ニュース
» 2005年12月05日 20時00分 公開

FPSゲームシーンを変えた「MOD」カルチャーが日本に浸透する日IGDA関西 スペシャルセミナーリポート(1/2 ページ)

12月2日、立命館大学で開催された国際シンポジウム「DIEC2005」の翌日、「HALFLIFE」シリーズでおなじみのValve社のDesign Lead、ロビン・ウォーカー氏が超人気FPS「Counter-Strike」の和製MOD「カウンターストライク ネオ」を前に、ユーザーコミュニティとMODの可能性についてセミナーを行った。

[松井悠,ITmedia]

ユーザーがゲームのすべてを変える「MOD」カルチャーの魅力

 日本ではなじみの薄い「MOD」とは「Modifay」から派生した言葉で、ユーザーが開発元から提供された開発用SDK(Software Debelopment Kit、ソフトウェア開発キット)。いわば「メーカー公認ゲーム改造キット」を使用して新たなPCゲームを作り出すというもの。FPSの創生期に登場したidソフトウェアの「DOOM」から始まり、現在は「Quake4」や「HALF LIFE2」、「Grand Theft Auto(GTA)」などのMODが数多くリリースされている。

 MODの中で有名なものとしては、「HALF LIFE」MODの「Counter-Strike」があげられる。「Counter-Strike」は、2人の大学生が基本のシステムを構築しオンライン上で公開したところ、世界中の「HALF LIFE」ユーザーに支持され、現在のブームを巻き起こした。

 その後「HALF LIFE」開発元のValve社が権利を買い上げ、販売されることとなったわけだ。「Counter-Strike」は99年に最初のバージョンがリリースされて以降、ユーザーの声を受け取りながら21回のバージョンアップが行われ、そして現在もなお進化を続けている。

 先月シンガポールで開催された「World Cyber Games」でも試合が催された「Counter-Strike」は、世界中でもっとも多くのプレーヤーが存在するFPSの1つといえるだろう。

 MOD制作の方向性は様々で、オリジナルプレイマップの作成から、自キャラクターの外装を「人気アニメロボット風」や「アイドル風」に変えるものや、ゲームルールをオリジナルで設定するものまで、数え切れないほどのMODが世界中でリリースされている。

 しかし、この流れは海外、特に欧米圏が盛んで、日本では今ひとつ認知されていない感がある。一定以上のプログラムやデザインなどのスキルが必要なのはもちろんのこと、マニュアルやツールがすべて英語で表記されているために、ハードルが高く感じてしまうのが理由なのだろう。

 近年、日本でも有志によって作成されている「カウンターストライクエンジニアリングセンター」をはじめ、日本語版MODコミュニティーが活発な動きを見せ始めている。

 また、現在日本各地のゲームセンターに設置されはじめている「カウンターストライク ネオ」も、「HALF LIFE」のMODのひとつで、こちらはナムコがValve社とライセンス契約を結び、「アーケードで楽しめるCounter-Strike」という位置づけで開発されたものだ。

1998年にリリースされた「HALF LIFE」。今となっては若干見劣りがするかもしれないが、当時は一大ブームを巻き起こした
ユーザー発のMODゲームとして、世界的なブームを巻き起こした「Counter-Strike」。現在は、HALFLIFEエンジンを使用したCounter-Strike1.6とSourceエンジンを使用したCounter-Strike:Sourceの2バージョンが存在している
HALFLIFEエンジンのCounter-Strikeを、さらにアーケード向けにカスタマイズしたナムコの「カウンターストライク ネオ」。マップデザイン、キャラクターの外装、武器などに変更が加えられている

HALFLIFEのMODメーカーの立場から、HALFLIFE2リードデザイナーへとたどり着いた男、ロビン・ウォーカー

 12月3日、京都ワンダータワー6F「LEDZONE京都」において、IGDA関西 スペシャルセミナー&イベント with Valve's ロビン・ウォーカー『ユーザーコミュニティを巻き込んだ北米型ゲームの今〜「カウンターストライク」はユーザーが生みだした』が行われた。(前日行われた国際シンポジウム「インタラクティブ・エンタテインメントの歴史と展望」についてはこちらを参照のこと)

