「看板キャラが生粋クズ(27歳)」 公式が商売下手すぎてとうとうユーザーが自発的に宣伝を始めたゲーム「メギド72」を今こそ全力で紹介する:モバクソ畑でつかまえて
ユーザーの間では「公式が宣伝費を開発費につぎ込んだ」というウワサもあるとかないとか……。
「モバクソ畑でつかまえて」といいながら、たまには「どうぶつタワーバトル」のような良作も気まぐれに紹介したりする本連載。今回は公式Twitterが先日とうとう「27歳の生粋のクズ」を推し始めてユーザーがざわついた(この説明だけだとまったく意味不明だと思いますが読めば分かります)、DeNAのスマートフォン用ゲーム「メギド72」を紹介します。
余談ですがこのゲーム、世間的にはそこまで有名ではないものの、スマホゲーム関係者に「最近いいゲームない?」と尋ねると「メギド72いいですよ!」と決まって名前が挙がる作品でもあります。一体何がそんなに評価されているのか、「27歳生粋のクズ」とは何なのか、モバクソゲーサークル「それいゆ」発起人であり、クズに詳しい「怪しい隣人」(@BlackHandMaiden)さんに語ってもらいました。
ライター:怪しい隣人
出来の良くないソーシャルゲームを勝手に「モバクソゲー」と名付けて収集、記録、紹介しています。モバクソ死亡リストは500件を超えました。年々ソーシャルゲームが複雑になり、ダメさを判定するのに時間がかかるのが最近の悩みです。本業はインフラエンジニア。そのためソーシャルゲームの臨時メンテは祭り半分胃痛半分な気分です。
公式が「生粋のクズ」とか言い出すゲーム
先日9月19日、「メギド72」というスマホゲームの公式Twitterが珍妙なツイートを投稿しました。
個性的なキャラがいっぱい!
- 世界の破滅を望む18歳
- 解剖大好き18歳
- 27歳の生粋のクズ
- 実は一番危険な25歳
あなたの推しはどんなキャラですか? #メギド72
個性的なキャラがいっぱい! というセリフのあとに続くあまりにもあまりな惹句の数々。極め付きは「27歳の生粋のクズ」というインパクトのある表現。続くツイートを見ても誰が生粋のクズのなのかはよく分かりません。「推しを見つけてくださいね(。>ω<)ノ」といわれても困ります。これがもし宣伝ならば、ものすごくお客を選ぶ宣伝ではないでしょうか。というかこれで来る客はどういう存在なのかと。
ですが、既存ユーザーにはバカウケでした。「運営はゲームのウリを分かっている」と喜ぶ人、反対に「俺たちが変な宣伝ばっかしてたから運営がこんな宣伝を始めてしまった」と悩む人。そんな宣伝をしてしまった「メギド72」とは一体どんなゲームなのでしょうか。
ゲームの話の前に生粋のクズとはなんぞやということを説明しておきますと、ゲーム中に登場する味方キャラクターのフラウロスという男です。人の財布の中身を勝手に使い込む。ツケで酒を飲み日々働くわけでもない。いいもうけ話があるからお前代わりに働いてこい。こんな性格であちこちのもめ事に首を突っ込むトラブルメーカーであり、人にクズと言われるが自分も他人をクズ呼ばわり。最初は年齢が公表されていなかったため、10代のチンピラかと思われていたのですが、後に27歳という年齢が発表されてプレイヤーを悪い意味で驚かせました。他の3人にも相応に問題点があるのですが、残念ながらうちのアジトには他の人間がいないので深くは語れません。幸いにして、というべきかもしれませんが。
公式に売る気がなさすぎてユーザーが自発的に宣伝を開始
そんなクズを看板にしてしまった「メギド72」ですが、決してクズだけが売りというわけでもありません。「メギド72」の魅力は、コマンドを敵と味方で奪い合う、とでも言うべき独特の戦闘システム、レア度を自分で決めることができ、周回の手間もかからないキャラクター成長システム、シビアでハードなストーリーとそれを彩るキャラクターの個性、この3つに大きく分かれると思っています。
ですが、これらの魅力を公式が大きく伝えているわけではありません。メディアへの露出も多くなく、宣伝なども見たことがないという人が多いかと思います。「公式が宣伝費を開発費につぎ込んだ」などといううわさもありました。
そこで、このままではこの作品が知られぬままに早期終了を迎えてしまうのではないかと考えたユーザーたちは、Twitterなどで草の根宣伝活動を行い始めました。戦闘システムは説明すると大変長くなってしまいます。キャラクターの成長システムはゲームを始めてから便利だと思えるものの、実際にプレイしてみないとその便利さは体感できません。結果、分かりやすくインパクトもあるストーリーやキャラクターのお話がTwitter上で語られることとなりました。
ここ数回のイベントシナリオのお話を軽くまとめてみますと、「獣の耳が付いてる愛らしい幼女が悪魔の化身として迫害され、ひたすら不幸な目に遭う話。クリアするとその不幸な幼女が仲間になる」「因縁の相手に知り合いの少女が洗脳されてると聞いて探しに行くフラウロスの物語。因縁の相手が嫌いなだけで善意からの行動ではない。クリア後フラウロスが仲間になる」「主人公を捕らえるべくやってきた組織からの刺客だが、組織に裏切られてしまった男のてん末。主人公の説得でこちらの味方になったはいいがとんでもないヤンデレ」といった感じです。
これらのシナリオ展開やキャラクターを「今ならイベントをクリアすれば無料でクズがもらえる!」「次のイベントクリアでヤンデレ男がもらえる!」と吹いてまわり、「一体何事か」と興味を示す人を引きずり込む。これがTwitter上での「メギド72」布教の流れでした。そして、実際にそれらの口コミから、ゲームに興味を示す人がじわじわと増え始めました。そんな状況の中、今回の公式からのつぶやきで、既存ユーザーが「俺たちと同じようなことを公式が言い始めた!」となったのだと思われます。
また、今回の公式の発言が「全員男キャラ推し」なのに気付かれたでしょうか。Twitterを見ていても話題にしている人は女性プレイヤーが何となく目立つように思われます。もちろん、虐待される幼女を見て喜び盛り上がる男性というのもそれはそれでアレですが。思えばイケメンやイケオジ、美少年が実装されたゲームは多いのですが「悪い男」を求める女性向けのゲームというのは(スマホゲームでは)あまり聞いた記憶がありません。
27歳生粋のクズと世界を救う旅へ出てみませんか
なお先にも書きましたが、私の手元にはフラウロス以外のダメな男たちは存在していません。「ガチャでキャラクターを手に入れづらい」のは「メギド72」の欠点でもあります。一部のキャラはゲーム開始時に何度でも引き直し可能なガチャで入手できるところは救いです。先日キャラが選べるチケットの販売もあったので、これが定期的に行われることを祈るばかりです。
ここまでいろいろとご紹介してきました「メギド72」、いかがでしょうか。もし興味を持たれた方がいらっしゃいましたら今は始めどき。27日まで体力消費が半分というキャンペーンを行っています。
戦闘が難しそう、と思われた方もいらっしゃるかもしれません。ですがそこはご安心。このゲームは序盤の攻略が公式サイトに掲載されているというなかなか珍しい作品でもあり、そういうところも地味にユーザーフレンドリーなのです。いろいろな意味で玄人向けっぽいけれど、入ってみると意外とそうでもない世界に入ってみませんか? さあ、今から27歳生粋のクズと世界を救う旅に出てみましょう!
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