クルマのドアハンドルといえば、皆さんはどのようなカタチを思い浮かべるでしょうか。
昔からあったのは「フラップタイプ」です。手のひらを上に向けて、下側から手を入れて引っ張って開けるタイプです。一方で最近の人ならば、棒状の取っ手が付いた「グリップタイプ」を想像するかもしれません。
かつてはグリップタイプのドアハンドルが付いているのは高級車や外国車ぐらいでしたが、2019年現在は主流のコンパクトカーや軽自動車でもそう珍しくない装備です。なぜフラップタイプからグリップタイプに主流が移ったのでしょうか?
日産ヘリテージコレクション選定の歴代スカイラインセレクト3。グリップタイプの1957年製「プリンススカイライン デラックス(ALSID-1型)」、フラップタイプの1974年製「スカイライン ハードトップ 2000GT(KGC110型)」、フラップタイプの1989年製「スカイライン GTS-t タイプM(R32型)」
なぜドアハンドルは「グリップタイプ」が主流になったの?
カーデザインの流行り廃りなど理由はさまざまですが、その1つに非常時の安全性が挙げられます。グリップタイプの方が力を入れて握りやすい傾向にあり、ロープなどを通すこともできるので、速やかにドアを開けて救助できる可能性が高い──とされます。もちろん普段も、上からでも下からでも握れるグリップタイプの方が扱いやすいことでしょう。
また、フラップタイプだとボディーに爪が当たってしまって「爪が痛む(あるいは、ボディーが傷つく)」というユーザーの声も理由の1つとされます。グリップタイプもフラットタイプもどちらも一緒なのではと思えますが……下から差し入れるフラップタイプの方が、目視できない分ガリッとなってしまう率が高いのだと推定されます。
しかし、フラップタイプにも長所はあります。デザイン性です。ボディーから出っ張らないタイプならば、空気抵抗の観点でも有利ですし、何よりボディー造形を大きく崩しません。
こうして凝ったデザインのクルマが増える昨今は、このフラップタイプのこの強みも見直されています。例えばスズキの「スイフト」(関連記事)は、「運転席と助手席は操作性重視のグリップタイプ、後部座席はデザイン重視のフラップタイプ」というスタイルを採用しています。トヨタの「C-HR」(関連記事)もフラップタイプではありませんが似ています。ボディーと同色のパーツで一瞬どこにドアハンドルがあるかが分からないほど自然に隠れており、それによってクーペのようなカッコよさを演出しています。
もっとも、一部の高級車にはさらに少し先へ行った「自動収納タイプ」も増えています。例えばテスラ・モデル Xやモデル3(関連記事)のドアハンドルはグリップタイプですが、普段はボディーの内部に収納されています。触れるとシュィィンとハンドルが出てきます。ついでにモデルXのガルウイング風に開くリアドアは、キーリモコンで遠隔開閉操作も可能。カッコイイですね。
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