バーチャル空間でのクラブイベントが人気加速中! 第一人者DJ SHARPNELに聞く、インターネットとVRのDJ30年史(1/4 ページ)
VRのクラブなら、おうちから0秒で遊びに行けます。
2020年前後からコロナ禍でなかなか行きづらかった「クラブ」。最近は徐々に営業再開しているところも増えてきた。
そんな中で爆発的に盛り上がりを見せている場所がある。VR空間内のクラブだ。DJも観客も、アバターをまとって音楽を楽しむ。客はソーシャルディスタンスを気にせずはしゃぎまわれる。現在だと“満室”になることも多々ある。
このVRDJを最初期から続けているのは、ハードコアテクノにオタク系サンプリングを混ぜた音楽で話題を作り続けてきたDJ SHARPNEL。彼はインターネット黎明期から活動を開始し、オンラインDJ配信やVRDJなど常に新しいDJシーンを切り開き続けてきた。
今回はDJ SHARPNELに、90年代からの激変し続ける日本の情勢とハードコアテクノシーンについて、そして盛り上がりが加速しているVRDJについて伺った。彼の活動から、クラブシーン最先端の様子とインターネット激動の30年史を追っていこう。
DJ SHARPNEL
ドイツやオランダのガバミュージックなどを下敷きに、日本のサブカルチャーサウンドをサンプリングし、独自のハードコアテクノスタイルを築いたトラックメイカー・DJ。90年代から活動しており、2017年からは「音楽活動のフル仮想化」を宣言。現在はVR空間でアバターをまとって活動を続けている。
コロナ禍とVRクラブシーン
――最初にVRDJをやったときの事って覚えていますか?
2018年頭だと思います。「GHOSTCLUB」(※1)も同じころに始まっていました。当時はマイクでDJする人たちもいれば、僕のようにTwitch経由でやっている人もいました(※2)。
※1 2018年から続くVRクラブ。主催は、現在サンリオバーチャルフェスなどでも活躍している「0b4k3」。薄暗い独自の空気感が特徴で、今もすぐ満室になる人気イベント
※2 ワールドから音を流すのではなく、個人の声扱いで音楽を流すタイプのDJ。VRChat初期はTwitchでDJ配信をし、その映像と音をVRChatに流す、という技術を使っていた。今も海外ではよく使われている
――2018年はまだVR機器の普及率は低かったと思いますが、観客は来ていましたか?
当時は世界中で毎日イベントをやっているという状態でもなかったので、僕らは普通にパブリック(※3)でイベントをやってたんですよ。WebサイトやTwitterからすぐにリンク踏んで入ってもらえて、そこがパンパンになるぐらいには来ていましたね。
※3 誰でも入れる状態になっているワールドのこと。現在のクラブイベントでは「FriendのFriendsまで」など制限があるワールドを使うことのほうが多い
――DJ SHARPNELさんのファンの方や友達の方も、当時動き始めていらっしゃったのですか?
そうですね。2018年4月ゴールデンウィークに「HARDTEK CHANNEL VR」を開催して、そのときに来日中のMat Weasel、Floxytek、Tanukichiなどのもともと僕たちがすごく仲良くしているフランスのアーティストが来日していたので、彼らに出演してもらいました。日本のDJクリエイターの人たちにも出てもらったりして、すごくパーティー感がありました。これは渋谷の箱をわざわざ配信用に借りて、そこからVRChat側に配信する形でやりましたね。
――DJ SHARPNELさんを見てVRDJに興味を持った人は多いと思います。
ほんと、時代のタイミングがあるんです。正直2018年はクラブシーンは全然元気で、2020年のオリンピックに向けたインバウンド施策で、ものすごいでっかいクラブがガンガン建ってたときなんですよ。外国人観光客も当時は4000万人ぐらい毎年来てた状態だったので、毎週リアルのクラブイベントがいろんなところで開催されていた環境でした。だから正直VRにわざわざ行く必要はあんまなかったですね。
――確かにVR機器が普及してないのに、盛り上がってるリアルイベントに行かないでVRに行く必要がないですね。
ですよね。オリンピックに向けてリアルな遊びが充実して、街の形もどんどん変わっていくすごいダイナミックな時代だったのだけど、コロナが広がってしまった。2020年4月以降は外出禁止レベルになってしまいましたよね。
――当然クラブも……。
もっての外ってなりますよね。配信で投げ銭するっていう文化が2020年以降に定着していったのも、コロナの影響はすごく大きいですよね。外に飲み会で遊びに行くとかクラブに行くとか旅行に行くとかっていうお金の行き先の1つが、バーチャルになったっていうのは大きなものだと思います。
――コロナ禍が始まった2020年ぐらいから、VRに入ってきた人が多くなった印象はありますか?
ありました。自分もDJ現場でやってた人間として先行してVRに来てやってたわけですけれども、これまではどっちかっていうとVRでやっていた人がDJやクリエイターになっていくっていうのがすごく多かったんです。でも2020年に入ってからは、昔一緒に活動していたクリエイターさんたちがどんどんVRに入ってくる状態になりました。
――VRDJシーンの急成長もその頃からでしょうか
そうだと思いますね。2020年から2021年に、もともとDJをやってきた人がVRに来ていますし、VRに来てからクラブ音楽を初めて知ってDJを始めた人たちもいます。DJの世代感や文化が一気にシャッフルされたような感じはありません?
――あー、確かに! 年齢とか関係なくなりましたね。
2023年でだいぶクラブイベントもできるようになってくると、VRでDJ始めた人がリアルの現場に出てむちゃくちゃかっこいいプレイをやってくれている。VRが1つのクラブシーンの受け皿になってたんだっていうのは、2020年からの大きな出来事ですね。
DJ活動、仮想化します
――VRに実際に触れたのはいつくらいですか?
2014年ですね。Oculus Rift DK2が出た年です。当時3万円ちょっとぐらいで買えたと思います。バーチャルリアリティー自体は2000年代の頃からいつか自分でもやれるんじゃないかっていう希望を持っていました。
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液晶モニターには対応していないガンシューティングで遊べて良い。
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