Wiiがなければ生まれなかった、人間と妖精の不思議な共生――「Elebits(仮)」「Elebits(仮)」(エレビッツ)向峠慎吾プロデューサーインタビュー(2/2 ページ)

» 2006年06月21日 00時08分 公開
[加藤亘,ITmedia]
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プロデューサー向峠慎吾氏に聞く「Elebits(仮)」のできるまで

プロデューサー・向峠慎吾氏

 「Elebits(仮)」プロデューサー・向峠慎吾氏にお話をうかがった。向峠氏はプレイステーション 2版の「ビートマニア II DX」シリーズや「ギターフリークス&ドラママニア」シリーズを手がけてきてはいるが、今回はまったく違うジャンルへの挑戦となる。


―― まず、最初にWiiを触った時の印象は?

向峠慎吾氏(以下、向峠) 最初にWiiを触らせてもらった時は衝撃的でした。見た目の印象は、どちらかというとスポーツ系や剣で切るといった、コントローラを大きく動かして操作するものだと思っていたんです。でも、ポインティングデバイスで細かな操作もできるし、自由度の高いコントローラでとにかく新しいと惚れ込んでしまいました。

―― 「Elebits(仮)」の発想はどうやって?

ゲームにはアイテムも存在。写真冷蔵庫左にあるような玉が随所に転がっている。玉はほかのものと同様に持ち上げ、床などにたたきつけると発動する。赤い玉は周囲のElebitsを麻痺させ動きを止めるためのもの。青い玉はホーミングレーザーで、複数のElebitsを同時にロックオンして、どこに逃げようが追尾して捕獲することができるもの

向峠 Wiiのコントローラありきでスタートした企画なんです。実際、コントローラを使って新しいゲームができないかと、コントローラの使い方を軸にした作品が練られていきました。従来のコントローラでは、“ひねる”とか“引っ張る”などの概念がなかったので、Wiiリモコンとヌンチャクでなら、実際の生活の中で何ができるんだろうと考えていきました。そういった話し合いの中で、蛇口やドアノブをひねったり、引き出しを開けたりするようなことをしたいねということになり、そこで部屋の中のものを自由に触って移動できるたらどうだろうと発展していきました。だから、Elebitsの世界観や設定は後のせに近い。ゲーム性を突き詰めていく時、部屋の中を触ってって何をするかというときに、かくれんぼが思い立った。実際、モノを動かしたり、モノを捜したりするわけですし。こうして小さい妖精“Elebits”を捜そうというゲームの中身ができてきた。あとは、もうひとひねりと、捕まえたらどんどん電気がついていくというのはどうだろう? と考え、Elebits(妖精)=エネルギーにしようとなったんです。


―― 実際、Wiiでの開発はいかがですか?

蛇口をひねると水とともにElebitsが溢れ出る。そういうクスッと笑える楽しみがいっぱい入った作品

向峠 ハードにおける開発はやりやすいですね。絵が出るのにそう時間はかかりませんでした。任天堂さんのサポートもいい。ただ、コントローラ自体が新しいので、どれくらい動かしたらゲームではどれくらい動くのか、などの動きの調整が難しいです。たとえば、蛇口をひねるにしても人によって加減が違うじゃないですか。どれくらいならいいのだろうと微調整が必要なんです。前述したとおり、Wiiのコントローラがなければここにない作品なので、任天堂さんに感謝してます。まだまだ新しいことができそうなので、それはまた別の作品でやってみたいです。


最初は小瓶、外ではボールでバスケットも。最終的にはお家を投げ飛ばせる

―― Elebitsの名前の由来は?

向峠 Elebitsは、電気を意味するエレクトニックと小さい単位を表すビッツを掛け合わせた造語です。今回はキャラクターも重視したいと、大がかりにコンペティションしまして約50人くらいに声をかけ、100体以上のキャラクターデザインを上げてもらいました。その後、調査して残ったのが彼らです。結果的にうちのチームのデザイナーによるElebitsになりましたが、選考だけでけっこうかかりましたね。

―― キャラのコンセプトは?

向峠 若い層にも受けるし、高校生大学生、もちろん女性が見ても可愛いと思えるものを選びました。ただ、普通に可愛いではなく、ひねくれた感じが見えるデザインにしてと課題も与えてまして。キャラもそうですが、コントローラの性質を生かしたもので、誰でもできるゲーム性を求めたりと、相当激論を交わしています。

―― 今回のデモを見ても、すでにゲームとしての方向性も定まっているようですね。

向峠 今回デモでお見せしたのは序盤のステージです。ステージ数についてはまだ秘密ですが、時間と戦いつつできるだけ多く入れたいとは思っています。また現在はElebitsが2種類だけですけど、ほかにもたくさんいるんです。青いElebitsと赤いElebitsは性格が違いまして、青いのは標準タイプ。赤いのは臆病で逃げ足が速い設定で、できるだけ早く捕まえたほうがいいタイプです。ElebitsのAIは大変凝っていて、すぐ隠れちゃうかと思えば、歌を歌っていたりと多くの行動パターンを持っています。途中でElebits同士がコミュニケーションを取ったり、放っとくと泣き出したりと、ゲームに関係ない表情なども入っています。今はそういうものを大事に、世界観を広げていっているところですね。

―― Elebits同士が時々会話をしてハートマークや音符マークは、ゲームになにか関係するのですか?

向峠 直接は関係しません。ただ、エネルギーであり人間と共生している生き物なので、人間的な感性を持っているわけです。機嫌がいいと歌を歌ったりと、ゲームの世界観を作るのに必要と思い、さまざまな個性を入れ込んでいます。

―― ストーリーはありますよね?

向峠 もちろんあります。目的もある。いくつかのステージをクリアしていき終わりのあるゲームです。もちろん2周目、3周目もあるんじゃないかな。初心者向けというか、幅広い層を狙っているので、バランス調整を苦慮しています。やりこみ派の人にも満足してもらえるよう、コレクション要素を含めいろいろ準備をしているところです。ストーリーを進めていくとできることも増えるようにしたりとか。

車だって持ち上げられる

―― 家までも持ち上げられますよね?

向峠 エネルギーをためる量にもよりますが、プレーヤーがキャプチャーする力も強化されていくようになっています。だから成長要素もあるかな。ステージにあるものはすべてつかめるようにするのが理想です。

―― 目標はWiiと同時発売ですか?

向峠 頑張っているところです。できればWiiの発売付近には出したい気持ちでやっています。今後は、ゲーム的にももうちょっと先のものをお見せできると思います。今回のデモでは、基本的な遊びの部分しか入れていないので、それがどう広がっていくのかを楽しみにしてほしいです。Wiiは隣で見ていてやりたくなるという魅力を持つハードですから、こうやって遊んでもらい、実際に見てもらいワクワクさせたいと思っています。どのみち秋頃には触ってもらえる機会を作りたいので楽しみにしてください。


Elebits(仮)
対応機種Wii
メーカーKONAMI
ジャンル未定
発売予定日2006年
価格未定
(C)2006 Konami Digital Entertainment Co., Ltd.


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