プレイステーション 3はまだまだ発展途上の前の段階、必ず大きく飛躍できるSCE社長 平井一夫氏インタビュー(3/3 ページ)

» 2007年09月03日 00時00分 公開
[聞き手:平澤寿康、ITmedia +D Games編集部,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

PSPはさらなるエンターテインメント性の拡充を進める

―― さきほど、他の娯楽も含めて全てが競争相手とおっしゃいましたが、娯楽の中で最大の競争相手と思われるTV(ワンセグチューナー)をPSPに取り入れた意図はどこにあるのでしょうか。

画像

平井 娯楽というのは、TVのようなメディアだけではなくて、飲みに行ったりドライブに行ったり野球を見に行ったりと、何でもいいんですね。娯楽に使える時間というのは限られていますから、その限られたパイの取り合いだと考えています。またPSPですが、ゲームを中心として、いつでもどこでもゲームを楽しんでもらえる最高の携帯機にしたいという所から始まっていますが、ほかにもいろいろな付加機能が用意されていて、エンターテインメントの世界を拡げるという部分は携帯機として特に大事なところだとも思っています。

 そういった意味で、ユーザーのみなさんからの要望が多かったワンセグへの対応を実現させました。でも、ワンセグありきで始まったものではありません。あくまでも携帯ゲーム機としての位置付けを確立させた上でのものですから、クリアにステップを踏んできたと思っています。

―― ただ、ワンセグチューナーは従来のPSPには対応しません。そういった意味では、1から立ち上げるものに初めから用意されている、というような状況に近いようにも思いますが。

平井 PSPは、すでに携帯ゲーム機であるという位置づけは確立できたと思っています。初代PSPでは技術的にワンセグチューナーを搭載するのが難しかったという側面もあります。しかし、最初からワンセグチューナーなどの機能をアピールしてしまいますと、“PSPって何なのですか”ということになってしまいます。そのため、まずは“携帯ゲーム機です”というところから初めて、その後さまざまな展開を広げてきたというわけです。例えば初代PSPでも、デジカメやGPSなどを付けてエンターテインメント性を高めていこうという考え方でやってきました。

―― PSPとプレイステーション 3の連携についてですが、現在はゲームのダウンロードやリモートプレイなどが実現されていますが、今後さらにどういった連携が実現されていくことになるのでしょうか。

平井 基本的には、プレイステーション 3との連携という中では、PSPはプレイステーション 3のエンターテインメントコンテンツのアウトプットデバイスとして、家庭の中はもちろんですが、外出先で無線LANスポットを利用するなどして、いつでもプレイステーション 3のコンテンツを楽しめるよう、PSPをプレイステーション 3の周辺機器のような位置付けとしても使えるインフラを整備しましたから、今後はそこに面白いコンテンツを提供していくという点が大事だと思っています。

 もちろんこれは、プレイステーション 3との連携という意味においてですから、その点だけがPSPの位置付けというわけではありません。しかしプレイステーション 3との関連という点においては、「プレイステーション 3を持ったらPSPも持っていないとおかしい」と言っていただけるようなソフトや機能を持たせないといけないと思っています。

―― では最後に、平井さんのパーソナルなことをお伺いしたいのですが、平井さんは普段どういったジャンルのゲームをプレイされていますか?

画像

平井 わたしも1日24時間しかなくてつらいものがあるんですが(笑)、昔から車が好きですので、どちらかというとドライビング系のゲームを遊ぶことが多いですね。少し前ですが「グランツーリスモHDコンセプト」はすぐにダウンロードして遊び上げましたし、「リッジレーサー7」も楽しみました。こういったタイトルが、個人的にはいちばんリラックスします。

―― PSPを持って、外出先でゲームをプレイされるというようなこともありますか?

平井 PSPは、飛行機で出張するときには必ず持って行って、いろいろ遊んだりしていました。「していました」というのは、アメリカにいるときには、国内出張でも5〜6時間のフライトになることがありますので、そういうときには持って行きました。しかし、日本からアメリカに行くときとかは、仕事をしたりとか、寝たりすることが多いですが(笑)。

―― では、ゲームに費やす時間はどの程度ですか?

平井 そうですね。1週間のうちに4〜5時間行くかどうか、というところでしょうか。もちろん仕事も含めるとすごい時間になりますけれど(笑)、プライベートだとその程度ですね。週末に子供がやっていると、ちょっと貸せと言うんですが、ボロボロに負けて。「グランツーリスモHDコンセプト」なんて、子供がどんどん車種を出してしまって、「まだ自分がクリアしてないのにもうこんないい車があるの?」とか。もう最悪ですよね(笑)。


 プレイステーションといえば久夛良木健氏が真っ先に思い浮かぶというように、久夛良木氏はプレイステーションプラットフォームはもちろんのこと、ここ10年ほどのゲーム市場でも非常に大きな存在でありカリスマであった。そのため、おそらく平井氏もさまざまな場面で久夛良木氏と比較されることが多いことと思う。しかし今回、平井氏に話を伺うにあたり、あえて久夛良木氏の名前は一度も出さなかった。SCE社長兼グループCEOに就任したのだから、今後は平井氏のカラーが打ち出されていくのは当然であり、過去と比較することには全く意味がないと思ったからだ。そして、実際に平井氏の話を聞いて、一貫したビジョンを持ち、それに向かって力強く突き進んでいこうとしている姿勢がひしひしと伝わってきた。久夛良木氏という大きなカリスマを失ったとはいえ、平井氏のビジョンがグループ全体に浸透すれば、劣勢とも映るプレイステーション 3の現状を覆す可能性も十分にあると感じた。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」