「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」のレビューをしたら、ハンガリー大使館へ行くことになりました:司書メイドの同人誌レビューノート
同人誌「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」がポプラ社さまから単行本化されることになり、その刊行記念イベントに参加しました。
先日、ハンガリー大使館で行われた、「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」(松本救助/ポプラ社刊の)の刊行記念イベントに参加してきました! この本は、漫画家としてご活躍している松本救助さまが、商業デビュー作で、ブタさんがマスターをしているバーを舞台にしたマンガを描いたことがきっかけで、“マンガリッツァ豚”を「国宝」としているハンガリーに国賓として招かれることになったという、本当にあった出来事をもとにしたマンガ作品です。その単行本化の刊行イベントに、なぜ司書メイドがお呼ばれしたのか……。
今回紹介する同人誌
「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」 127ページ 1296円(税込)
著者:松本救助
同人誌と商業単行本のきっかけはひょんなことから
時をさかのぼること2015年夏、松本さまが出された同人誌「ブタさんが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」を読んだミソノは、「この同人誌楽しい!」とわくわくして同人誌レビューを書きました。そしてその掲載が偶然ポプラ社さまの目に留まり、2017年「ブタが好きすぎてハンガリーの国賓になりました」(以下、「ブタが好きすぎて〜」)として、コミックスにまとまって刊行されたのでした。
そんなご縁があって、ミソノも商業単行本版刊行記念イベントにお声をかけていただくことに。こんなことってあるんですねえ! 思わぬ展開にただただびっくりですが、せっかくなので、同人誌から商業化になったことについて、ぜひぜひお聞きしてみたいと思い、作者の松本さまと、ホプラ社の担当者さまにお話を伺うことにしました。
同人誌と商業単行本の違い? 松本救助さまの場合
ミソノ 松本さまは既に、グランドジャンプの「いっぽん!! 〜しあわせの日本酒〜」や、ヤングアニマル嵐の「モトヨメ」シリーズなどを連載され、プロの漫画家として商業誌でご活躍されているなかで、同人誌も出されていますが、それはなぜでしょうか?
松本 基本的に商業も「こういうところが好き(面白い)か」を考えて描いております。それが商品としてなのか、ただ自分の趣味として発信するかの違いだと思っています。
ミソノ 同人誌を商業単行本として出版したいという申し出があったときはどう思われましたか?
松本 単純にうれしかったです。より手に取ってもらえる機会ができることは「ただ楽しい体験を共有してもらいたい!」という個人的な発信だったのが、もう少しちゃんとハンガリーに恩返しができる形になりますので。
あと同人誌制作中も時期的に多忙だったため、より「趣味の時間」内だけではなく、商品になるので「仕事の時間」を掛けて手を加えられることは有り難かったです。
ミソノ 趣味の時間と仕事の時間……そのあたりは会社勤めをしつつ同人誌制作をする人と同じような感覚なんですね。同人誌から商業単行本の移行の際、ご苦労されたことはありますか?
松本 えーっと……私の国に対してのちょっとした偏見やらをソフトにするところでしょうか。今度こそ怒られてしまいますので……(苦笑)。
あとコミックスエッセイという形なのでいつも描いてる商業誌のコミックスに比べ、より一般層向けにするということで意外と通じないオタクネタとかありました。
ミソノ より読者層が広がるゆえのあれこれが出てきたのですね。さて、そんな松本さまの、今後のご活動の予定は?
松本 今年はコミティアとコミケに参加予定です。昨年は新刊を出せなかったのですが今年は商業ではできなさそうな実験的なネタの本が出せたら楽しいなと思います!
ミソノ 楽しみにお待ちしております!
どんな同人誌が商業誌、単行本に向いている? ホプラ社さまの場合
ミソノ そもそもどんなきっかけで、「ブタが好きすぎて〜」を商業単行本にしようと思われたのでしょうか。「司書メイドの同人誌レビューを見たのがきっかけ」というのは本当でしょうか?
担当 はい、同人誌レビューを拝見して興味を持ち、2015年の冬コミ(コミックマーケット89)で同人誌を購入しました。購入した同人誌をもとに社内で検討した結果、松本救助先生に商業化のオファーをさせていただくことになりました。
ミソノ わー! レビューを見て、というのは本当だったのですね。どんなところにきっかけがあるかわかりませんねえ……。「ブタが好きすぎて〜」でこれは商業誌として世に出したい! と思われたポイントはどこですか?
担当 国賓としての旅という貴重な体験をコミカルに親しみやすく描かれていたこと、「食べられる国宝」というかわいいブタがキャッチーであったこと、好きなものを表現している「愛」が作品を通して伝わってくるものであったことです。
ミソノ 「愛」! 同人誌制作ではそれががっちり前にでますよね。そんな同人誌全般を見ていて、商業単行本にしたいと思える作品に共通するポイントはありますか?
