腹が減っては戦はできぬ! 全国の同人イベントを渡り歩いた作者が贈る珠玉のグルメ同人誌:司書メイドの同人誌レビューノート
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。あなたの知らない同人誌の世界がここにあります。
皆さまごきげんよう、秋葉原カルチャーカフェ「シャッツキステ」で司書メイドをしておりますミソノと申します。本連載は、オリジナル創作や評論ジャンルの同人誌を中心に、奥深い同人誌の世界をよりすぐってご紹介する場となっております。
一般にはあまり出会う機会のない同人誌。アニメ・マンガのパロディーや、コスプレ写真集などさまざまなジャンルがありますが、中でも作者さんの気持ちがぎゅっと詰まったオリジナル作品の同人誌は、濃縮された魅力にあふれていると感じます。連載を通して、皆さまそれぞれがお気に入りの同人誌を見つけることができましたら幸いです。
今回紹介する同人誌
「地方同人イベントでおいしいご飯を食べる本」B5 48ページ 表紙・本文カラー
著者:髑髏中佐、十二月(挿絵)
各地のおいしいものが載ったガイド本……。本屋さんでもさまざまなものがありますが、この作者さんは4年間かけて47都道府県の同人誌イベントに参加された方! ただでさえわくわくする「同人誌即売会」と、旅の楽しみ「食事」がセットになったこの切り口はうれしいですね!
定番名物も、地元ローカル名物も! おいしいものが続々と
山形牛、ほうとう、長良川の鮎、讃岐うどん……とページをめくれば、作者さんが同人誌イベントにサークル参加した際に訪れ、実食した料理がおいしそうな写真付きで掲載されています。添えられたリポートには、味や値段はもちろん、「浜松のイベントで売り子をしてくれたレイヤーさんから紹介された『さわやかのげんこつハンバーグ』」など、ちょっとした現地のエピソードも盛り込まれ、各地の食事を楽しまれた様子が伝わってきます。名物はきちんと抑えつつ、中には見知らぬメニューも。三層構造になっているという気仙沼のお菓子「ゴッド」、食べてみたいな!
遠征先でトラブル発生!? 地方イベント参加のコツも
なにはともあれ、47都道府県の同人誌イベントに参加って、すごいの一言です。同人誌サークルのよくある活動パターンは、気軽に足を運べる在住地で開催される同人誌即売会イベントに参加するか、たくさんの人が集う大都市での大型の即売会イベントに参加するかの2パターンあると思います。それに慣れた身としては、ちょこちょこ文中から伺える「イベント会場付近にコンビニがない。へたすると自動販売機もない」「車がないと行くのがつらい」といった地方イベント困ったあるあるや、「目的の料理が出てくる前に、飛行機の時間が迫ってしまって撤退」とか「大雪で帰れなくなった」という一文が新鮮です!
でも作者さんも「それでも地方は楽しいんだよ」とおっしゃっている通り、その土地の気候や人々の暮らしにちょっとおじゃまするのは旅の醍醐味ですね。もちろんなんでもそろった便利な環境は魅力的ですが、どこも大都市と同じ風景……ではなく、その町らしさが見えるのもいいものではと、本を読みながら、まだ足を運んだとこのない場所の同人誌イベントに思いをはせました。
各地の主な同人誌イベント情報も添えられていて「広島コミケの会場は2種類あるので注意」などのミニ情報もあり、実際に参加を検討するのにも役立ちそうです。
「地方」にこだわるそのわけは……?
この本、実はものすごく偏りがあるんです。あれこれグルメがそろっていそうな東京の紹介は「万かつサンド」1点だけ。「大都市よりも地方を紹介したい!」という作者さんの意識が反映されていて、少し交通の便が悪くても、おいしいものがある地方のことがたくさん載っています。
大阪在住の作者さんは「地方イベントが縮小していく中で、グルメや旅行という観点から、地方イベントに参加するきっかけになればよいな」という思いを持って活動されているそうです。そうなんですよね……地方の同人誌イベントは「同人誌が売れない」「同人誌即売会なのにグッズばっかり」という声も多く、この本でも「現在は同人誌イベント開催が確認できない」と書かれた県も。
でも、そんな中でも、「奈良県で現在も継続的に開催されている唯一のイベントは、女子大学の学園祭内でのイベント」といったレア情報と巡り合い、さらにその学園祭で販売される「ならじょまん」がおいしい! と書かれているのを読むと、「へー! どんな雰囲気かな? 参加してみるのも面白そう!」と気分が高まるではないですか! ちなみに女子大学の学園祭内のイベントは外部からの参加も可能だそうです! まだ見ぬ土地へ、同人誌を携えて旅立つ……わくわく倍増の本です。
サークル情報
サークル名:Markgraf
Webサイト:http://s-markgraf.net
同人誌入手先:COMIC ZIN
Twitter:@dokuro_markgraf
参加予定イベント:2016年5月5日コミティア(次回新作予定!)
