無双アクションの正統進化――もう「武将が少ない」とは言わせない「戦国無双2」レビュー(2/2 ページ)

» 2006年03月07日 16時36分 公開
[福西輝明,ITmedia]
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 でも女性からしてみると「全然分かってない」らしい。同僚の女性ライターは断言する。「ここにあるのは“燃え”ではなく“萌え”である」と。え〜。なんで? と思いつつ次のシーンを見てみます。


 いかがだろう? あなたは“萌え”を感じただろうか? たしかに私も三成の凄まじいまでのツンデレっぷりに愕然とした口だ。前作から薄々感じてはいたが、戦国無双シリーズはどちらかというと乙女ゲー寄りなのではないだろうか? しかも戦国無双2ではその色がさらに顕著になっている気がする。いや、幸村や三成たち一部の武将に限ってのことかもしれないが、女性ユーザーに向けてものすごい萌えビームを放っている気がする。むしろタイトルを「戦国ネオロマンス」に変えた方が……などと、余計な思考に取りつかれるくらい、この作品には“乙女萌え”要素が盛り込まれている。結局何が言いたいかというと、男性だけでなく女性も楽しめるゲームだ、ということ。前作の人気にもそのへんが影響していたのではないだろうか。前作も女性ユーザーの人気は高かったようだが、戦国無双2ではさらに女性層の支持が大きくなる予感。やや狙いすぎ感は漂うが、このくらいわかりやすい方がウケが良いのかもしれない。

依頼達成をめざしつつ上の階をめざす「無限城」も強化!

 前シリーズにもあった「無限城」は、己の限界をめざしてひたすら上の階をめざすというものだった。そこでは自分の限界に挑戦するという緊張感を味わえたが、ひたすら敵をなぎ倒しながら階層を昇っていくという作業が延々と続くため、途中でダレてしまいがちだった。だが、今作ではシステムを大きく変更。一定階数ごとに受けた依頼をこなし、内容に見合った報酬を獲得できるようになっている。「さらわれた姫を取り戻して犯人を捕らえろ」、「埋蔵金を探せ」といった依頼は、「無双演武」で発生するミッションとは少々勝手が違っていて飽きが来ない。

 さらにこのモードのいいところは、楽しみながらお金を稼げるうえに武将も強化できるという点。「無双演武」ではミッション達成に追われ、なかなかお金稼ぎにまで気が回らないもの。ただし、「無限城」では心おきなく資金稼ぎに集中できる。そして獲得したお金を使って武将や武器を強化したならば、今度は上の難易度の「無双演武」に挑戦する、というように理想的なサイクルができあがるようになっているのだ。

 どんな作品でもキャラクターの強化はとかく作業的になりがち。しかし、戦国無双2はいたるところに遊べる要素が仕込まれているため、気がついたら武将が強くなっていて上の難易度に挑戦できるようになっていた、ということが起こる。もし今挑戦しているステージの敵が強いと感じたら、無限城で修行し直してみることをオススメする。

 ただ、途中で失敗しても上がった階層からやり直せるという親切設計は不要だったのではないだろうか? 持てる力だけで挑戦し、力尽きたらそれで終わり。体力が残り少なくなり、必死になって回復アイテムを探し回ったあの緊張感。そしてやっと団子を見つけた時の「せめておにぎりを……」という希望と絶望がないまぜになった微妙さ加減。それらが薄くなってしまった。全体的に満足すべき変更ばかりだったが、ここはあえて鬼になってほしかった。

5階ごとに依頼を受けられるが、その際には契約金が必要になる場合も。一度支払った契約金は戻ってこないので、依頼達成に失敗すると大損する羽目に……。残りの体力と自分の実力を考慮に入れつつ、達成可能かどうかを見極めなければならない
受けた依頼以外にも、各階ごとに設定されたミッションをクリアすると報酬が獲得できる。下の階層はまだ敵も弱くすいすい進めるが、上へ進むほど敵は強くなる。生き残るのだけでも必死な状況に

パーティゲームにも最適! 新たな対戦要素「双六」

 複数の友人が集まる機会があったら、ぜひとも「双六」に挑戦していただきたい。新たに追加された対戦モード「双六」は、サイコロの目に従って盤上を巡り、領土を広げて一定金額まで資金を貯めた者が勝者となるゲームだ。感覚的には双六よりモノポリーに近いのだが、これがとにかく熱い! 相手の領土を奪う際には対戦ミニゲームが発生するのだが、勝てば収益アップ、負ければ大損というハイリスクハイリターンな戦いだけに、いやがうえにも熱くなる。ただでさえ盛り上がるモノポリー要素に、戦国無双のバトル要素が加わっているのだから、面白くないわけがない。勝者にご褒美、敗者に罰ゲームを設定して3人で遊んでみたのだが(そのうちの1人はCPU)、盛り上がりつつも全員目がマジに。しまいには険悪なムードまで漂い始める始末……。ともあれ、仲間とバカ騒ぎしながらパーティゲームに興じた学生時代の空気を、再び味わうことができた。

サイコロの目に従って日本全土を巡り歩く。この時、止まった場所に資金を投入すると自分の領土にできる。他のプレーヤーがこの場所に止まれば、一定の金額を徴収できる
相手の領土を奪う際にはミニゲームが発生。どんなルールで行われるかはルーレットで決まる。日頃磨いた腕前を見せる時

ユーザーの声を反映して、無駄を徹底的に省き新たな試みを多数盛り込んだ進化作品

 本作をプレイしてみてまず感じたことは、前作までにあったさまざまな要素が徹底的に削られているという点。オリジナル武将の作成や各武将の飛び道具といった、正直筆者的に不要と感じていた要素がなくなったのは納得した。その一方で、各武将の分岐ルートまでもがなくなっている。ゲーム中の行動によってまったく別の歴史を歩むことになるというコンセプトは非常に良かっただけに、このシステムがなくなったのはちょっと残念と感じた。ただ、実際にこれだけ大勢いる武将の物語をさらにもう1本ずつ増やすと、ボリュームが膨大になりすぎてしまうのも確か。それに、1度エンディングにたどり着けば、「外伝」として1ステージのみ“if”の歴史を歩めるようになっている。たとえ要素を削ったとしても、ちゃんと救済措置を残してくれているのはさすが。

 システムの見直しはこれに留まらない。装備アイテムも廃止されたが、これは新たな「技能」に姿を変えている。そして、敵武将から技能を盗む「スティール」によって新たな能力を得るという方式に変更されたが、結局は敵武将を倒して装備アイテムを得る、ということとやっていることは変わらない。付加効果を持つものはすべて技能というくくりにすることで、システムをシンプルにまとめることに成功している。

 ゲーム全体を一から見直し、さらに高みをめざすという姿勢の根底には、ユーザーからの声をしっかり受け止めようという姿勢があるように思う。たとえ苦労して作り上げたものでも、ユーザーの評判が悪ければ即座にスポイルして新たな遊びを考える。その真摯な姿勢が、戦国無双2を前作よりも数段進化させていると言えるだろう。前作のユーザーはもちろんだが、まだ戦国無双に触れたことのない人にこそ、ぜひプレイしていただきたい作品だ。

戦国無双2
対応機種プレイステーション 2
メーカーコーエー
ジャンルタクティカルアクション
発売日2006年2月24日
価格(税込)7140円(豪華グッズを同梱した「戦国無双2 TREASURE BOX」<税込み11340円>も同時発売)
(C)2006 KOEI Co., Ltd. All rights reserved.


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