担当
- 人と共感したくなる作品(読んだ後に人に勧めたくなったり、読んだ人と語り合いたくなるような本と出会ったときは、商業化が頭をよぎります)
- オリジナリティの強い作品(新鮮な驚きや深い感動は、どこかで読んだことがあるような本からは、なかなか生まれることはありません。他にはないというアピールポイントはとても大切です)
- 作品全体を通して、一定水準のクオリティーを保っている作品(同人誌をたくさん買われる方なら、ジャケ買い失敗談の1つや2つは経験があるのではないでしょうか。表紙に限った話ではないですが、例えば、魅力的なキャラクター設定や世界観を持ちながら平坦なストーリー展開だったりするものも困ります。やはり、最後まで読んで「面白かった!」とか「すごかった!」と思える作品でないと商業化するのは難しいです)
ミソノ 逆に「いい作品だけど、これは商業化が難しい」という場合はありますか?
担当
- 本1冊分のページ数を確保できるか(同人誌はページ数の少ないものが多いので、1冊分の分量にできるかは大きな問題です。マンガや小説であれば「作品集」という形もありますが、収録する全ての作品が一定水準のクオリティを持つ作品であることが条件になります)
- 権利関係の許諾を取るのが難しいもの(パロディー物のように権利者のいる作品をベースにした同人誌の場合は許諾が必要です。許諾を得られなければ出版することはできません。また、食べ物系同人誌に多い、実在する店舗や商品を掲載した同人誌は、それら全てに許諾が必要となります。さらに、許諾を得られたとしても、各権利者への支払いが多額になってしまうようではビジネスとして成立しなくなってしまいます)
- 印刷費が高額になってしまうもの(印刷に特別な加工が必要だったり、高価な紙を使用したりするとコストが高額になってしまいます。その同人誌の魅力が印刷技術等に起因する場合は、想定する刷り部数から本の定価を予想します。あまり高額になってしまうようであれば商業化を見送ることもあります)
ミソノ なるほど……。逆に同人誌ならではという、フットワークの軽さやこだわりの部分が、商業単行本との違いでしょうか。実際に「ブタが好きすぎて〜」を商業単行本として刊行していく中でのご苦労やご感想をお聞かせください。
担当 大幅に加筆修正していただいたので、松本救助先生が大変だったのではないかと思います。
ミソノ 先に松本さまもおっしゃっていた通り、仕事として取り組むのですものね。ところで、きっと「商業化できたらいいな」と思っている方もいらっしゃると思うのですが、自分の作品をポプラ社さまに見てもらいたい場合、受付窓口や作品応募先などはありますか?
担当 マンガやコミックエッセイではないのですが、大人向けの小説でしたらポプラ社小説新人賞、子ども向けの読み物でしたらポプラズッコケ文学新人賞というものがありますので、こちらにご応募ください。
ミソノ ありがとうございました!
イベントではマンガリッツァ豚の試食会も
同人誌を作っている人全員が「やがて商業で本を出したい」と考えているわけではないと思います。趣味で十分、自分のコントロールできる範囲で書きたいなど、作り手それぞれに多様な取り組み方があり、必ずしも商業化することが同人誌の輝かしいゴールではありません。けれど、商業誌と呼ばれる、一般の書店にも流通する書籍の形になることは、同人誌とはまた違った良さがあると思います。同人誌から商業誌へ……、そのリアルな実例を今回お聞きできて、とても参考になりました。
ちなみに「ブタが好きすぎて〜」の単行本刊行イベントはハンガリー大使館で催されました。マンガ内にも登場したパラノビチ・ノルバート大使や、通訳のアニタさまを交えてのトークのあと、マンガリッツァ豚の試食会ができるイベントで、とろけるのに後味すっきりラードを塗ったラードパン、うまみがロ中にひろがるぷりぷりのウィンナー、じんわりおいしさ浸みこむスープなどなど、ハンガリー大使館のシェフが腕を振るったメニューが登場しました。
剥製のマンガリッツァ豚さんも登場した刊行イベント。インパクト大な上に、舌の記憶にも残る会でした!
同人誌をレビューしたら、ハンガリー大使館でおいしいお肉を食べてしまった……こんなことってあるんですね。この度はミソノにも意外な出来事でしたが、本家「ブタが好きすぎて〜」は、大使館を飛び越えて、国賓で大統領と会談するという驚きの展開ですので、ぜひ本もご覧になってみてくださいませ。
今週のシャッツキステ
![シャッツキステ](https://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1702/05/rmfig24-8.jpg)
著者紹介
![司書メイド ミソノ](https://image.itmedia.co.jp/nl/articles/1702/05/rmfigmisono.jpg)
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