新しき血の導入――既存のイメージを覆した意欲作に思わず脱帽「biohazard4」レビュー(3/3 ページ)

» 2005年12月02日 09時10分 公開
[桜山憂太,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

PS2版専用モード「the another order」は、GC版「4」を遊んだ人こそプレイすべき

 ここでは、GC版の「4」をすでにプレイ済みの人のために書いておこう。まず、GC版との最大の違いは、なんと言っても新モード「the another order」だろう。本編“エイダ”がなぜレオンの前に現れるのか、その行動の足取りをプレーヤー自らが遊ぶ事ができるようになっている。

 これは、本編と同じようにCHAPTER構成で、それぞれに決まった任務が用意されている。このモードは、レオンと同じ時間軸でのエイダの行動が元になっているため、本編とのリンクも分かりやすい作りになっている。また、本編のレオンと違い、エイダはアクションボタンで「フックショット」が使える。このフックショットでは、高い所に一気に上れるため、レオンよりも移動に関してはスムーズにできる箇所が多い。カスタマイズはできないものの、武器商人もいるため本編と同じ意識でプレイできるだろう。

 特筆すべきは、エイダにまつわる「謎」が徐々に紐解かれていくわけだが、これに関しては自らの手で確かめほしい。このモードのボリュームだけでも満足できるはず。ただし、本編を一度クリアしないと遊べないので、そこだけは注意をしてほしい。

 また、GC版にも入っていた「THE MERCENARIES」や「Ada the Spy」も、条件を満たせばPS2版でもプレイ可能。PS2版の追加として「P.R.L.412」というレーザー武器が新登場している。あえてGC版との違いを挙げるならば、グラフィック面でGC版より多少劣る部分が出てしまっているのが残念。また、ロード時間もGC版より長くなってしまったため、ブラックアウト時に右下に「Lording…」と出るようになった。どちらも、気にするほどのレベルではないと思われるが……。

各CHAPTER毎に、写真のように任務が出される。それを遂行することによって、CHAPTERクリアとなる。エイダが移動する場所は、本編でも使用した場所ばかりなので、迷う事はないだろう。また、要所にあるオブジェクトを調べたりすると、レオンに関するコメントなども出たりしてニヤリとさせる場面も
「フックショット」を使用すると、一瞬で高い箇所に移動ができる。本編では登れなかった箇所などにも行ける為、違った景色を見ることもできたりするのだ。
ここにも出てくる武器商人。配置場所や売っているものなどは、本編と異なる。カスタマイズができないため、お金を払うのは純粋に商品の購入のみ

バイオシリーズが好きなら間違いなく「買い」でしょう。

 最後に個人的な雑感。GC版の「4」を遊んでいるので、まずは初めてプレイした時の感想から。今までのバイオとの最大の違いである一人称視点的な「ビハインドカメラ」。これがかなりの曲者で、 慣れるまでが結構つらかった。ただ、それは攻略的な視点からなので、純粋にゲームとして見た場合は、かなりの効果(=緊張感)を得ていると感じた。また、画面の上下が切れていることで、視界を狭められており、これらが絡んだ事によって敵が視認しづらく、今までのバイオにない恐怖感を味わえるのは間違いない。個人的には、今回の視点はバイオの良さ(=恐怖感)をかなり引き出す事に成功したと感じた。

 アクションボタンの採用で、今まで休憩になりがちだったイベントシーンすらも、気が抜けない状態になり、緊張感を持続させなければいけなくなった点も評価したい。ただし、中盤のあるシーンでの、アクションボタンの連続は、さすがに厳しく、あそこでプレイをしなくなる人も多いのではないかと邪推できるのが残念。バランスが難しい箇所でもあるとは思うが、セーブにも、コンティニューにも制限がないので、諦めずに最後までプレイしてもらいたい。

 シリーズのマンネリ化を排除したうえで、武器のカスタマイズやアシュリーを連れて行動を共にさせる仕様は、かなりの意欲を感じ取る事ができた。しかも、バイオという看板を背負っているうえでそれらに挑戦をし、バランスを崩さずにユーザーに楽しんでもらうというのは、相当な苦労と困難があった事は想像に難くない。新たな要素がそれぞれバランスを崩さずに、及第点以上の楽しさを与えているのはかなり評価に値する箇所と思う。

 「4」としての雑感はこんな感じで、あとはPS2版としての意見を。新モードの「the another order」は、エイダの行動がわかりやすく本編の内容がより深く理解できるものだった。ただのおまけとしてしか認識していなかったので、ボリューム感もあり満足。ただ、すぐに遊ぶ事ができないため、本編をクリアする労力が必要なのは、若干厳しいかも。

 グラフィック面での劣化はさほど気にはならなかったが、「Lording…」の文字が出てしまうことに、軽い違和感を感じてしまった。やはりGC版の快適さを知ってしまっているが故なんだと思う。そして、最後に、これはPS2のコントローラの問題なのだが、GCのコントローラと違い、アナログスティックに“遊び”が多いため、操作中ストレスを感じる事がしばしばあった。まっすぐ走りたいのに走れない。敵を避けたつもりなのに、避けきれてないなど。これに関しては、人それぞれ感じ方が違うのかもしれないが、かなり不満になった……。ただ、GC版を買った人でも「the another order」のために買って損は無いと思うのでオススメ。もちろん、シリーズ未プレイのユーザー、もしくは、過去のシリーズは触っているが「4」をまだ遊んでいない人は間違いなく「買い」です。

本編とのリンクが、巧妙に組まれている「the another order」。エイダを動かし、レオンの行動を盗み見たりするイベントは、スパイ気分そのもの。本編で語られる事の無かった、エイダの思惑に……
「THE MERCENARIES」も、PS2版ではプレイ可能。本編とは違い、やり込み要素としては、申し分ないだろう。もちろん「Ada the Spy」も同様だ
止まっているカラスを撃ちやすくなった本作だが、飛んでいる奴を撃ち落とす方がゲームとしての楽しさを感じられるだろう
biohazard4(バイオハザード4)
対応機種プレイステーション2
メーカーカプコン
ジャンルサバイバルホラー
発売日2005年12月1日
価格7140円(税込)
(C)CAPCOM CO.,LTD. 2005 ALL RIGHTS RESERVED.


前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた