しかし、2002(平成14)年に「あさひ」が「とき」に改名する形で復活。現在に至ります。

リニア中央新幹線 新幹線 車名 由来 上越新幹線 MAXとき

たにがわ

 「たにがわ」の由来は群馬県と新潟県にまたがる谷川岳です。昭和30年代から40年代にかけて、山岳観光向けの臨時準急や臨時急行に「谷川」と名付けられました。

 1982(昭和57)年に上野〜水上間の特急「谷川」となり、1985(昭和60)年に「新特急谷川」に変わりました。1997(平成9)年に上越新幹線の東京〜高崎〜越後湯沢間の短距離列車に起用されました。

あさひ(廃止)

 「あさひ」は1960(昭和35)年に仙台〜新潟間の準急に名付けられ、後に急行に格上げされました。由来は沿線の朝日山地です。1982(昭和57)年の上越新幹線開業時に速達タイプとして採用されました。朝の日ですから「光系」の名前とも言えます。

 在来線急行の「あさひ」は「べにはな」に改称されました。ところが「あさひ」は北陸新幹線(長野新幹線)の「あさま」と字面が似ているため、きっぷの間違い、乗り間違いが度々起きました。また、新潟県からは「とき」復活を求める声が高くなっていました。2002年に「あさひ」は「とき」に改名されました。

北陸新幹線

あさま

 「あさま」は1961(昭和36)年に小諸〜長野〜新潟間の準急列車として誕生しました。由来は沿線の浅間山です。「山系」の列車名も多数派でした。1962(昭和37)年に上野〜長野〜直江津間の準急となります。1966(昭和41)年に上野〜長野間の特急になり、1997年に長野新幹線(通称)の列車名になりました。現在も東京〜長野間の列車に継承されています。

リニア中央新幹線 新幹線 車名 由来 北陸新幹線E7系 かがやき、はくたか、つるぎ、あさま、とき、たにがわの愛称がそれぞれ設定

かがやき

 「かがやき」は1988(昭和63)年に金沢〜長岡間の特急列車として誕生しました。北陸新幹線の開通前、上越新幹線と北陸地域を連絡する列車で、先輩格の特急「北越」を補完する役割でした。しかし、1997(平成9)年に開業した北越急行ほくほく線を経由する特急「はくたか」の運転で役目を終えて引退しました。

 2015(平成27)年の北陸新幹線長野〜金沢延伸開業時に公募名称で5位に。選定理由は「輝く光がスピード感と明るく伸びていく未来をイメージさせるため」です。速達タイプの採用は「最速列車は光系の名前」という伝統と言えそうです。

 あと、「かがいき(加賀行き)」に語感が似ているからという都市伝説も(笑)。

はくたか

 「はくたか」は1965(昭和40)年に上野〜金沢間の特急列車に採用されました。鳥系の名前ですが「白鷹」という鳥は現実にはいません。立山開山縁起に登場する伝説の白い鷹です。前身となる列車は大阪〜金沢〜上野・青森間を結ぶ特急「白鳥」でした。このうち金沢〜上野間を分離した列車だったので、白のイメージを継承したといわれています。

 しかし1982(昭和57)年に上越新幹線が開業すると、東京〜金沢間は長岡経由の特急「北越」利用が最短時間となったためいったんは廃止されます。ところが、1997(平成9)年に六日町〜犀潟間の北越急行が開業すると、越後湯沢〜六日町〜犀潟〜富山〜金沢間の特急列車として生まれ変わります。在来線最速の時速160キロで運行し、再び上越線連絡の北陸特急として返り咲きました。最速の在来線特急として存在感を示した「はくたか」の名は、北陸新幹線長野〜金沢延伸開業時に公募名称で1位に。東京〜金沢間の列車として君臨しています。

つるぎ

 「つるぎ」は1961(昭和36)年に大阪〜富山の夜行準急列車として誕生しました。高岡〜富山間は普通列車として運行し、通学列車になっていました。1963(昭和38)年に準急区間が急行となります。1965(昭和40)年から全区間電車急行となり、1972(昭和47)年に客車の寝台特急になり、1994(平成6)年に廃止されました。

 北陸新幹線長野〜金沢延伸開業時に公募名称では4位でした。大阪〜金沢間の特急「サンダーバード」組み合わせて、大阪〜富山間を結ぶことから、関西〜北陸間を代表する列車として新幹線列車となりました。

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