火10吉高由里子「わたし、定時で帰ります。」  無茶苦茶ブラック上司に立ち向かえ! 「定時で帰る」vs「死ぬ気でやろう」のお仕事ドラマ

「敵」はユースケ・サンタマリア? それとも向井理?

» 2019年04月16日 10時30分 公開
※本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

 4月16日22時からドラマ「わたし、定時で帰ります。」(TBS系)がスタートする。朱野帰子によるお仕事小説「わたし、定時で帰ります。」シリーズ(新潮社)が原作だ。


わたし、定時で帰ります。 「定時に帰るは勇気のしるし、だよ」ヒロインのせりふにグッとくる原作『わたし、定時で帰ります。』朱野帰子/新潮文庫 マキヒロチ装画

 「必ず定時で帰る」というモットーを貫く主役のワーキングガール・東山結衣を演じるのは吉高由里子。意外にも、ドラマで会社員役を務めるのは初めてだそうだ。吉高だけに、定時で仕事を切り上げて「ウィ〜!」とハイボールを飲み干すやる気のない女性を演じているのかと思いきや、そうじゃない。生産性を高めるため自らに努力を課し、仕事に向き合うヒロインの姿勢は真面目だ。やるべきことはその日に済ませ、明日の自分を信じてタイムカードを押す毎日。

 「定時で帰る」が結衣のモットーになった一因は、家庭を顧みず働く父のせいで寂しい思いをした幼き頃の記憶にある。「自分は決してああなるまい」と心に決めたヒロイン。だから6時きっかりに帰り、行きつけの中華料理店でビールを飲むことを生きがいにしているのだ。(やっぱり飲むのか!)

「定時で帰る」と「死ぬ気でやろう」、いろいろな価値観が交錯する社内

 原作小説は、現代の労働問題の縮図のような内容だった。登場人物はどこかにいそうな人ばかり。体調を崩しても休まない“皆勤賞女”の三谷佳菜子(シシド・カフカ)。役員を目指して産後すぐに職場復帰し、育休を取得しなかった賤ヶ岳八重(内田有紀)。能力不足がバレるのが嫌で会社に泊まり、皆がいない深夜から仕事する吾妻徹(柄本時生)。「死ぬ気でやろう」と煽り、今まで何人もの部下を壊してきた“ブラック上司”福永清次(ユースケ・サンタマリア)。仕事へ没頭することでほとばしるアドレナリンに取りつかれた元婚約者の種田晃太郎(向井理)。社内にはいろいろな価値観が交錯している。

 当然だが、長時間残業している者がたくさんの仕事をこなしているわけじゃない。しかし、定時に帰れば「やる気がない」と思われがちだ。小説には、結衣が発したこんなせりふが登場する。

 「定時に帰るは勇気のしるし、だよ」

 バブル期にサラリーマンの背中を押した栄養ドリンク「リゲイン」CMソングの一節「黄色と黒は勇気のしるし 24時間戦えますか」を意識した、ヒロインによる信念の一言だ。


わたし、定時で帰ります。 吉高由里子、向井理、ユースケ・サンタマリア、内田有紀、シシド・カフカ……すごい顔ぶれ。定時に帰ってリアルタイム視聴したい イラスト/まつもとりえこ

無謀な作戦を決行した日本軍とダブるブラック上司

 部下にムチャを課す上司、そしてそれを受け入れる部下たち。この状況を、結衣は戦時中の日本軍の無謀な作戦とダブらせて悲観した。この作戦に参加した結衣の祖父は、日記に思いを記していた。

 「真に恐ろしいのは敵にあらず。無能な上司なり」

 そうはさせまいと結衣が立ち上がり、自ら動くと決意するに至るくだりはこの作品のクライマックスだ。残業しない組織づくりに彼女はまい進するのだ。しかし、彼女もいつしか無謀の最前線に立たざるを得なくなる。

 とはいえ、結衣は孤軍奮闘しているわけじゃない。彼女のモットーを理解する元恋人の晃太郎は心強い存在。しかし、彼は“ブラック上司”福永の右腕でもある。スーパーサラリーマンゆえに、福永からの信頼も厚い。文字通り休む間もない長時間労働と生産性で福永のピンチを何度も救ってきたワーカホリック。果たして、結衣の真の敵は誰なのか?

