親戚からタクシー運転手まですぐバレた 小林幸子、“マスクの下の正体を探る”というコンセプトを超越する存在感 “マスクド・シンガー”インタビュー
まさにラスボス。
マスクで顔を隠した著名人がパフォーマンスで競い合う音楽ライブエンターテインメント「ザ・マスクド・シンガー」(Prime Video)シーズン2が8月4日から配信中。シーズン1に出演した演歌歌手の小林幸子さんが、今シーズンはマスクの下の正体を探るパネリストとして番組に参加しています。
“パフォーマンスを楽しみつつ歌声とわずかなヒントからマスクの下の正体を探る”という同番組で、MC大泉洋さんいわく「一声聞いただけで正体が分かってしまった」と強烈な個性が番組コンセプトを上回ってしまった小林さん。しかしMCやパネリストの戸惑いをよそに、本人は「すごい格好をするのは結構慣れているんですが、顔まで全部隠すというのは今回が初めて」と楽しんでいたといいます。親戚からタクシー運転手まで、片っ端から視聴者にバレまくっていた小林さんにいまだから話せる裏話を聞きました。
こぶしを消して、しゃべりを直して…… それでもバレた唯一無二の歌声
―― シーズン1配信後に反響はありましたか?
小林幸子(以下、小林) もう反響なんてものじゃない、凄かったんですよ。私はエスカルゴとして出演したじゃないですか。そうするとね、「さっちゃん、エスカルゴでしょ」って親戚から電話かかってくる。でも、マスクを外すまで自分からバラしてはいけないから。絶対ダメなんですよ。
だから「教えてくれたっていいのに」とか散々ブーブーいわれて。ファンの方やタクシーの運転手にも「エスカルゴですよね」っていわれた。興味を持ってくれてうれしかったです。すごく楽しいエンターテインメントですよね。
―― やはりバレまくっていたんですね……。
小林 一声で小林幸子ってバレちゃうから、極力分からないようこぶしを全部削って歌うようにしていたんです。結構大変ですよ。
とにかく練習しました。家にカラオケ部屋――楽しく歌うというよりは練習するための部屋があるんですけど、そこで必死に歌っていましたね。
―― 人知れず苦労していたということですが、選曲はどのように進めたんですか?
小林 1曲目は「鬼滅の刃」の「紅蓮花」(LiSA)を歌わせてくれって私の方からお願いしたんです。“小林幸子の「紅蓮花」”って想像つかないでしょ。そういうのがいいなと思って。全く歌ったことない曲だったので一から練習しました。
長く自分の歌を歌わせてもらって、コンサートはそれで成立するわけですけれども、こういう時に今の新しい歌を覚えるっていうことは、自分にとっても細胞が活性化するとてもいいことだと思います。「ザ・マスクド・シンガー」みたいな番組がないと新しい歌を覚える機会がない。勉強になりました。
―― これまで歌手として何10年と立ってきたステージとは全く違いましたか?
小林 違いますね。マスクをかぶっているせいで視界がすごく狭い。大きな衣装を着るのはもう慣れっこだったんですが、踊りながら3歩ぐらい歩いてくださいっていわれても全然バミリが見えないんですよ。
でも、カメラのアングルの中に入らなきゃいけないから、どうしようって思って。最後は勘と度胸でした。
―― 小林さんほどの方でも苦心していたんですね。
小林 緊張しました。もちろん何でも緊張するんですが、やっぱり正体を分からせないようにしなきゃいけなかったので。しゃべっている声も機械でチェンジしていますよね。私のしゃべり方は特徴的らしいので、気付かれないように気を付けました。
マスクがなければ歌えない歌があった 歌手が番組に挑戦する意義
―― ステージの裏側はどのような感じだったのですか?
小林 スタッフの皆さんを尊敬します。番組制作に命を懸けてやっているのが分かるんですよ。パフォーマーたちのコスチュームはそれぞれ違い、さらに前からは見えない部分ひとつひとつにまでこだわりがあって、この執着はすごいなと。もう完璧プロですね。
もちろん、私も衣装に関してはそこそこ自分のこだわりを持っているんですが、“こんな風にした方がもっとリアルに見えるんじゃないか”って、本番ギリギリまで工夫を重ねている姿は、すごいなと思いましたね。
―― そうして誕生したのがエスカルゴだったんですね。コスチュームを身に着けて本番の出番を待つ間はどのような気分でしたか?
小林 楽屋に入ったとき、つまり現場に到着して車を出るときから全身を隠されました(笑)。「千と千尋の神隠し」のカオナシを想像してください。全部覆って楽屋まで歩くんです。だから隣の楽屋に誰がいるのかも分からない。楽屋前には「エスカルゴ様」しか書かれていないんです。タレントさんの名前は一切なかったですね。
―― シーズン2では堂々と名前を出し、パネリストとして出演されています。どんな心境でしたか?
小林 パフォーマーとしてステージに立った時に、私はパネリストを見るわけじゃないですか。それが今度は逆になった。「ああ、こんな風に見えてるんだな」とまず思いました。パネリスト席からステージを見ていると「ここで緊張するな」と分かるんですよ。確認しなきゃいけないこととか、限られた時間の中でやらなきゃいけないこととか手に取るように。
人によって違うんですが、私の場合は衣装が本当に重たかったんです。頭も全部光るので中にバッテリーも背負っていて。しゃがんだ姿勢から立ち上がって歌う演出で、立ち上がれないほど。ヒールも履いていたので、どこに力を入れたらいいのか分からなくて困りましたね。
今回もツイスターがブワーって寝る演出があったのですが、本当に「どうして寝ちゃったんだろう」と。あの衣装には全身電飾がついていますから「きっと重たい、起き上がれるの?」ってそっちの方が心配でした。
―― あらためて、マスクをかぶってパフォーマンスするというこの企画を聞いたときの印象を聞かせてください。
小林 面白いと思いました。私はすごい格好をするのは結構慣れているんですが一応顔は出していますので(笑)、顔まで全部隠すというのは今回が初めてでした。
アメリカ版を拝見したんですが、ディオンヌ・ワーウィックがマスクを取ったときの衝撃は忘れられません。なんてワクワクする楽しい番組なんだろうって。お話をいただいて「ぜひやらせてください」と伝えました。
―― マスクをつけていたからこそできたことはありますか?
小林 そうですね、マスクがなければ「紅蓮華」は歌えていないと思います。自分の歌は、やっぱりエスカルゴで歌う歌ではないですから。マスクをつけていなかったら私もつまんないですし、なんにも面白くないですよ。
公開情報:『ザ・マスクド・シンガー』シーズン2
Prime Videoで8月4日20時から独占配信。本編9話。初回3話配信で以降は2話ずつ毎週木曜20時から順次配信
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いくつになってもみずみずしい感性の小林さん。
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