第7回:ハイスコア更新は常に命がけ! 「ボーナス獲得=ハイリスク」の法則なぜ、人はゲームにハマルのか?(3/3 ページ)

» 2011年02月23日 14時52分 公開
[鴫原盛之,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

 さらにこのアイデアを発展させたのが、「グラディウス」シリーズの続編として1990年にスーパーファミコン用ソフトとして発売された「グラディウスIII」。本作では、特定の地点を通過すると画面が突然変化してエキストラステージへとワープする秘密の場所が数ヶ所あります。用意したムービーは2面に隠されたエキストラステージの様子ですが、ここではボーナス得点および自機のストックが増えるカプセルが大量に出現するため、スコアを稼ぐには絶好の場所となります。

 しかし、ここでもそう簡単にスコアをアップさせてはくれません。カプセルをたくさん取るためには、複雑に入り組んだ地形や突然現れる障害物にぶつからないよう、細心の注意を払いながら移動するテクニックが必要です。しかも、一度ミスをすると強制的に元のステージに戻されてしまいますので、途中で何度も壁にぶつかって悔しい思いをした経験がある人も少なからずいるのではないでしょうか? ちなみに、これと同じ形式の隠しボーナスステージは同じ「グラディウス」シリーズのMSXパソコン用ソフト「グラディウス2」や、X68000版「ネメシス'90改」などの作品でも見ることができます。

「グラディウスIII」
(C)1990 KONAMI

 このような「ボーナスの獲得=常にハイリスク」の法則は、現代のゲームにおいてもそのまま、あるいはアレンジされた形で数多くの作品において見ることができます。

 最近の例で分かりやすいのは「NewスーパーマリオブラザーズWii」。各ステージごとに、全部集めるとワールド9のステージが遊べるようになるスターコインが3個ずつ存在しますが、これらのコインは終盤のステージになればなるほど、回収に失敗すると谷底に落ちたり敵に触れてミスになりやすい非常にリスキーな場所に配置されています。ゲームの進行上、通常のエンディングを見るためにはこれらのアイテムは必ずしも必要はありませんが、プレイヤーはたとえ一度クリアしたステージであっても、お目当てのアイテムが取れるようになるまで繰り返し遊びたいというモチベーションを与える効果があります。

 また、昔からアーケードゲームにおいてはいかに多くの100円玉をお客さんが注ぎ込んでくれるかが(商売上の)生命線です。プレイヤーにハイスコアを更新したい、得点を少しでもアップさせたいとついついヤミツキにさせるにはいったいどうしたらいいのか、開発者のみなさんが知恵を絞った結果さまざまな面白いアイデアが誕生したというワケですね。

 次回以降も、スコアアップにまつわるプレイヤーがゲームにハマル秘密をいろいろとご紹介していきたいと思います。どうぞお楽しみに!

今回登場したソフトはココで遊べます!

  • 「ドンキーコング」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「高橋名人の冒険島」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「サーカスチャーリー」:PS用ソフト「コナミ80'sアーケードギャラリー」
  • 「キャメルトライ」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ上巻」
  • 「アルペンスキー」:PS2用ソフト「タイトーメモリーズ上巻」
  • 「プレアデス」:PS2,Xbox用ソフト「テクモヒットパレード」
  • 「グラディウス」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「グラディウスIII」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)
  • 「グラディウス2」:Wiiバーチャルコンソール(配信中)

著者プロフィール

鴫原 盛之 Morihiro Shigihara

 1993年よりゲーム雑誌および攻略本などでライター活動を開始。その後、某メーカーでのグッズ・店舗開発や携帯コンテンツの営業、ゲームセンター店長などの職を経て、2004年よりフリーに。現在は各種雑誌やwebサイトでの執筆をはじめ、某アーケードゲームの開発なども手掛ける。著書は「ファミダス ファミコン裏技編」(マイクロマガジン社)、「ゲーム職人第1集 だから日本のゲームは面白い」(同)の他、共著によるゲーム攻略本・関連書籍を多数執筆。近刊は共著「デジタルゲームの教科書 知っておくべきゲーム業界最新トレンド」(ソフトバンククリエイティブ)がある。

 Twitterは@m_shigiharaです。

(著者近況)

 昨年に続きまして、先月はIGDA(国際ゲーム開発者協会)日本が主催する同人・インディーゲーム部会の第8回研究会、「ジャパニーズ・ゲーム・エクスペリエンス ー 日本のゲーム文法が作るゲーム体験の未来 ー」の場をお借りしてアーケードゲーム市場をテーマにした講演をさせていただきました。今後もアカデミーの分野でどんどんお仕事をしていきたいと思いますので、本コラムの内容やアーケードゲーム市場の現状、あるいは共著「デジタルゲームの教科書」(ソフトバンククリエイティブ)の掲載内容などなど、もしご興味のある学校関係者の方がいらっしゃいましたらぜひご連絡をお待ちしております!


