新しき血の導入――既存のイメージを覆した意欲作に思わず脱帽「biohazard4」レビュー(2/3 ページ)

» 2005年12月02日 09時10分 公開
[桜山憂太,ITmedia]

無防備な「アシュリー」を、高い知能を持った敵から守り抜く醍醐味

 本作の主目的となっている大統領の娘「アシュリー」の救出。本編中では、アシュリーと行動を共にする場面もある。一緒に動かなければいけない時のアシュリーは、プレーヤーにとっては足枷のなにものでもない。敵は真っ先にアシュリーを連れ去ろうと近づいてくるためだ。

 しかし、そのアシュリーを守り抜き、また多くの場面で共に力を合わせて先に進む時は、プレーヤーに新たな感覚を与えてくれるだろう。従来のシリーズではなかった、守り抜くという行動理念は、今までにない戦略を要求される場面もある。それらを越えた時の安堵感は、実際にプレイして感じ取ってもらうしかない。

 また、本作に出てくる敵は、バイオシリーズでお馴染みとなっている「ゾンビ」ではない。うめき声を挙げていただけのゾンビと違い、武器を使い、知能もある。家に入ってもドアを開けて入ってこようとするだけでなく、ハシゴを使い2階の窓から入ってくる場合もあるのだ。敵の行動力はかなりのもので、最初のうちは圧倒されるかもしれない。いかに敵との駆け引きをこなし、先へ進むかが本作の攻略のカギとも言える。また、前述した通り、敵はアシュリーをさらう事を主とする場面もあるため、臨機応変に戦い方を変える必要性もあるのだ。アシュリーとの行動、新たな敵の行動力、これらを乗り切っていくことが「4」の醍醐味と言っても過言ではない。

レオンの目的である「アシュリーの救出」。武器を扱えるわけでもない無防備なアシュリーと行動を共にし、敵から守り抜いていかなければならない。しかし、一部の場面では、アシュリーにも頑張ってもらわなければ先に進めないことも!?
アシュリーはレオンの後ろをついてくる。アシュリーの方を向いて銃を構えると、頭を抱えてしゃがんだり、何もしないで立っていると、周囲をキョロキョロ見回したりと、様々な表情を見せてくれる

武器のカスタマイズをさせる試みと、セーブ回数に制限をつけなかった大英断

 さらに多くの新要素が入っているが、大きなところでは「武器商人」と「セーブとコンティニュー」が挙げられるだろう。武器商人は本編中に手に入れたお金(Peseta)を使う事で、様々な商品を買う事ができる。ショットガンなどの武器も売っていれば、宝の地図やアタッシュケースなど特殊な商品も扱っている。お金を増やすには、敵を倒すか、マップ中に落ちているものを拾う、もしくはスピネルなどのお宝を売るしかないため、いかに効率よく買い物をしていくかが重要と言える。また、武器商人はカスタマイズもしてくれるため、どの武器の何を強くするかを考えていかなければ、すぐにお金が足りなくなってしまう。この辺も戦略性として考えさせられる部分だ。

 そして、なんと言っても「セーブとコンティニュー」は、既存のシリーズと完全に一線を画すものになった。バイオシリーズと言えば、「インクリボン」というアイテムによって、セーブ回数に限りがあるのが常。そのセーブをどこで行なうかが、かなり重要な要素となっていたが、本作ではセーブ回数に制限はまったくない。タイプライターに近づき、調べるだけでセーブができるようなっており、何度でも可能だ。

 また、レオンが倒れる、アシュリーが倒れる、アシュリーが連れ去られるなどの状況になるとゲームオーバーになるが、この時にコンティニューができるようになった。しかも、回数に制限がなく、コンティニューした場合はその直前の状態から始まる。これにより、生きるか死ぬかの極限を味あわされる部分が希薄になったのは否めない。セーブにしてもコンティニューにしても、回数がいくら増えても隠し要素に絡むペナルティーになるような事はなく、ただ記録として残るだけなのだ。あとは、プレーヤー自身に委ねられていると言える。

新要素として搭載された武器の「カスタマイズ」。一種類の武器だけに拘って強化するもよし、まったくいじらず初期状態のまま進めるもよし、プレイヤーの自由にカスタマイズできることで、遊びの幅を広く持たせている
セーブ回数に制限がなくなったのは、賛否両論あるのかもしれないが、個人的には賛成。本作のボリュームは既存のものよりも圧倒的に厚みを持っていることを考慮すれば、回数に制限を持たせてしまう事で、遊びの方向性がぶれてしまう可能性もあったかもしれない。また、イベントでのアクションや、強大な敵との戦闘も考えれば、今回の決断は正しかったと言えるだろう

既存のバイオシリーズを脱却した「4」をプレイすべし

 この項では、シリーズ未プレイのユーザー、もしくは、過去のシリーズは触っているが「4」をまだ遊んでいない人への指標を書きたいと思う。まず、従来のバイオシリーズとは、確実に違うゲームになっている事を理解してほしい。

 「ビハインドカメラ」と「フリーターゲット」という2つの大きな新機軸は、新たなバイオの楽しみ方を提供してくれている。今までと違い、自分の視界に近い視点から見えていない敵が、突然背後から襲ってくる恐怖を体験してほしい。また、音声をステレオで聞いていれば、敵の荒い息が右だけから聞こえてくるなどの視覚だけでなく聴覚も刺激する緊張感は相当なものだ。そのためには、ぜひヘッドフォンをしてプレイすることをオススメしたい。

 「バイオシリーズは難しい」や「アクションゲームが苦手」という人にもぜひプレイをしてほしい作品。セーブ回数に制限はないうえ、コンティニューもできる。もし腕に自身がないなら、PS2版に新たに搭載された「AMATEUR(アマチュア)」ランクでプレイしてみるのもいいだろう。難易度はかなり低く設定されているが、ストーリーは変わらないので、「4」を存分に楽しめると思う。そして、過去のシリーズを遊んできた人には、絶対にプレイをすることをオススメする。新しいバイオハザードを存分に味わいつつ、「2」からの伏線を堪能してもらいたいと思う。また、バイオらしさは、間違いなく残っているので、テイストや雰囲気に関しては問題ないだろう。

「AMATEUR」ランクでプレイすると、最初からショットガンを所持している。その他にも、「敵の数が少ない」「敵の体力が低い」「回復アイテムが出やすい」「レオンの耐久力が高い」など、NORMALランクとの違いが見られる
NORMALランク以上をクリアできる人には、物足りないと感じるかもしれないが、気分を変えてプレイするにはオススメ。2周目プレイで、コスチュームを変えて遊びたい時にも重宝するランクだ

PS2版専用モード「the another order」は、GC版「4」を遊んだ人こそプレイすべき

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた