多くの持病を抱え11歳で介護が始まったワンコ…… “永遠の愛をくれた”愛犬を守るために奮闘した日々(1/3 ページ)

「ペットの介護エピソード」第10回はキャバリア・キング・チャールズ・スパニエルのリリィちゃんです。

» 2024年02月03日 20時30分 公開
[藤田まこねとらぼ]

 近年、飼い主の「ペットは家族の一員である」という意識が高まり、ペットに対しても健康で長生きできるように、生態や習性に合わせた適切な飼養管理が行われるようになってきました。生活環境や栄養状態の改善、ワクチンや駆虫薬の普及、獣医療の進歩などさまざまな要因で、ペットの平均寿命が延びています

 「一般社団法人ペットフード協会」による「令和2年(2020年)全国犬猫飼育実態調査」では、犬の平均寿命は14.48歳、猫の平均寿命は15.45歳。10年間で犬は0.58歳、猫は1.05歳寿命が延びています。成犬・成猫は1年で人間の4歳分の年齢を重ねるといわれており、大きく寿命が延びていることが分かります。

 寿命が延び、愛するペットとともに長く暮らしていけることはとても幸せなことですが、長寿化ゆえに新たな課題も発生しています。それは加齢により生じる体の不調です。

 ペットも人間と同じで、歳を重ねるにつれ体力や免疫力が落ち病気にかかりやすくなったり、足腰が弱ってきたりします。それだけでなく、認知症や寝たきりになって、人と同様に介護が必要になるケースも。もちろん加齢だけでなく、病気やケガなどが原因で介護が必要になることもあるでしょう。

 そこで、ねとらぼ生物部ではペットを介護した経験のある読者にアンケートを実施。寄せられた数々のエピソードと写真を紹介するとともに、介護の現実や厳しさだけでなく、その経験から生まれるペットへの深い愛情や命の尊さを伝えていきます。

犬の介護 リリィちゃん

第10回 キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの「リリィ」ちゃんと飼い主のそらさん

―― 介護が始まったときのペットの年齢と、きっかけを教えてください

 元々、先天性の持病(膝蓋骨脱臼、股関節不全、心臓弁膜症、心臓肥大)を抱えていたので、加齢とともに症状が重くなっていき、11歳から介護が始まり12歳で虹の橋を渡るまで続きました。

―― どのような介護をしていたのでしょうか

 筋力も衰え歩けなくなってしまったほかトイレが自分でできなくなってしまったので、介助をしていました。

犬の介護 美しい横顔

―― 介護する中で一番大変だと感じていたことを教えてください

 歩けなくなってから24時間ずっとほえ続けていたので、私自身も夜眠れなくて寝不足になってしまったことです。寝ないと自分の健康も保てなくなってしまうので、「眠れなくてもいい体だったらよかったのにな」とこのときは心底思いました。まず自分が元気でなくては、愛犬のお世話ができなくなってしまうので……。

犬の介護 にっこり笑顔がステキです

―― 介護生活のなかでの学びや気付いたことがあれば教えてください

 床は段差がないバリアフリーがいいなと思いました。家は段差が多かったので、その分愛犬に大変な思いをさせてしまったし、自分自身も移動の際に苦労して痛感しました。介助用の洋服やクッション、ベッド等、介助道具は本当に助かりました。

 また、介護に向き合うのは一人では大変なことです。私自身、一つ一つが試行錯誤の連続でもありました。そういったときに、サポートしてくれる人、相談できる人や場所があることの大切さも学びました。

 愛犬は、持病をたくさん抱えていたため外でのお散歩中は興奮させないよう周りに気を張り巡らせていました。愛犬がお空へ旅立った後に、黄色いリボンを付けることで「様々な理由から近づかないでほしい」ということを周囲へお知らせできる「イエロードッグプロジェクト」の存在を知り、もっと早くに知っていたらなと強く思いました。

 どんなワンちゃんも安心してお散歩ができるように、現在、私は「みんなのイエロードッグプロジェクト」のボランティアスタッフとしてお手伝いをさせていただいています。

犬の介護 アンニュイな表情

―― 介護生活の中で心掛けていたことがあれば教えてください

 愛犬が少しでも穏やかにいられるように、それを第一に考えていました。

犬の介護 かわいい……
犬の介護 ひなたぼっこ中

―― 介護していたペットへの思いを教えてください

 渦中にあるときは、一人涙を流したこともあります。ですが、今となっては全てが愛おしく、介護させてくれてありがとうという感謝の思いでいっぱいです。私一人では経験出来なかったこと。あなたは私の誇りです。たくさんの愛を、永遠の愛を、本当にありがとう。

犬の介護 うれしい気持ちが伝わってくる1枚
犬の介護 ゆったりと寝そべって

―― 介護中の方へのアドバイスがあれば教えてください

 ペットと触れ合える時間、その温もりを大切に過ごされてください。

(了)

犬の介護 そらさん、ありがとうございました

 少しでも健康で長生きしてほしいからこそ、介護に全力を尽くし、自身の生活や心身に大きな負担を掛けてしまう飼い主さんも少なくありません。状況によってはペット介護サービスを利用する、同じく介護をしている人たちと情報を共有するなど、1人で抱え込まない環境づくりも大きな助けになるでしょう。

 これからペットを迎えようと考えている人や、現在介護の必要がない飼い主さんは、健康寿命を伸ばす対策をする、介護の知識を取り入れるなど、少しずつ準備を始めておくと良いかもしれません。介護も含めて大切なペットとの一生です。その時間も愛せるようにペットと寄り添い続けていきたいですね。

 ※「ペットの介護エピソード」の応募は締め切りました。たくさんのご応募ありがとうございました!

 「ペットの保護エピソード」応募フォームはこちら

 「ペットロスとの寄り添い方」応募フォームはこちら

オススメ記事

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2502/17/news061.jpg ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  2. /nl/articles/2502/18/news140.jpg 職場で21歳上の女性上司に“一目ぼれ”→猛アタックして交際&年齢差を乗り越え結婚 夫妻が波乱語る
  3. /nl/articles/2502/18/news090.jpg 伊勢丹で販売の高級バレンタインチョコに「カビによる汚染」発覚…… 回収・返金へ
  4. /nl/articles/2502/18/news092.jpg 「悲しみに暮れてる」 サイゼリヤがメニュー改定→“定番商品”消滅にショック広がる 「大好きだったのに」
  5. /nl/articles/2502/18/news011.jpg そうはならんやろ! あどけない女の子が約45年後には…… “とんでもないギャップ”に爆笑 「立派に育ってw」
  6. /nl/articles/2502/11/news012.jpg 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  7. /nl/articles/2502/18/news005.jpg 咳き込んでいたら、愛犬が寄ってきて…… ぽとりと置いたぬいぐるみに「なんて優しい子」と大反響 1年後の現在、飼い主に話を聞いた
  8. /nl/articles/2502/18/news151.jpg 父は時任三郎、母は元モデルの“33歳俳優”が「ダンディー」と話題 海外生まれで大卒後に俳優として活躍中
  9. /nl/articles/2502/18/news014.jpg 不要になったペットボトルに種をまき、3カ月育てたら…… 驚きの成果に「すごっ!」「素晴らしいアイディア」
  10. /nl/articles/2502/18/news047.jpg 母が7歳娘のために“ほぼ100均コーデ”を手作りしたら…… 信じられないクオリティーに驚き「マジすごい」「おしゃれすぎ」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
  2. コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
  3. 「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
  4. 雑草ボーボーの荒れ地に“牛3頭”を放牧→2週間後…… まさかの光景に「感動しました」「いい仕事してますねぇ〜!!」
  5. “この子はきっと中型犬サイズ”と思っていたら……たった半年後とんでもない姿に 「笑わせてもらいました」
  6. 年の差21歳で「夫は娘の同級生」 “両親大激怒”で結婚は猛反発されるも……“まさかの行動”で説得
  7. 163センチ、63キロの女性が「武器はメイクしかない」と本気でメイクしたら…… 驚きの仕上がりに「やっば、、」「綺麗って声でた」
  8. サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
  9. ママが反抗期の娘に作った“おふざけ弁当”がギミックてんこ盛りの怪作で爆笑 娘「教室全員が見に来た」
  10. 「さすがに無神経な内容」 “暴言受けた”伊藤友里が降板発表→岡田紗佳の直後の投稿に批判の声 Mリーガーも反応
先月の総合アクセスTOP10
  1. ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
  2. 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
  3. 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
  4. 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
  5. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  6. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
  7. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
  9. 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
  10. 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議