平成一桁生まれが「社会人になってから」YouTuberにハマったワケ(2/3 ページ)
若者たちの成り上がりと豪奢な私生活、ファッション
YouTuberという言葉すらまだ生まれるか生まれないかぐらいの2011年のYouTubeでは、チャンネル登録者数が10万人に達するのに何年もの時間を要していた。
今は違う。日本でトップのはじめしゃちょーのチャンネル登録者数は800万人を越え、新しいチャンネルがチャンネル登録者数10万人という大台に乗るまでの時間もかなり短くなっていっている。
いまや彼らはゲームみたいに出世する。
生まれてこのかた不況の私みたいな若い世代にとって、彼らの豪奢な成り上がりの可視性には、どうしても興奮を抑えきれない。
チャンネル登録者数や再生回数といった、あまりに正直な数字がはっきりと見えるのは、シビアでありながら分かりやすくて爽快だ。そしてその数字の伸びに伴い、彼らの動画は、あまりにあけすけにその成り上がりを映し出してくれる。
派手髪にタトゥーやピアス、そしてハイブランドへの冒涜とも言えるような成金っぽい着こなしが、逆にかっこいい。最新の撮影機材をぶん回し、カスタマイズした高額のMac片手に自宅の大きなソファに踏ん反り返る姿はまさにYouTubeドリーム。
私はYouTuberのファッションチェックをするのが大好きだ。男性YouTuberのあいだでは、ヒップホップの雰囲気が漂うケレンで都会的なストリートスタイルがなんとなく定番化している。画面上で映えるために、髪色をカラフルにしたり、鮮やかな色や激しい柄の服を選んだりするクリエイターが多いためだろう。
好きなクリエイターが、季節の変わり目などに新調した服を着ているのを発見すると、うれしい。うれしくてすぐブランドや商品を特定する。だいたい人気YouTuberにはそれぞれお気に入りのハイブランドがあって、それを深追いするうちにファッションブランドに少しだけ詳しくなってきた。
なにかと暗かった20世紀末に生まれた私は、テレビ文化ではずっと、セレブやお金持ちが妬みの対象として扱われているのを見ていた。ブランド品を持ったり、大きな邸宅に暮らしたりすることをひけらかすのは、品のないこととして忌み嫌われている印象を持っていた。
でも、私はHIKAKINのルイ・ヴィトンや、水溜りボンド・トミーのGUCCI、東海オンエア・てつやのドルガバなんかを、イヤミだなんてまったく思わない。
むしろハイブランドを身にまとう若者たちはかっこよくて、夢のような存在に思える。
彼らはそんな服を着ていながら、まったくもってエレガントな生活を送っていないし、いつだって休み時間の小学生みたいにふざけている。お高くとまったマネなんかしない。
えらそうに人を見下したり自らの功績を誇示したりすることなく、自分のやりたいことだけに一直線だ。それでいて仲間や視聴者への感謝を忘れない。私はそれをとてもイノセントで、ずっと見ていたいものだと感じる。
人気YouTuberたちの目に見える豪奢な生活は、服装だけにとどまらない。数年前の動画を見返すと、彼らの住む家の変遷がそこから伺えるのだが、引っ越すたびに明らかにどんどん家がデカくなっていくことが分かる。
これに最初気付いたとき私は「どうぶつの森じゃん!」と思った。
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