Wiiのために24時間――事態は、リアルタイムで展開していく(3/4 ページ)

» 2006年12月04日 12時02分 公開
[ITmedia +D Games取材班,ITmedia]

23:00−0:00

 23時06分。原稿を書く記者K。同時に各地に散っているエージェントからの情報収集に勤しむ。聞けば聞くほど不安に。その頃、ライターJの楽しかった呑みの時間が終了を迎えていた。始発での動きに備えて一路我が家へ。酒は若干残っている。問題はここで思いっきり寝るか、それとも寝ずに行くかだ……。「ジャックならどうするだろう。ジャックなら…やっぱ寝ないよなあ」。当たり前だ。寝てはいけない。

 23時32分。記者K、寝やがった。これが例のドラマの画面分割でいったら、記者Kのところだけ、寝顔ということになる。どうやら記者Kには記者Kの考えがあるらしい。友人Hにモーニングコールをお願いし、ひそかに寝息を立てるのだった。

 23時50分。車に乗って自宅近くの某おもちゃ系量販店を訪ねる記者I。どうやら300台近く入るらしいが、まだ並んでいる人は10人程度だ。ニンテンドーDS Liteの時もそうだったが、おそらく地元の人たちは明け方から並びに来るのだろう。でもここは現状、間違いなく“穴場”だった。


 23時59分。ようやく仕事が終わり、時計を見ると午前0時前。もはや記者Eに終電はない。地元をあきらめて都内に並ぶか? そんなことを考えていると1通のメールが届いた。記者Eの協力者からだ。「この時間まで連絡がないってことは終電ないんだろ。途中まで迎えにいくよ」。さすがは10年来の付き合い。こちらのことは何でもお見通しというわけか。

0:00−1:00

 0時19分。さっさと寝ればいいのに、ライターJはネット巡回したり、オンラインゲームをやったりしている。そうこうしているうちに時間が過ぎていく。寝たほうがいいよ、寝たほうがいいよ、と自分に言い聞かせても、どうも体が言うことを聞かないらしい。どうやら遠足前の子ども状態に突入したようだ。ジャックなら寝ない。ライターJも寝ない……。ただ、このパターンの怖ろしいところは、いざ4時くらいになって急に気絶する、という最悪の結果だ。それだけは避けなくてはならない。いつ訪れるか分からない睡魔という名のテロリストとの戦いが始まった。

 0時28分。睡魔というテロリストに屈服した記者Kは、まだ寝ている。

 0時45分。記者Iは地元をあとにして、まずは池袋から回ることにしていた。ビックカメラ池袋本店前に行くと、すでに「完売しました」の文字が。店員の人に聞いたところ、どうやら午前0時半ごろに完売となった模様だ。マルチメディアAkibaに行ったが購入できなかった人が流れたのだろうか。裏側の道は購入希望者の行列ができていた。ざっと900人くらいいるだろうか。


 0時55分。帰りの電車内。記者Iと同じく、都内ではすでに整理券を配り終えたところもあるとの情報が入り、記者Eの不安が募る。とは言え、急げと念じて早く到着するものではない。

1:00−2:00

 1時20分。協力者と合流した記者Eは、一度自宅に寄ることにした。1分1秒が惜しい状況ではあるが、防寒対策をせずに向かうには寒すぎる。昼飯に加え、夕飯も食べていないので、コンビニで食料を調達。はやる気持ちを抑えながら、目的の量販店へと向かった。

 1時40分。池袋をあとにした記者Iは、次に新宿へと移動する。まずは新宿駅東口をのぞくことにする。午前1時40分、東口にあるTSUTAYAに到着。ここは午前2時の閉店後に並んでもらい、その中から抽選での販売になるとのこと。それでもすでに20人くらい並んでいた。寒空の中なのにご苦労様です! その頃、ライターJは部屋の暖房が効いてきて、若干うとうと……。「はっ! いかん! わたしは寝たいのか、寝たくないのか、どっちなんだ!」。よくわからないまま趣味の時間が過ぎていく。


 1時50分。続いてさくらやの新宿東口ホビー館に回る記者I。100人くらいが行列を作っているだろうか。ただし“完売”の文字はない。店員の人に聞くとまだ余裕があるとか。ここもひょっとしたら穴場か? やはり深夜を回り、外気は確実に寒くなっている。その頃、上野ヨドバシカメラに到着した友人の電話に、記者Kが起こされる。状況を聞くにつれ、少しずつ覚醒する。よし、上野に行くか。自宅からも近い! しかし、その前にひと休み。再び、眠りにつく記者Kだった。

2:00−3:00

 2時05分。ビックカメラ新宿西口店へ移動する記者I。新宿センタービルのあたりまで並ぶほどすごい行列ができている……。ここも完売か? と思ったら、まだ余裕があるとの話だった。ただ、すでに800名くらいの行列ができている。

 2時10分。ライターJ。このまま家で暖房に包まれていては何か大切なものを失ってしまうと、ある決断をくだす。

 2時12分。到着したのは午前2時過ぎ。明らかな出遅れだ。正直に言えば、“負け戦であることを確認しにいこう”という気持ちが半分くらいあった。だが、その先には驚くべき光景が広がっていた。誰もいない。1番乗りだったのである。当日販売分がないのではないかとも疑ったが、当日分の本体は95台を用意しているという紙がはってあるのみ。ほかに列があるのではと周囲を確認するも、それらしきものは見えない。ほっぺをつねって夢ではないかと確かめてみると、とても痛かった。現実であることを確認したところに、警備員らしき人が登場。どうやら間違いではないようなので、そのまま並ぶことにした。

本体は95あるものの、周辺機器の数は極端に少なかった

3:00−4:00

 3時03分。記者Iは渋谷へ移動。ここで当日販売をするのは、さくらや渋谷店だけだ。センター街入り口近くにあるさくらやを見ると、「180台入荷します」との文字が。ただし並んでいるのは30人程度。やはりここも穴場なのか? ここで記者Kに連絡。なにやら眠っているのかと思うようなぼんやりした声が聞こえる。「寝てた?」、「いや、バリバリ起きてました」などという会話のあと、記者Kを渋谷に派遣することにした。どうせ運を天に任せますとかいって抽選販売に行く気だろう……という記者Iの考えは間違いないようで間違っていた。この時点で記者Kは、すでに出撃体勢を整え、上野に作戦行動すべく衛星からの画像をにらんでいた。


 3時32分。最後に有楽町へ。すでに700名くらい並んでいる模様だ。まだまだ完売とまではなっていなかったものの、行列は東京国際フォーラムの入り口あたりまで伸びている。記者Kを渋谷に派遣したのは間違いではなかった。なんて親切なんだ。

 3時39分。ようやく次の人が現れた。ニンテンドーDS Liteでも並んでいたというので、その時の様子を聞いてみると、もっと人がいたとのこと。生まれてからずっと茨城県人である記者Eだが、この時ほど“茨城って不思議”と思ったことはない。だって、Wiiですよ。

 3時47分。「おれだ。今ジョナサンにいる。このジョナサン全体の地図と店員のシフトを俺のケータイに送ってくれ!」……はい。というわけで寝ちゃダメなので、3時に家を飛び出して近所のジョナサンに来ていたライターJ。軽食をぱくっと食べたらさらに眠くなった。やばいやばい。家にいたらおそらく撃沈していただろう。

 3時52分。上野で並んでいた友人を強引に呼び寄せ、車で渋谷に向かう記者K。目指すはさくらや渋谷店である。ここを選んだ理由は3つある。まず、人数が少ない。次に出勤しやすい。最後にボスの命令だ。とりあえず防寒対策は万全だが、気がかりはクスリを飲んで仮眠しても治らない悪寒と妙な汗だ。敵は睡魔と寒さのほかにもいるのか? 事態は勝手に体内で風雲急を告げていた。

4:00−5:00

 4時21分。記者IはライターHとともにひとまず本部へ戻る。これからの状況に対応すべく、情報収集活動を行う。記者K、渋谷に到着。さくらやの前には始発前ということもあり、それほど列は伸びていない。せいぜい80人くらいだろうか。よし、まずは地面に敷く段ボールを確保し、コンビニで温かい飲み物を確保だ。

 4時31分。ライターJがジョナサン潜伏捜査(実際はただいただけ)終了。4時40分の始発に乗るべく、一路新宿へ。そこで私が目の当たりにした光景は、整理券が配布されたのち、それでもなお並ぶコアなファンたちの行列だった。なぜそこまでして並ぶ。それはそこにWiiがあるからだ……。明言であった。

 4時47分。記者Eの後ろに徐々に人が集まり始めた。それでも10人くらいしかいない。何だか複雑な気持ちになるが、結果論だと言い聞かせて発売の時間をひたすら待つ。

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