言い訳が成立しちゃうんです!――無限回廊では、ムチャなフリでも通用する「無限回廊」レビュー(3/3 ページ)

» 2008年04月24日 13時00分 公開
[小城由都,ITmedia]
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なるほどこれは不思議な新機軸だ

 今までになかったロジックで、エンターテインメントを成立させた、という意味で、本作は新機軸のゲームだ。筆者が死ぬまでに、もう「これぞ新機軸!」というゲームにはお目にかかれないだろうと思っていたのに、こんなにあっさり出会えるとは。しかも「うおぉぉぉっ!! こんなゲームがあったかぁぁぁっ!!」という少年漫画的な感嘆ではなく、「ふむ、これは新しいですな」と、軍師的な落ち着きで評したくなるような作品なのが不思議だ。

 しかしこのゲームは独特の空気感を持っている。ステージによっては手も足も出ないこともあれば、偶然成功してしまうこともある。キャラクターが死んでしまうといったペナルティはないので、切羽詰まった緊張感はない。1プレイが終わると、自分の操作の軌跡がリプレイとして流れる。「あそこをこうすればもっと速くクリアできた」という研究に役に立つ。しかし、自分の失敗をあとから笑えるという楽しみ方もできる。

 とてもゆる〜い雰囲気で遊べるのだが、そのくせ妙にロジカルで、そして多少の競争意欲をそそるところがある。「自分にはこう見えるんだから、こうなって当然だ!」という自分勝手を、やんわりと、しかもちょっと効率的に、そして周囲の目を錯覚させながら成立させる――つまり、ムチャなフリを、合理的なワガママで押し通すゲームなのだ。そういう意味でも、とても新しい。

 あ、そうか。だから雛見沢氏は、本作を理解できたのだ。

 「どーゆー意味っスか」

 そーゆー意味っスよ。カッカッカッ。

お得! 無料アップデートによるステージ追加

 普通に「infinite」を続けるもよし、「canvas」で自分だけのオリジナルステージを作成するもよし。とにかくプレイをする理由に事欠かない本作だが、もっとも注目すべき点はPLAYSTATION Networkを利用して、無料で新ステージをアップデートできることだ。しかも、4月17日から4週連続で10ステージずつというから大変だ。急いで購入し、アップデートせねば。

 第1回の配信分を逃した人も大丈夫、まだあと3週、つまり30ステージも残っている。筆者はゲームライターの立場をフルに濫用し、5月15日までに配信される全ステージを体験させてもらった。その中でもお気に入りのステージを2つほど紹介したい。

Ushi Saboten

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 「牛」である。それぞれのエコーの前に、必ずジャンプや落とし穴が用意されており、自分はなんと一番高い位置にで〜んと居座っている。一番効率のよい方法を見つけると、とても気持ちよくエコーが消えていくため、思わずチョイスした。


001 Initiation Anfield

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 明らかな意図を持って組まれたステージだけに、作者の制作意図が分かった瞬間にヒザを打ちたくなることウケアイ。もともと理系の頭をもっていてロジカルシンキング寄りな人は、ウンウンうなって悩むのにもってこいのステージだ。


 ところで、ここでもう1つ告知です。公式サイトでは、それぞれの配信日にステージ紹介と、“ゲームやろうぜ!賞”を発表しているのでチェックしてみよう。

プレイした感想は“メビウスの輪”を知ったショックに近い

 “メビウスの輪”というものがある。幼少のころ、折り紙を細く切って輪っかにし、それをつなげてレイを作ったことがあるだろう。その細長い紙の短冊を、一回ひねって輪を作ると、その物体には“表”と“裏”がなくなる。表面をなぞっていると、いつのまにか裏らしきところを触っている、というアレだ。初めてこの理屈と出会ったとき、非常に不思議な気分になった記憶がある。

 「口の内側は、胃の内壁につながっていて、腸の内壁にもつながっていて、グルッとまわって皮膚になる。だから、口の中も、内臓の内側も、全部皮膚だ」

 という話を生物の先生から聞いたときも、「ほっほぉ〜っ」と、なんだか人生を得した気分になったものだ。

 本作がなんとなく分かるようになってからプレイした感想は、まさにそんな感じだ。脳の中に開拓されていないフロンティアが見つかって、シナプスどもが「おっ、まだ成長するんだねこの脳は」とちょっと感心している。そんな静かな興奮状態を味わえるのだ。

 これは、一生に一度は体験しておきたい快感である。

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