他Webサイトで告知中(毎週末だいたいどこかに出没)
今週のシャッツキステ
シャッツキステのTwitterから気になる写真をお届け。著者の方、出版社さまにご協力いただいて、新しく発行されたコミックスの展示を、本棚の一画にて行っております。からけみ先生から直々にお預かりした設定資料ファイルは初公開のものがたくさん! 「けいさつのおにーさん」好きのメイドが目をきらきらさせています。
関連記事
- ファンタジー好きにはたまらない! 一つ一つのポップアップアートに物語を紡ぐ「アトリエココ」の世界
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。あなたの知らない同人誌の世界がここにあります。 - 日常のあらゆる場面に「プロレス」は潜んでいる『おおむねプロレスの味方です』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - かわいい4コマと、詳細なコラム 読むだけで行った気になる? 『教会巡りin五島列島』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - まるで異世界! 『知床蜃気楼読本』の著者が語る蜃気楼の魅力
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 詳しい解説は、自分たちで観測しているからこそ『知床蜃気楼読本』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 漂流物との出会いを趣味に ビーチコーミングの魅力が詰まった『東京湾のひとひら』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - 試されている気がする! マニアックなラインアップにチャレンジ魂が燃える『爆裂折紙作品集』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - “自分アニメイト”をオープン? 驚愕のエピソード満載の『高河ゆん漫画家30周年記念本』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。 - タイトル通り、でも二度見必至なインパクト『ブタさんが好きすぎたらハンガリーの国賓になりました』
秋葉原のカルチャーカフェ「シャッツキステ」の司書メイドことミソノが、同人誌のディープな魅力を紹介する連載企画。同人誌の用語を解説していく「ミソノ流ワンポイント用語解説」も必見。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
-
中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
-
元「おニャン子」内海和子、娘・ゆりあんぬの“胃の粘膜ぶっ壊す”食事に激怒! 有名飲食店に謝罪し「出禁にして」「違う星の人そんな気がしてなりません」
-
「情報を漏らされ振り回され……」とモデラー“限界声明” Vtuberのモデル使用権を剥奪 「もう支えられない」「全サポート終了」
-
「恐ろしい」 北海道の道路標識 → “見落としたら絶望”のとんでもない表示に衝撃走る 「普通にホラーでは?」
-
優しそうな“おかっぱ頭”の男性→プロがカットしたら…… “別人級の仕上がり”が470万再生「えっ!? って声出た」「EXILEみたい」
-
平愛梨、“夫・長友佑都選手”に眠れなくてLINE送信→“まさかの返信”に「なんやねん」「もう寝るしかない」
-
“無給餌”で育てたメダカが2年後、驚きの姿に→さらに半年後…… 放置しておいたビオトープで起きた“奇跡”に「ロマンを感じる」
-
「天才が現れた!」 森永が教える“秋らしい”お菓子の作り方→たこ焼き器を使ったアイデアに「すごいすごい可愛い」
-
固い着物をリメイクしてみたら…… 生まれ変わった“まさかのアイテム”に「しゅげー!」「凄い素敵です」
-
「上げ底の先」 その名に偽りなし、高専の文化祭に出現した「限界節約ホットドッグ」が本当に限界だった
- 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
- ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
- 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
- まるで星空……!! ダイソーの糸を組み合わせ、ひたすら編む→完成したウットリするほど美しい模様に「キュンキュンきます」「夜雪にも見える」
- 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
- 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 互いの「素顔を知ったのは交際1ケ月後」 “聖飢魔IIの熱狂的ファン夫婦”の妻の悩み→「総額396万円分の……」
- ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
- 中央道から「宇宙戦艦ヤマト」が見える! 驚きの写真がSNSで注目集める 「結構でかい」「どう見てもヤマト」 撮影者の心境を聞いた
- 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
- 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
- フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
- 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
- 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
- ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
- 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
- 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた