新しき血の導入――既存のイメージを覆した意欲作に思わず脱帽「biohazard4」レビュー(1/3 ページ)

2005年1月27日にゲームキューブ版として発売された同名タイトルの移植作。PS2に移植するにあたり、様々な要素が追加された。今回のレビューでは、PS2版の新要素のみを取り上げるのではなく、「biohazard4」としてゲームすべての要素に注目してお届けしよう。「4」をまだ遊んでいない人、すでに「4」を遊んだ人それぞれにおくる、注目してほしい箇所も挙げておくので、ぜひ参考にしてほしい。

» 2005年12月02日 09時10分 公開
[桜山憂太,ITmedia]

新たな「恐怖感」を与えるための、シリーズとしての斬新さ

 バイオハザードシリーズの最大の特徴は、なんと言ってもプレーヤーに与える「恐怖感」。この恐怖を味あわせるために、従来のシリーズでは様々な手法が用いられてきた。しかし、過去のシリーズはシステムが完全に同じ流れを踏襲しており、その部分を不満に感じ、または慣れる事ができずにシリーズを遊ばずにいた人も多い事だろう。

 シリーズの大きなポイントとしては、「敵はゾンビを中心とした異形の者」、「マップ内は固定カメラ(例外もあり)による移動」、「セーブ回数の制限」などが挙げられる。今作「4」は、それらを含めシリーズのシステムを一新し、かつバイオらしさを失わせないという意欲作となった。それらの要素を紐解いていこう。

システムは新しいものを取り入れたが、ストーリーは「baiohazard2」の流れを汲んでいる。主人公は「2」と同じく“レオン・S・ケネディ”。他にも“エイダ”など、「2」に出てきた人物が登場する。写真は“ルイス・セラ”。本作で初登場となる人物

視界を狭める「ビハインドカメラ」による緊張感

 最大の変更点とも言えるのが「ビハインドカメラ」の採用。レオンの背後から映す一人称視点は、シリーズの流れを変え、新しい操作感覚を与える事になった。この「ビハインドカメラ」により、後述する「狙い撃ち」のシステムが活きる事になる。「ビハインドカメラ」は、常にレオンの背中が見えているうえ、画面上下が切れていることによって視界がかなり限られている。これにより、敵がどこから出てくるかわからない「不安感=緊張感=恐怖感」を得ることができる。

 「視界を狭めて緊張感を煽る」というのが、制作側の狙いだとすれば、これは間違いなく大きな効果を出していると言えるだろう。見えてない位置から襲われる事により、今までのシリーズとは違った感覚の怖さを味わえる。また、この「ビハインドカメラ」によって、操作感覚も従来のシリーズとは一線を画す事となった。

 今までカメラアングルが切り替わるため、操作が難しいと感じていたユーザーには敷居が低いかもしれない。また、ネットワークゲームの浸透により、FPS(ファーストパーソン・シューティングゲーム=一人称視点のゲーム)に慣れているユーザーにも、入りやすいと言えるだろう。逆に一人称視点に慣れていない人や、アクションゲームの苦手な人には取っ付きにくい印象を与えるかもしれない。しかし、ゲームをプレイしていれば、自然に慣れる事ができる。

画面上下は常に切れているため、見える範囲に制限がある。この制限による緊張感は、プレイをしないと味わえないだろう。また、ワイドモニターに対応しているので、設定を変えれば通常より広く見ることが可能で、より臨場感を与えてくれている

「フリーターゲット」で敵を狙い撃つ爽快感

 前述の「ビハインドカメラ」の搭載により、敵を倒すための「オートターゲット機能」は排除された。そのため武器を構えると赤いレーザーポイントが表れ、プレイヤー自身が自由に照準を合わせる「フリーターゲット」になっている。従来のシリーズならば、新しい部屋に入った時に武器を構えるとオートで敵方向へ向いていたが、今作ではそのような事がないために、どこに敵がいるのかわからない恐怖感があるのだ。「フリーターゲット」になった事により、より正確な射撃が要求されるようになり、敵が近づいてくるのに照準が合わない時などは、今までになかった焦燥感を醸し出すことになる。

 「フリーターゲット」の最大の特徴として、“自分で狙った場所を撃つ事が可能”という事が挙げられる。これにより、敵の頭部などの急所を意識的に狙う事ができ、より戦略的なプレイができるようになっている。敵の足を狙い撃ちし、相手を足止めしている間に横をすり抜けるなどといった方法や、こちらに気付いていない遠くの敵を狙い撃つ事も可能。この「フリーターゲット」によって、従来のシリーズになかった新たな緊張感と爽快感を与えてくれている。

敵が近づいてくる時に、頭部に照準を合わせ、ギリギリまで引き付けて最大の威力にした弾丸をぶちあてるのは、“爽快”の一言に尽きる。シリーズ同様、弾数に限りがあるので、いかにピンポイントで撃つかが、攻略のカギになってくる。しかし、すべての場面で落ち着いて狙い撃てるわけではないので、臨機応変に対処
武器もショットガンやマグナムなどお馴染みのものから、マインスロアーなどの新しい武器も登場し、シリーズ最高の種類を誇る。ライフルで遠くの敵を撃つ感覚は、まさにスナイパー

「アクションボタン」で、自由度を高めた操作感

 通常、コントローラでできる操作は、従来のシリーズに近いものになっている。ナイフはその都度武器を持ち帰る事無く、L1ボタンを押すことですぐに出す事が可能と、かなり利便性が向上した。しかし、今作では「アクションボタン」を搭載した事により、さらに多くの操作をする事が可能となっている。従来のシリーズならば飛び越える事のできなかった柵や、窓などがボタン1つでアクションできるようになったのだ。

 これは、どこでもできるのではなく、決まった場所に近づく事によって、画面下部に可能アクションが表示される。その場でボタンを押せば、その状況に応じたアクションを起こせるというわけだ。この操作によって、移動時のストレスが軽減され、敵との戦いにおいても新たな戦略性を生むことになった。このアクションボタンの搭載は、コントローラにそれぞの操作を割り当てていないことで、複雑な印象はまったくない。さらに、操作の幅を広げているため、かなり大きくゲームの快適さとプレイの楽しさを与えてくれた。

決まった位置で「アクションボタン」を押す事により、リアルタイムでアクションを起こす。通常の操作と同じ感覚で使えるために、レスポンスもかなりいい
イベントシーンなどでは、アクションボタンによる操作を行なわなければいけいない場面もあり、気の緩む瞬間が無くなった。従来のシリーズと違い、イベントシーンでも、コントローラを手放す事無く、常に画面に集中する事が必要になる。しかし、その緊張感は、今までのシリーズでは味わえなかったものだ

無防備な「アシュリー」を、高い知能を持った敵から守り抜く醍醐味

       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2411/13/news176.jpg 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  2. /nl/articles/2411/14/news014.jpg ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  3. /nl/articles/2411/14/news042.jpg 夫「250円のシャインマスカット買った!」 → 妻が気づいた“まさかの真実”に顔面蒼白 「あるあるすぎる」「マジ分かる」
  4. /nl/articles/2411/14/news090.jpg ユニクロが教える“これからの季節に持っておきたい”1枚に「これ、3枚色違いで買いました!」「今年も色違い買い足します!」と反響
  5. /nl/articles/2411/14/news167.jpg 妻が“13歳下&身長137センチ”で「警察から職質」 年齢差&身長差がすごい夫婦、苦悩を明かす
  6. /nl/articles/2411/14/news187.jpg 人生初の彼女は58歳で「両親より年上」 “33歳差カップル”が強烈なインパクトで話題 “古風を極めた”新居も公開
  7. /nl/articles/2208/06/news075.jpg 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  8. /nl/articles/2411/13/news162.jpg 「情報操作されてる」「ぜーんぶ嘘!!」 175R・SHOGO、元妻・今井絵理子ら巡る週刊誌報道を一蹴 “子ども捨てた”の指摘に「皆さん騙されてます」
  9. /nl/articles/2411/14/news035.jpg 160万円のレンズ購入→一瞬で元取れた! グラビアアイドル兼カメラマンの芸術的な写真に反響「高いレンズってすごいんだな……」「いい買い物」
  10. /nl/articles/2411/12/news194.jpg 「予約しました」 サッポロ一番の袋に見せかけた“笑っちゃいそうなグッズ”が話題 「サッポロ一番味噌ラーメン好きがバレちゃう」
先週の総合アクセスTOP10
  1. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  2. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  3. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  4. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」
  5. イモト、突然「今日まさかの納車です」と“圧倒的人気車”を購入 こだわりのオプションも披露し光岡自動車からの乗り換えを明かす
  6. 「この動画お蔵かも」 親子デートの辻希美、“食事中のマナー”に集中砲火で猛省……16歳長女が説教「自分がやられたらどう思うか」
  7. 老けて見える25歳男性を評判の理容師がカットしたら…… 別人級の変身と若返りが3700万再生「ベストオブベストの変貌」「めちゃハンサム」【米】
  8. 「ガチでレア品」 祖父が所持するSuica、ペンギンの向きをよく見ると……? 懐かしくて貴重な1枚に「すげえええ」「鉄道好きなら超欲しい」と興奮の声
  9. 「デコピンの写真ください」→ドジャースが無言の“神対応” 「真美子さんに抱っこされてる」「かわいすぎ」
  10. 「天才」 グレーとホワイトの毛糸をひたすら編んでいくと…… でっかいあのキャラクター完成に「すごい」「編み図をシェアして」【海外】
先月の総合アクセスTOP10
  1. 50年前に撮った祖母の写真を、孫の写真と並べてみたら…… 面影が重なる美ぼうが「やばい」と640万再生 大バズリした投稿者に話を聞いた
  2. 「食中毒出すつもりか」 人気ラーメン店の代表が“スシローコラボ”に激怒 “チャーシュー生焼け疑惑”で苦言 運営元に話を聞いた
  3. フォロワー20万人超の32歳インフルエンサー、逝去数日前に配信番組“急きょ終了” 共演者は「今何も話せないという状態」「苦しい」
  4. 「顔が違う??」 伊藤英明、見た目が激変した近影に「どうした眉毛」「誰かとおもた…眉毛って大事」とネット仰天
  5. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  6. 星型に切った冷えピタを水に漬けたら…… 思ったのと違う“なにこれな物体”に「最初っから最後まで思い通りにならない満足感」「全部グダグダ」
  7. 「泣いても泣いても涙が」 北斗晶、“家族の死”を報告 「別れの日がこんなに急に来るなんて」
  8. ジャングルと化した廃墟を、14日間ひたすら草刈りした結果…… 現した“本当の姿”に「すごすぎてビックリ」「素晴らしい」
  9. 母親は俳優で「朝ドラのヒロイン」 “24歳の息子”がアイドルとして活躍中 「強い遺伝子を受け継いだ……」と注目集める
  10. 「幻の個体」と言われ、1匹1万円で購入した観賞魚が半年後…… 笑っちゃうほどの変化に反響→現在どうなったか飼い主に聞いた