 仕事の効率、人間関係、早出、徹夜、休日出勤、持ち帰り仕事、会社に宿泊……、現代の働き方の問題点が「わたし、定時で帰ります。」には凝縮されている。ポップなガワして、身につまされるリアリティー十分のメッセージ性をはらむ小説だった。

 だからこそ、実写化には意義があるのだ。「定時で帰る」を悪にする風潮と、働き方改革の到来。両者のはざまにふさわしいドラマになることを願う。

寺西ジャジューカ

ライターFacebook

まつもとりえこ

イラストレーター&ライター

Twitter

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2405/03/news002.jpg 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 同情せざるを得ない衝撃の光景に「私でも笑ってしまう」「こんなん見たら仕事できない」
  2. /nl/articles/2405/02/news023.jpg 【今日の計算】「2+7×9−3」を計算せよ
  3. /nl/articles/2405/02/news004.jpg 80代一人暮らし女性の“その都度が大事”なキッチンお掃除術 毎日少しずつ……の習慣に「尊敬しかない」「すごくやる気をもらえます」と称賛の声
  4. /nl/articles/2405/01/news013.jpg IKEAの新作カーテンが「家中これにしたい」ほどすてき!→どうやって付けているの? 垢抜けインテリア術に視線集中「すっごいかわいい」「色味が最高」
  5. /nl/articles/2402/15/news019.jpg 犬が同じ場所で2年間、トイレをし続けた結果…… 笑っちゃうほど様変わりした光景が379万表示「そこだけボッ!ってw」
  6. /nl/articles/2405/01/news131.jpg なんでそうなった? のこのしまアイランドパーク園内看板の名称が「俺は間に合わなかったがトイレはあっちだ君」に決定
  7. /nl/articles/2405/01/news128.jpg 「笑い止まんないw」 少女漫画風の顔をメイクで再現したら……? 衝撃の“おもしれー女”が爆誕 「笑うと怖!!」
  8. /nl/articles/2402/21/news158.jpg 業務スーパーの“高コスパ”人気冷凍商品に「基準値超え添加物」 約1万5000個販売……自主回収を実施
  9. /nl/articles/2405/02/news106.jpg 【今日の難読漢字】「鱸」←何と読む?
  10. /nl/articles/2405/01/news092.jpg “スケスケ成人式コーデ”が物議のモデル、「3度見される服」を披露 「コレは見ちゃうわ」「洗っても大丈夫なのか」の声
先週の総合アクセスTOP10
  1. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  2. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  3. しぶとい雑草“ドクダミ”を生やさない超簡単な方法が115万再生! 除草剤を使わない画期的な対策に「スゴイ発見」
  4. 天井裏から変な音がする→スマホを突っ込んで撮影したら…… 映った“とんでもねぇ”モノに「恐ろしい」「何これ」と騒然の196万表示!
  5. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  6. 誰も教えてくれなかった“裁縫の裏ワザ”が目からウロコ 200万再生のライフハックに「画期的」と称賛【海外】
  7. 「電車の中で見ちゃダメ」「笑ったww」 実家からLINE「子ヤギがすばしっこくて捕まらない」→送られてきた衝撃姿が320万表示!
  8. 顔の半分は童顔メイク、もう半分の仕上がりに驚がく 同一人物と思えない半顔メイクが860万再生「凄いねメイクの力」
  9. 元「AKB48」メンバー、整形に250万円の近影に驚きの声「整形しすぎてて原型なくなっててびびった」
  10. スーパーで買ったレモンの種が1年後…… まさかの結果が635万再生「さっそくやってみます」「すごーい!」「手品みたい」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 庭に植えて大後悔した“悪魔の木”を自称ポンコツ主婦が伐採したら…… 恐怖のラストに「ゾッとした」「驚愕すぎて笑っちゃいましたw」
  2. 小1娘、ペンギンの卵を楽しみに育ててみたら…… 期待を裏切る生き物の爆誕に「声出して笑ってしまったw」「反応がめちゃくちゃ可愛い」
  3. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  4. 「歩行も困難…言動もままならず」黒沢年雄、妻・街田リーヌの病状明かす 介護施設入所も「急激に壊れていく…」
  5. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 釣りに行こうとしたら、海岸に子猫が打ち上げられていて…… 保護後、予想だにしない展開に「神様降臨」「涙が止まりません」
  8. 身長174センチの女性アイドルに「ここは女性専用車両です!!!」 電車内で突如怒られ「声か、、、」と嘆き 「理不尽すぎる」と反響の声
  9. 築152年の古民家にある、ジャングル化した水路を掃除したら…… 現れた驚きの光景に「腰が抜けました」「ビックリ!」「先代の方々が」
  10. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評