「は!? なんで?」えちごトキめき鉄道の独特なダイヤ 急行は「急いで行かない」の意味だった!?月刊乗り鉄話題(2021年7月版) えちごトキめき鉄道「急行列車」(3)(2/3 ページ)

» 2021年07月22日 10時00分 公開
[杉山淳一ねとらぼ]

マニアックなお楽しみ「デッドセクション手動切替」と新名所も愛でよう

 「観光急行」はもう1つ貴重な体験もできます。「デッドセクション手動切替」です。

デッドセクション通過の様子

 デッドセクションとは、架線に電気が流れていない区間のことです。主に交流電化区間と直流電化区間の境目にあります。日本海ひすいラインには、梶屋敷駅とえちご押上ひすい海岸駅の間にあります。この区間を直通する電車は両方の電源に対応する必要があります。走行中に電源を切って惰性で走り、次の区間の電流を受け入れるように機械を切り替えます。

 デッドセクションの通過中は電力が供給されないため、かつては車内の照明や空調装置などもオフになり、バッテリーによって非常灯が点くだけでした。現在はほとんどの電車が電源切替を自動化しており、また大容量バッテリーも搭載しているので照明は消えません。有名なところでは常磐線の取手〜藤城間、つくばエクスプレスの守谷〜みらい平間などがあります。注意深く観察すると車内案内装置や空調が変化しますが、ほとんどの乗客は気付きません。

えちごトキめき鉄道 観光急行 デッドセクションを通過するときは、ふだんは消えている蛍光灯が非常灯となる

 「観光急行」は古い電車なので、運転士さんが手動で電源を切り替えます。車内の照明も「しっかり」消えます。恐らく全国でここだけです。

えちごトキめき鉄道 観光急行 糸魚川駅で折り返し。隣のホームに普通列車
えちごトキめき鉄道 観光急行 えちご押上ひすい海岸駅。ディーゼルカーだから停まれる駅

 ちなみに、えちごトキめき鉄道日本海ひすいラインの普通列車はディーゼルカーです。ディーゼルカーならば電源方式の違いとは関係なく走行可能です。高価な交直両用電車を新造する必要もありません。そしてこの節約策で思わぬ効果を得ました。「えちご押上ひすい海岸駅」の設置です。

 以前から糸魚川高校の最寄り駅として設置要望がありましたが、デッドセクションに近いため電車を停められませんでした。しかしディーゼルカーならばデッドセクションとは関係ありません。そこで2021年3月13日に待望の新駅、えちご押上ひすい海岸駅が誕生しました。

えちごトキめき鉄道 観光急行 直江津駅に戻ってきた
鉄道ファンが大好きな「方向幕変更ショータイム」。JR西日本時代の駅名が残る

 直江津駅には2021年4月に「D51レールパーク」もできました。園内には蒸気機関車「デゴイチ」ことD51形があり、圧縮空気システムで直江津駅構内を走行します。車掌車を2両連結して走行可能。主に土日祝日の営業で、「観光急行」と合わせて楽しめます。D51の車庫では413系電車の先頭車も保存されており、車内で鉄道グッズを販売します。

 糸魚川駅の「ジオステーション ジオパル」もオススメです。大糸線で活躍したディーゼルカー「キハ52形」、国産最後の蒸気機関車「くろひめ号」、かつて大阪と札幌を結んだ寝台特急「トワイライトエクスプレス」の「展望A個室スイート」と「食堂車」の一部を再現した車両があります。鉄道模型ジオラマは2つ。7×6メートルの大型Nゲージと、10×2.5メートルのHOゲージはどちらも大迫力です。

えちごトキめき鉄道 観光急行 直江津駅跨線橋からの眺め。奥の方に「D51レールパーク」がある。次回は土日祝日に来ようと思った
えちごトキめき鉄道 観光急行 糸魚川駅とジオステーション ジオパル入口
えちごトキめき鉄道 観光急行 キハ52形を保存展示
えちごトキめき鉄道 観光急行 蒸気機関車「くろひめ号」
えちごトキめき鉄道 観光急行 トワイライトエクスプレスの実物大模型。部品の多くは本物を使っている
えちごトキめき鉄道 観光急行 食堂車
えちごトキめき鉄道 観光急行 まるで乗車しているような気分になる
えちごトキめき鉄道 観光急行 Nゲージジオラマは圧巻
えちごトキめき鉄道 観光急行 大糸線を再現したHOゲージのジオラマは雄大
えちごトキめき鉄道 観光急行 反対側は糸魚川機関区を再現しているようだ

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