人生は選択の連続だ。子だくさんの悪人? 人々から尊敬を集める衆道家? あなたの行動で世界は変わる「Fable II」レビュー(2/2 ページ)

» 2009年01月07日 00時00分 公開
[松井悠,ITmedia]
前のページへ 1|2       

やり込み要素盛りだくさん。Xbox LIVEアーケードタイトルとの連携も

 本作のストーリーモードは、10時間もあればクリアできてしまう。しかし、ストーリー本筋とは異なるやり込み要素が非常に多く用意されており、プレイヤーを飽きさせない。マップを歩いているとどこからかプレイヤーの悪口を好き放題言いまくっている石像「ガーゴイル」の破壊、前作でもおなじみの謎のカギ「シルバーキー」収集、全8ラウンドを戦う「試練の迷宮」のタイムアタックチャレンジ、射撃スコアを競う「ウェストクリフ射撃場」、街道のどこかに存在する巨大な「デーモンの扉」の開扉、いろいろな居酒屋にいるカジノマスターとの「カジノゲーム」など、すべてをやりこもうとするとかなりのボリュームがある。いずれもクリアすればレアなアイテムをゲットできるので、本編を進めながら同時にプレイすることをオススメする。

 また、別途Xbox LIVEアーケードで配信されている「Fable II パブゲーム(800マイクロソフトポイント=約1000円)」との連動要素もあり、パブゲームでお金をためてから本編をスタートすれば資金面で大幅に攻略が楽になる。もちろんFable II本編からパブゲームのデータ移行も可能だ。

photo どこからかプレイヤーの悪口を言いまくっているガーゴイル、耳を澄まして場所を特定しよう
photo 世界のあらゆる場所に配置されているシルバーキーを探すと、隠された宝箱を開けられる
photo デーモンの扉は条件を満たすことで、その扉を開いてくれる

photo 解説者による実況が場を盛り上げてくれる「試練の迷宮」。経験値稼ぎにも最適だ
photo 地道にお金をためるだけでなく、パブゲームで一攫千金を狙ってみるのもいいかも

オンライン協力プレイはあくまでもオマケか

 ゲーム中、Xbox LIVEに接続した上でオプションの「オンラインオーブ」を表示させると、同じ場所にいる世界のプレイヤーがゲーム内に表示される。この状態で、プレイヤーの情報や、協力プレイの呼びかけ、プレゼントを贈ることができる。ほかのオンラインゲームと異なり、ネットワークに接続していればシームレスにオンライン協力プレイへ移行できるのは非常に親切な仕組み。昨今のオンライン対応ゲームは、このシステムを導入しはじめており、今後のスタンダードスタイルになるのではないだろうか。

 しかし、このオンライン協力プレイモード、筆者はてっきり自分の育てたキャラクターをオンラインに持ち込んで仲間と一緒に遊べるのかと思っていたのだが、クライアント側のプレイヤーは、何種類かのテンプレートから使用キャラクターを選択してホストの手助けを行うだけ。

 さらには、2人のプレイヤーが同じ画面内に収まっていなければならず、カメラワークの都合でキャラクターを動かしづらくなってしまったり、意思の疎通をしっかりとしていないとダンジョンを進めることすら難しい。これではオフラインの協力プレイ(コントローラーを2つ使用する)とほとんど変わらない。ただ、訪れたフレンドの街で大暴れしてひんしゅくを買うのは楽しかった、という思い出は忘れずに付け加えておきたい。

 確かに前作とは異なり、オンラインプレイもできるのだが、ほかの部分が前作から大幅にパワーアップしているが故に肩すかしを食らった感があり、かなり不満が残る。ゲームデザインに整合性を持たせるための判断なのか、技術的な理由からなのかは分からないが、ゲームの中に別の自分を作り出す喜びを与えてくれる本作だからこそ、お互いのキャラクターを持ち寄ってほかのプレイヤーと遊びたいと思うのだが……。

photo オンラインオーブが見えている状態なら、プレイヤーの情報の表示や協力プレイを要請できる
photo オンラインの協力プレイでは、あらかじめ獲得したゴールドや経験値の分配を設定する
photo 画面が固定されているため、思うような操作ができないのが難点だ

独特な操作感に慣れるまでに少し時間がかかる?

 全体的な完成度が非常に高い本作だが、いくつか気になる点もある。まず、キャラクターの移動がややもったりとしているところ。スティック操作に追随してキャラクターの向きが変わるのだが、細かな操作についてこない。例えば、建物の前にある看板を選択しようとしてもうまく移動できなかったり、通路の狭いダンジョンでオブジェクトに引っかかってしまったりすることが都度ある。

 また、メニューまわりのインタフェースも、カテゴリごとに分けられているのだが、アイテム数が多くなるとスクロールバーが途端に長くなり目当てのアイテムを探すのが面倒になることもしばしばあった。

 さらに、攻撃手段としての魔法も長押し時間によって5段階のレベルで使い分けられるのだが、これも後半になると使い分けるシチュエーションになかなか巡り会わない。そのため、結局1〜2種類の魔法を長押し用と単発用で使い分ける程度になってしまう。この理由はゲーム自体の難度がそれほど高くないために、魔法を場所に応じて使い分ける必要があまりないためだと思われる。

 ゲームデザインを追究しすぎたが故か、プレイヤーにとってやや不親切な部分が目につくが、これらの減点要素もゲームの魅力を台無しにするほどのものではないことはお断りしておく。

photo 食べすぎで太ってきたらセロリでダイエットを
photo スキルのアビリティを身につけることで、ズームしての狙撃が可能になる

善行と悪行の狭間で揺れる心をも楽しめる大人の方に

 本作は、1キャラクターにつきセーブデータをひとつしか保存できない。つまり、“この選択をして、気に入らなかったら別のセーブデータで始めよう”ということができないわけだ。善行を積み重ねてきた村人からの信頼が、つい出来心で犯した罪によって崩壊してしまった、ほかの街に奥さん子供がいるのにも関わらず、ついつい誘いにのって重婚したら、突如家に謎の手紙が送られてきてしまったなど、できること、やれることは非常に自由だが、その代わりに必ずツケが回ってくる。“やってみたい”という気持ちとどう付き合っていくかも、このゲームの楽しみのひとつといえる。

 ストーリーやクエストライン、街の人々の生活感は全般的に非常に丁寧な作りで、自らの判断によって世界が大きく変化していくFable IIは、まさに“ロールプレイング(役割を演じる)”のお手本だ。壮大なムービー、ド派手なキャラクターたちが描き出すお仕着せの日本的なRPGと違って、ぱっと見はやや地味な感があるものの、ゲームを一度スタートするとアルビオンの世界から抜け出せなくなるはず。

 日本語ローカライズもボイス吹き替え、テキスト翻訳を始めとして、非常にしっかりと行われているし、キャラクターデザインもそれほど日本人の好みから離れていない。“洋ゲーRPGは難しいから”“レーティングがZだから”と尻込みしていた人にも、ぜひとも一度手にとってもらいたい良作だ。

前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

昨日の総合アクセスTOP10
  1. /nl/articles/2412/15/news031.jpg ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. /nl/articles/2412/14/news019.jpg ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. /nl/articles/2412/17/news163.jpg 柄本佑、「光る君へ」最終回の“短期間減量”に身内も震える……驚きのビフォアフに「2日後にあった君は別人」「ふつーできねぇ」
  4. /nl/articles/2412/16/news079.jpg “プラスチックのスプーン”を切ってどんどんつなげていくと…… 完成した“まさかのもの”が「傑作」と200万再生【海外】
  5. /nl/articles/2412/17/news060.jpg 100均のファスナーに直接毛糸を編み入れたら…… 完成した“かわいすぎる便利アイテム”に「初心者でもできました!」「娘のために作ってみます」
  6. /nl/articles/2412/17/news049.jpg 「品数が凄い!!」 平愛梨、4児に作った晩ご飯に称賛 7品目のメニューに「豪華」「いつもすごいなぁ」【2024年の弁当・料理まとめ】
  7. /nl/articles/2412/17/news183.jpg 「秋山さん本人がされています」 “光る君へ”で秋山竜次演じる実資の“書”に意外な事実 感動の大河“最終回シーン”に反響 「実資の字と……」書道家が明かす
  8. /nl/articles/2412/17/news144.jpg 「私は何でも編める」と気付いた女性がグレーの毛糸を編んでいくと…… 「かっけぇ」「信じられない」驚きの完成品に200万いいね【海外】
  9. /nl/articles/2412/17/news078.jpg 鮮魚コーナーで半額だった「ウチワエビ」を水槽に入れてみた結果 → 想像を超える光景に反響「見たことない!」「すげえ」
  10. /nl/articles/2412/17/news033.jpg セリアのふきんに、糸で“ある模様”を縫っていくと…… 思わずため息がもれる完成形に「美しい」「やってみます」
先週の総合アクセスTOP10
  1. ザリガニが約3000匹いた池の水を、全部抜いてみたら…… 思わず腰が抜ける興味深い結果に「本当にすごい」「見ていて爽快」
  2. ズカズカ家に入ってきたぼっちの子猫→妙になれなれしいので、風呂に入れてみると…… 思わず腰を抜かす事態に「たまらんw」「この子は賢い」
  3. フォークに“毛糸”を巻き付けていくと…… 冬にピッタリなアイテムが完成 「とってもかわいい!」と200万再生【海外】
  4. 鮮魚スーパーで特価品になっていたイセエビを連れ帰り、水槽に入れたら…… 想定外の結果と2日後の光景に「泣けます」「おもしろすぎ」
  5. 「申し訳なく思っております」 ミスド「個体差ディグダ」が空前の大ヒットも…… 運営が“謝罪”した理由
  6. 「タダでもいいレベル」 ハードオフで1100円で売られていた“まさかのジャンク品”→修理すると…… 執念の復活劇に「すごすぎる」
  7. 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
  8. ある日、猫一家が「あの〜」とわが家にやって来て…… 人生が大きく変わる衝撃の出会い→心あたたまる急展開に「声出た笑」「こりゃたまんない」
  9. 友人のため、職人が本気を出すと…… 廃材で作ったとは思えない“見事な完成品”に「本当に美しい」「言葉が出ません」【英】
  10. セレーナ・ゴメス、婚約発表 左手薬指に大きなダイヤの指輪 恋人との2ショットで「2人ともおめでとう!」「泣いている」
先月の総合アクセスTOP10
  1. 「何言ったんだ」 大谷翔平が妻から受けた“まさかの仕打ち”に「世界中で真美子さんだけ」「可愛すぎて草」
  2. 「絶句」 ユニクロ新作バッグに“色移り”の報告続出…… 運営が謝罪、即販売停止に 「とてもショック」
  3. 「飼いきれなくなったからタダで持ってきなよ」と言われ飼育放棄された超大型犬を保護→ 1年後の今は…… 飼い主に聞いた
  4. アレン様、バラエティー番組「相席食堂」制作サイドからのメールに苦言 「偉そうな口調で外して等と連絡してきて、」「二度とオファーしてこないで下さぃませ」
  5. 「明らかに……」 大谷翔平の妻・真美子さんの“手腕”を米メディアが称賛 「大谷は野球に専念すべき」
  6. 「やはり……」 MVP受賞の大谷翔平、会見中の“仕草”に心配の声も 「真美子さんの視線」「動かしてない」
  7. ドクダミを手で抜かず、ハサミで切ると…… 目からウロコの検証結果が435万再生「凄い事が起こった」「逆効果だったとは」
  8. 「母はパリコレモデルで妹は……」 “日本一のイケメン高校生”グランプリ獲得者の「家族がすごすぎる」と驚がくの声
  9. 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
  10. 「真美子さんさすが」 大谷翔平夫妻がバスケ挑戦→元選手妻の“華麗な腕前”が話題 「尊すぎて鼻血」