EA「シムシティ クリエイター」プレゼンテーションで明かされたこと
エレクトロニック・アーツは、「シムシティ」シリーズの最新作「シムシティ クリエイター」を2008年9月にWiiで発売すると発表。その説明会が催された。
エレクトロニック・アーツは5月28日、「ぼくとシムのまち キングダム」と「シムシティ クリエイター」のプレゼンテーションを行なった。両方ともWii用ソフトで、「ぼくとシムのまち キングダム」は、昨年9月に発売された「ぼくとシムのまち」の続編にあたる。なお、「ぼくとシムのまち キングダム」の発売日は2008年、「シムシティ クリエイター」は9月の予定となっている(「ぼくとシムのまち キングダム」についてはこちら)。
シリーズ初の円を描いた区画作りが可能に! 「シムシティ クリエイター」
「シムシティ」シリーズ最新作は、Wiiリモコンを意識した仕様がふんだんに取り入れられている。「シムシティ クリエイター」の説明に立ったのはシムシティ クリエイティブのシニア・プロデューサー、ミッチ・上野氏。
プレイヤーは市長となり、発電所を作り、道を引いて、家を建て、線路をひくて街作りを行う都市育成シミュレーションの代名詞となった「シムシティ」シリーズの最新作では、曲線的な道や掘り割りをひいたり、作った街を飛行機を飛ばして眺めたり、街を壊して作り直すことができるようになったほか、アメリカンやヨーロピアンといった街並みを作ることができるようになった。
Wiiリモコンを意識した操作性はさることながら、直感的に区割りができるようになっており、より簡単になった印象になっている。もっとも大きな特徴として上野氏は、曲線を描けるインタフェースを推す。フリーハンドで線を引くだけで、まるで“お絵かき”のように道路や池を描くことができる。これは、従来の角張った道や区割りばかりが街の姿ではないという、より本物志向な創造力を発芽させるに足るシステムといえる。中心点を決めるだけで、等間隔の円形を描くことも可能だ。もちろん、従来どおりにグリッド表示で角張った区割りもできる。上野氏曰く、「従来のシリーズ作品から削られた要素はない」とのこと。
さて、街作りでは、初心者を助けるアドバイザーという存在がいる。このアドバイザーには、「ぼくとシムのまち」の3頭身キャラクターが登場し、彼らのレベルに合わせた的確なアドバイスをくれるとのこと。「シムシティ」シリーズが、「ぼくとシムのまち」のキャラクターを使用して、イメージ刷新、そして統一をはかっていることが伺える。ちなみに、このアドバイザーからは、「エリア助手」として、地域ごとお任せする担当者を選ぶこともできる。ある程度能力のあるエリア助手は、広範囲を担当し、効率よく発展させることができるだろう。
本作には初級、中級、上級から難易度を選べ都市開発を一から行う「フリープレイ」モードのほか、都市が抱える問題を解決する「ミッション」モードや、基本操作をひと通し学べる「チュートリアル」がある。この他にも、ミッションモードをクリアしたことで解除する建物やランドマーク、イベント、アドバイザー、ミュージックをコレクションする「コレクション」、フリープレイの記録や過去に作った街の写真を保存する「思い出アルバム」、さまざまなテーマに沿って作った街のランキングをWi-Fiコネクションで見ることができる「街づくりコンテスト」などが用意されている。
「ミッション」はクリアする度に、建物やランドマークが解除されていくのだが、「ヒーロービルディング」と呼ばれる特別な建物が選択できるようになる。日本の戦国時代を模したものや、近未来建築など、さまざまな様式が用意されている。このヒーロービルディングを建築すると、その周囲の建物も引きずられるように、この様式の建物に入れ替わっていくのが面白いところ。1つの街に2つまでヒーロービルディングを造ることができ、街を二分して、かたや日本風の建物が、かたやお菓子の国のようなメルヘンチックな建物が並ぶこともある。ちなみに、ヒーロービルディングを撤去すると、時間を経て徐々に元の姿に戻っていく。
上野氏はデモプレイの中で、何度か街を破壊して見せてくれた。本作は作るのもさることながら、壊す楽しさも提供している。それは「災害」という形で用紙されており、地震や怪獣、流星群やUFOによって建物は破壊され、奪い去られてしまう。なお、上野氏は災害の中の「鉄球」を使って、Wiiリモコンを傾けると転がり街を押しつぶしていく様子を見せてくれた。災害に強い街づくりを目指しても、これではひとたまりもないのかもしれない……。
なお、本作には前述したように飛行機やヘリコプターで、街の上空を遊覧飛行することができる。ある一定の距離からは降りることはできないが、自分が作った街の上を飛んでみるのは格別に気持ちがいいことだろう。
「シムシティ」シリーズのように歴史が長いタイトルが、最新作を世に送り出す上で、その時代のトレンドを反映するのはよくあることだ。今回、Wii対応タイトルとして開発するにあたって、Wiiリモコンの特性を使った“フリーハンド”を実装するのは当然の流れだったに思う。Wiiというコンソールを選択したことで、狙うターゲットも低年齢層を中心に、従来のシリーズファンをも納得させる作品にすることが求められた結果が、こうした自由度の高い遊び心いっぱいの内容となったのだろう。「シムシティ クリエイター」には、アドバイザーとして「ぼくとシムのまち」の3頭身キャラクターが登場する。「ぼくとシムのまち キングダム」の紹介でも触れたが、EAがこのキャラクターをひとつのマスコットとして打ち出してきているのも、Wiiで発売されることを考慮してのことだろう。日本のユーザーが、ひいては世界中のユーザーがこうした「シムシティ」の新たな展開をどう受け入れていくのか注目した。
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