鳥山キャラに惹かれ、重松シナリオに泣く――「ブルードラゴン」と「ロストオデッセイ」で挑む坂口氏次世代Xboxプレビュー(2/2 ページ)

» 2005年05月13日 20時54分 公開
[今藤弘一,ITmedia]
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1000年生きる、死ねない男のストーリー――「ロストオデッセイ」

 もう1つの「ロストオデッセイ」について、坂口氏は「こちらは1000年を生きる、死ねない男の物語。何回も家族を持ったし、恋もしたし、死に別れもしたしという、どちらかというと悟ったような、心が渇いたようなキャラクターが主人公。成長物語であるRPGにはふさわしくない設定の主人公なのだが、これを生かして、今までにない要素を盛り込む“実験的”な作品となっている」と話す。

画像 1000年を生きる主人公「カイム・アラゴナー」

 1000年分の思い出を主人公は持っているわけだが、その歴史上の派手な事件を紹介するのではなく、家族の些細な日常の話が展開する。エンディングに向かうと、ほっとさせられたり、ほろっとした涙が流れるような感動を、カイムの1000年の思い出として入れたいと考え、重松氏にシナリオをお願いしたそうだ。

画像 シナリオを担当する重松清氏

 重松氏は「自分の作品は普段、“本”という形で読む。このときには泣いたりはしないのだが、坂口さんの事務所でゲーム用に演出された自分の作品を見たとき、不覚にも涙ぐんだ」そうだ。

 「文章を大事にしてほしいと思いながら坂口さんと仕事をしたが、大事にしてもらった上に、文章を超えた深みや感動を与えてもらったと思っている。自分自身の作品の可能性を探りながらやっていきたい」(重松氏)

 キャラクターデザインを担当した井上雄彦氏も登場。「実はRPGを全くやったことがない。もちろんファイナルファンタジーもドラクエも……」という衝撃発言から挨拶を始めつつ、「ゲームの仕事をやる機会はないと思っていたのだが、坂口さんから『人間を描きたい』と言われると共に、重松さんがシナリオに加わると言うことで、熟慮の末担当することにした」と語る。

 井上氏は、マンガをアナログ的に描こうと考えているそうで、「バガボンド」もGペンではなく筆で描いているとのこと。「この方向性はゲームとはミスマッチのように思えたのだが、逆にそれがいい方向に作用することを期待している」(井上氏)

画像 井上雄彦氏

 そして再びの登場となった植松氏は「音楽を作る上で、プロジェクトごとにキーワードを決めている。ブルードラゴンは“ポップ”を意識しているが、ロストオデッセイは“ドラマティック”。それ以外にもジャズボーカルのようなものを入れようかと話していたり、これまでやったことがないことに挑戦していきたい」と抱負を述べた。

 なお、ロストオデッセイの開発を担当するフィールプラスは、このプロジェクトのために立ち上げた会社。プロデューサーの川井氏は、FF7〜9で坂口氏と一緒に仕事をしていたそうで、川井氏と坂口氏が、マイクロソフトの丸山氏に会ったのがきっかけで、このプロジェクトが始まったとのことだ。

 ブルードラゴンとロストオデッセイ、方向性はそれぞれ異なるが、どちらも非常に興味をそそるタイトルであることは間違いない。今後提供される情報に注目していきたい。

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