ユークスらしい丁寧な作り込みを随所に感じる“エキプロ”最新作:「エキサイティングプロレス7 SMACKDOWN! vs RAW 2006」レビュー(1/3 ページ)
ユークスのプロレスゲームに対するこだわりと開発力の高さには、いつもながら感心させられる。主力タイトルの「エキサイティングプロレス」7作目は、グラフィックもモーションもさらなる進化を遂げて、文句なしにプレイステーション 2のベスト・プロレスゲームに仕上がった。
毎回、期待に違わぬ完成度を見せてくれる“エキプロ”
プロレスゲームの購入層というのは、おおかたプロレス自体のファンが圧倒的に多いのだろうけど、わたし自身は“ファン”と公言できるほどプロレスに明るくない。それなのに“プロレスゲーム”となると、まるで条件反射のように手にしてしまう。とりわけ、ユークス開発のソフトは、海外のみリリースされた作品も含めてすべてプレイするほどに思い入れが強い。さながら“ユークス製プロレスゲームのファン”といったところかもしれない。
これほどまでに引きつけられるのは、ユークスのゲームがTVのプロレス番組以上にプロレスの醍醐味を知らしめてくれたり、新作が出るごとにその高い技術力を見せてくれるからにほかならない。この「エキサイティングプロレス」も、2000年にプレイステーションで1作目が登場して以来、ほぼ年に1作のペースで続編が登場しているが、毎回、グラフィックの質の向上や新要素によるゲーム性の広がりなどが目に見えてわかる。今回の「エキサイティングプロレス7 SMACKDOWN! vs RAW 2006」も、ハードをプレイステーション 2に移して5作目になるというのに、前作の「6」からまたも大きな進化を遂げていることに驚く。このシリーズは、日本以上に海外市場での人気がすこぶる高いが、大手ならともかく、日本の中堅メーカーが海外市場を席巻しているさまも何か小気味よい。
このエキサイティングプロレスシリーズは、全米最大のプロレス団体“WWE(World Wrestling Entertainment)”のライセンシーソフトで、同団体に所属するスーパースター(WWEではレスラーのことを“スーパースター”と呼ぶ)が実名で多数登場することが特徴。WWEについて軽く説明しておくと、競技というよりはエンターテイメント性を前面に押し出したショースタイルのプロレスが特色で、スーパースターの間で繰り広げられる抗争劇や派手なパフォーマンスで人気を集めている。かつてはWWEのほかにもWCWやECWといった有力団体があったが、経営難に陥った2団体をWWEが相次いで買収し、現在の米プロレス界はWWEの寡占的な状況。多くの所属スーパースターを抱える巨大団体と化したことから、現在のWWEでは人気の高いスーパースターを2つのグループに分け、「SMACKDOWN!」と「RAW」という2ブランド体制でTV番組制作や興行をしている。
PS2でスーパースターをここまでリアルに再現できるとは思わなかった
今回のエキプロ7でまず目を引くのが、実在するスーパースターの再現性の高さ。前作のクオリティも相当なもので、「プレイステーション 2ではこのあたりが限界かな」と思っていたが、その前作を軽く凌駕するリアルさに圧倒される。顔立ちや髪型などをよく似せてあるだけでなく、今回はボディにも多くのポリゴンを割いていることが感じられ、皮膚やコスチュームなどのテクスチャもさらに細かく描き込まれている。
ゲームシステムにも新要素が多分に盛り込まれている。その1つが、スーパースターのアクションに応じて増減する「モメンタムゲージ」。このゲージがMAXの状態になると、固有のフィニッシュムーブ(いわゆる必殺技)が発動できるが、従来のフィニッシュゲージと異なるのは、スーパースターに“クリーン”と“ダーティー”いずれかの属性があり、その属性に合った行動を取ることでゲージが多く溜まるというところ。また、相手のアピールを真似て屈辱を与えたり、ダーティー属性のスーパースターでは“スーパーダーティー技”が繰り出せたりと、このゲージにはさまざまな使い道が用意されている。そのほかにも、スタミナの概念を取り入れたり、「スリーパーシステム」を導入するなど、プロレスらしい攻防を演出するアイデアが満載。その分、ボタン操作が少し煩雑になった感もあるが、これらの要素を駆使して試合運びを自分なりに演出できるところがおもしろい。
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