「亡くした愛猫を剥製にする」とパートナーが言い出して…… “ペットの死”への向き合い方を描く漫画に考えさせられる 作者に思いを聞いた(1/4 ページ)
最愛のペットの死に、どう向き合うか。
もし愛するペットを亡くしてしまったら、一体どうすればいいのか――。ペットロスへの向き合い方を描いたある漫画が、「考えさせられる」として、Twitterで4万いいねを集めるほど大きな反響を呼んでいます。編集部は、作者に作品の製作背景や反響などについて、話を聞きました。
注目を集めたのは、漫画家の矢野満月(@yanomaan)さんがTwitterに投稿した短編「シビは寝ている」。愛猫を失った男女が、その亡骸(なきがら)を剥製にするか悩み、すれ違いながらもその死に向き合っていく物語です。
ある金曜日の朝、2人が11年間飼っていた愛猫・シビが息を引き取ります。そのショックからオロオロしてしまう主人公のタカオに対し、意外にも冷静な様子を見せるパートナーのマキ。タカオはその様子を疑問に思いながらも、パートへと出かけます。
タカオは、涙をこらえつつ何とか仕事をこなして帰宅。すると、シビの姿が見当たりません。「あの…シビは?」とマキに尋ねると、マキは手に持った包丁で冷凍庫を差します。冷凍庫を開けると、そこにはキンキンに凍ったシビの姿が。そして、マキの口から衝撃の思惑が語られます。
「シビは 剥製にするから」
剥製の製法や金額について淡々と説明するマキの姿に、「この状況やっぱりおかしくない?」と疑念を抱くタカオ。この11年、シビの身に何かがあったとき、決まって取り乱していたはずのマキが、シビ亡き今、あまりにもいつも通りでいる……。タカオはその状況に対し、「こんなのフツーじゃない」「シビが死んだショックでおかしくなっちゃったんだ!!」と結論付けます。
マキの精神を案じたタカオは、「俺がなんとかしなきゃ!!」と覚悟を決め、「剥製にしたってシビは生き返らないし戻ってこないんだよ ちゃんと火葬なり埋めるなりして供養してあげないと」とマキを諭します。しかし、マキから返って来たのは「なんで?」という疑問の言葉でした。
「なんで剥製は可哀相なの?」「死体を灰になるまで焼き尽くしたり 土の中で腐らせて虫や微生物の餌にするのは なんで可哀相じゃないの?」
タカオはマキの質問に言葉を詰まらせるも、「生き物は死んだら自然に還すべきだし それを阻むのはあまりにも人間のエゴなんじゃない?」と反論します。すると、マキは「…そうだね これは私のエゴだね」と認めつつ、次のように言うのでした。
「シビを家につれてきたのも 外に出ないように閉じ込めたのも 嫌がるシビに無理やり注射したり薬飲ませたりしたのも 全部私のエゴだ」
「だから私は最後まで私のエゴをつらぬく」
タカオはその理論に押されながら反駁(はんばく)を試みますが、2人の議論は平行線のまま、マキはシビと一緒に家を出ることを告げます。追い込まれたタカオが選んだ道は……。続きは、本編をご覧ください。
Twitterでは、“ペットの死”という重大なテーマを丁寧に取り扱っているこの作品に対し、「何回も読み返したい素晴らしい短編」「真っ向から人の心というものに向き合っている暖かな話。感動」「考えさせてくれてありがとう」などのコメントが寄せられました。また、剥製の是非について、さまざまな意見も集まっています。
編集部は作者の矢野満月さんに、この作品を制作した背景や漫画の反響などについて尋ねました。
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