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/31/news026.jpg 【今日の計算】「1+2−3+4」を計算せよ
  2. /nl/articles/2405/31/news017.jpg 沖縄の川で異常繁殖した外来種の捕獲作戦を決行 大量の外来種と意外な魚の存在に「大きさにびっくり」「日本は大丈夫か!?」と150万再生
  3. /nl/articles/2405/31/news186.jpg 有名ハリウッド俳優の“天使過ぎる”美形息子の現在が話題 『GANTZ』作者「立派な女性に成長していて……」
  4. /nl/articles/2405/31/news174.jpg 光上せあら、子の“公園水道遊び”が「迷惑行為」と批判も…… 語気荒げ猛反論「子供は国で育てる!」「これが日本に必要な姿なんだよ!」
  5. /nl/articles/2406/01/news031.jpg “高2女子”がメンズカットしたら…… 驚きの大変身に「似合いすぎ」「なんやねんこの完璧さ」と反響
  6. /nl/articles/2406/01/news010.jpg 本当に同じ物件なの!? 築54年のアパートを魔改造→“まさかの姿”に激変 「カッコよい!」「普通に住みたい」
  7. /nl/articles/2405/31/news115.jpg 絶対目立つな! 浜崎あゆみ、“超高級外車”で子どもの授業参観へ ブランドで固めた強オーラに「お母さん可愛すぎ」「大パニック起きます」
  8. /nl/articles/2405/31/news172.jpg とにかく明るい安村、今度はアメリカで大ウケ オーディション番組で喝采を浴びる「この男を好きにならずにいられない」
  9. /nl/articles/2406/01/news027.jpg 4カ月赤ちゃん、寝る前におしゃぶりを差し出すと…… ママを見つめる天使の笑顔にとろけてしまった「もうすぐ羽根が生える頃かなぁ」
  10. /nl/articles/2405/31/news138.jpg 「絶対、逆写真詐欺だろ!」 コメダ、新作サンド「具沢山」名乗り戦々恐々 「ボリュームすごそうで怖い」
先週の総合アクセスTOP10
  1. 「これを見つけたら緊急事態」 農家が恐れる“生えると危険な雑草”の繁殖力に「悪いやつだったんですね」「よく食べてました」
  2. 「虎に翼」、ヒロインの弟役が初登場 演じた人物のギャップに驚き「同一人物なのか?」「朝ドラにも出るの凄いな」
  3. 【今日の計算】「9−9×9+9」を計算せよ
  4. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
  5. YUKI、大胆なスリット入った近影に驚きの声 「52歳なの意味わからんな」「ここまで変わらないって本当凄い」
  6. 誰にも懐かないボス犬を、1歳娘が散歩へ連れて行くと…… 従えて歩く驚きの光景に「あの狂犬が…」「凄い…凄すぎる」
  7. 晩酌中、ふと机の下をのぞいたら…… 背筋が凍える光景に反響続々「皆様は覗かないようにしてくださいね」
  8. 小林麻耶&國光吟、600万円超する“新型外国車”購入に「中古で売る時の値段は考えてません」 高額iPadもゲットで生活フルエンジョイ
  9. 真田広之の俳優息子、母・手塚理美と“超大物司会者”に対面 最新ショットに「ご立派な息子さん」「似てる雰囲気」
  10. 「トップバリュを甘く見てた」 ジョブチューンで審査員大絶賛の“マストバイ商品5選”に反響 「買ってみよ」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「今までなんで使わなかったのか」 ワークマンの「アルミ帽子」が暑さ対策に最強だった 「めっちゃ涼しー」
  2. 「現場を知らなすぎ」 政府広報が投稿「令和の給食」写真に批判続出…… 識者が指摘した“学校給食の問題点”
  3. 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  4. 「思わず笑った」 ハードオフに4万4000円で売られていた“まさかのフィギュア”に仰天 「玄関に置いときたい」
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 「二度と酒飲まん」 酔った勢いで通販で購入 → 後日届いた“予想外”の商品に「これ売ってるんだwww」
  7. 幼稚園の「名札」を社会人が大量購入→その理由は…… 斜め上のキュートな活用術に「超ナイスアイデア」「こういうの大好きだ!」
  8. 釣れたキジハタを1年飼ってみると…… 飼い主も驚きの姿に「もはや、魚じゃない」「もう家族やね」と反響
  9. JR東のネット銀行「JRE BANK」、申し込み殺到でメール遅延、初日分の申込受付を終了
  10. サーティワンが“よくばりフェス”の「カップの品切れ」謝罪…… 連日大人気で「予想を大幅に上回る販売」