 まず、IGDA日本代表の新清士氏によって「カウンターストライクを生み出した『MOD』とは何か」という簡単なレクチャーの後、MOD制作者から、Valve社へ、そしてDesign Lead就任というシンデレラストーリーを駆け上っていったロビンウォーカー氏の講演が始まった。

「HALF LIFE」シリーズの開発を行う「Valve」社のDesign Lead、ロビン・ウォーカー氏。96年に知人で開発した「Quake」ベースのMOD「Team Fortress」を発表、その後、98年、Valve社に入社。現在は「HALF LIFE2」の 拡張パック「Half-Life 2:Aftermath」を開発中

 まず、ロビン氏は、自らの体験を踏まえた上で「なぜMODを作るのか」ということから語り始めた。現在、アメリカの一部の大学では、ゲーム開発の手法を学ぶための教材としてMOD開発が行われていることや、ゲーム開発者になるためのケーススタディとして、MODの制作は最適であることをアピール。

 「MODを開発するためには、“デザイン”、“エンジン”、“ツール”が必要で、“巨大なチーム”、“MOD用のウェブサイト”、“マーケティング”などは不要だ」という。ゲーム開発の中で、もっとも手間のかかる「エンジン」と「ツール」は公開されているため、MOD制作を行うためにはその基本設計デザインのみで事足りる、というわけだ。

 良いMODを作るためには「“人々は自分のMODをプレイしてくれるか?”、“自分のMODは新しい何かを経験させられるのか?”といった自問自答を繰り返していくことが重要だ」、そして「デザインはもっとも手軽な差別化である」、「商業的な心配は不要である」、「違っているだけでいいわけではない」、「著作権を侵害するな」、「あなたのできることでデザインをすべきだ」、「まずは、簡単な最初のバージョンをデザインする」といったことに気をつけてほしい、と訴える。

 また、エンジンの選択は、「自分のゲームデザインにフィットするものを探すべき」であり「そのエンジンに何ができるか、どのくらい出荷されているのか」、「ツールをどうやって手に入れられるのか」で、考えるべきであり、それは「HALF LIFE2」エンジンが最適だ、と笑顔で続ける。

 「もし、1人ですべての作業を行えるのであれば、それがベスト。自分のMODを作るために足りない人材に気がついたら、そこで改めて人を増やせばいい」、「リソースにあわせたデザインを進めるべきだ」という商業ゲーム開発とは少し違ったスタイルをロビン氏は推奨している。

「HAMMER Level Editor」でマップを制作しているところ。見た目は複雑そうだが、簡単なマップであれば、ある程度の練習をすればすぐに作ることができるという

 実際にMOD制作を行う上で、ロビン氏がもっとも強調していたのが「可能な限りリリースを素早く行うこと」だとか。ロビン氏の制作したクラス制(それぞれのキャラクターに職業が設定されている)FPS「Team Fortress」では初回のリリース時にはキャラクターの差別化がなされておらず、バージョンアップを重ねるごとに、クラスを追加していた、という。また「Counter-Strike」も最初は攻撃、防衛側に特色がなく、武器なども徐々に変更されていった。

 ロビン氏は最後に「絶えず、ゲームをバージョンアップし続けてほしい。プレーヤーたちは発展するゲームの証人になりたがっているからだ。そして、そのバージョンアップは常に、過去のものよりも優れているはずだから」と、ステージを締めくくった。

 これは、ゲームが完成された状態でなければリリースされることが許されないパッケージゲームとは異なり、常に進化しつづけることを前提としているMODの強みと言えるだろう。

イベント後、ロビン氏にいくつか質問をさせていただいた

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2311/06/news020.jpg 柴犬「友達〜!!!」 お母さんの寝坊で散歩が遅れた柴犬、ワン友に会えず……→怒りMAXの拒否柴発動に母「スマン……」
  2. /nl/articles/2311/06/news041.jpg 素潜りでイソマグロを突いたら海に引きずり込まれ…… 水深25メートルの激闘が100万再生「怖い」「磯のダンプカー」
  3. /nl/articles/2311/05/news045.jpg カナダ留学中の光浦靖子、得意の手芸でまたしても力作を生み出す 「クオリティ高すぎ」「もープロですね」
  4. /nl/articles/2308/06/news018.jpg 柴犬がプールからあがろうとした瞬間……! 「何回見ても爆笑」「好きすぎる」コントのようなずっこけハプニングが発生
  5. /nl/articles/2311/06/news047.jpg 隣家にいった飼い主、ふと視線を感じると柴犬たちが……? じーっと監視するワンコきょうだいの圧に爆笑
  6. /nl/articles/2311/06/news117.jpg 「スト6」フランス大会決勝、モニターにペンキで中断 環境団体乱入で
  7. /nl/articles/2311/06/news068.jpg 村重杏奈の“最強遺伝子”な弟、7歳バースデーお祝いに黄色い声 姉とうり二つな姿に「幼さが抜けて更にイケメン」「可愛いしカッコイイ」
  8. /nl/articles/2311/04/news008.jpg 「やばい電車で見てしまった」「おなか痛い、爆笑です」 カメがまさかの乗り物で猫を追いかける姿が予想外の面白さ
  9. /nl/articles/2311/04/news016.jpg 突然現れた痩せて汚れた野良猫、「ごはんくだちゃい」と訴えてきて…… 距離が縮まっていく姿に「涙が出ます」と100万再生
  10. /nl/articles/2311/05/news052.jpg 「ここはあんたが座る席じゃないよ」 末期すい臓がんの叶井俊太郎、優先席に座るも高齢者から非難 妻・倉田真由美が明かす
先週の総合アクセスTOP10
  1. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  2. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  3. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!
  4. 「BreakingDown」出場の元プロボクサー、5人から一方的に暴行される 顔面数針縫うも「私は1発も攻撃してません」
  5. 「頭が大きい」「普通ではない」 パリス・ヒルトン、9カ月長男の受診勧めるコメントにぴしゃり「世の中には病んでる人がいるみたい」
  6. 「最期の最期まで闘って」 元「妄想キャリブレーション」水城夢子さん、27歳で病死 2年前には“しばらく療養が必要な病状”で休止
  7. 3児の母・杏、異次元スタイルのパンツスーツ姿が衝撃的 目を疑う脚の長さに「身長の半分股下」「えっ! 本当!? っと思っちゃうくらい」
  8. 志穂美悦子、68歳バースデーに鍛えられた筋肉バキバキの肉体美披露 「いろいろやりたいことがある」「まだ見ぬ自分へ」
  9. 柴犬と父のやりとりに「20分これ見て爆笑してます」「気持ちよすぎるいい返事」 お笑いコンビを超える関係性が100万再生
  10. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 病名不明で入院の渡邊渚、3カ月ぶりSNS更新で「表情に違和感」「そこまで酷い状況とは」 ベッド上で「人生をやり直すこともできません」
  2. 動かないイモムシを助けて1年後のある日、窓の外がありえない光景に 感動サプライズが「アゲハ蝶の恩返し」と話題
  3. 「スカートはないわ」「常識無視の番組でびっくり」 山下リオ、登山中の服装批判巡って反論「私が叩かれているようですが」
  4. 「千鳥」大悟、大物美人俳優にバッグハグされた表情に注目集まる 「マジ照れのお顔ですね」「でれでれやん」
  5. 渋谷駅「どん兵衛」専門店が閉店 店内で見つかった書き置きに「店側の本音が漏れている」とTwitter民なごむ
  6. 神田愛花アナ、拡散された女子中学生時代ショットにスタジオ騒然「ヤバい」→“アネゴ感”でSNSもざわつく
  7. 「生きててよかった」 熊谷真実、美麗な初“袋とじ”グラビアで63歳の色気全開 真っ赤なドレス着こなす姿に「すごいプロポーション」
  8. 尻尾がちぎれた小さな子猫をサーキット場で保護→1年後“ムキムキ最強生物”に 驚異の成長ビフォーアフターに注目集まる
  9. 双子モデル・吉川ちえ、美容整形後のひたいが“コブダイ”状態へ 多額の費用要した修正手術で後悔も「傷がこんなに残りました…」
  10. 「犬ぐらい大きくなれよ」と願い育てた保護子猫が「まさか本当に犬ぐらいになるとは」 驚異の成長ビフォーアフターが192万表示!