外から見ると違う! 日本だけ、ちと違う!!くねくねハニィの「最近どうよ?」(その34)(3/3 ページ)

» 2009年11月18日 14時24分 公開
[くねくねハニィ,ITmedia]
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ピンとくるネーミングを!

 前回書いたローカライズのお話は日本で作ったものを海外に持っていくときのことだったけど、逆のローカライズもあるよね? 海外製のゲームを日本に持ってくるってやつ。コアユーザー向けであれば、英語名そのまま(コアユーザーはネットで海外タイトル情報を見てるからね)ってのでもアリなんだろうけど、マスに向かって売っていきたいんだったら、まずはタイトルを変えてほしいなぁと思うことは往々にあるし過去の例も散見できます。そもそも何のゲームかも分からんのに、英語名そのままだったりして、タイトル名を見ても「何それ?」ってのが多かったりしない?

 そんな話をしているときに、某大手ゲーム開発会社社長とタイトルのネーミングについて偶然語る機会を得たんだけど、映画のタイトルはそこんとこウマいなぁと。フランシス・コッポラ監督の「地獄の黙示録」ってタイトルは圧巻だよね。原題はApocalypse Now(Apocalypseは啓示という意味)。さらにサム・ライミ監督のデビュー作「死霊のはらわた」に至っては原題がThe Evil Dead(悪の死)。最近で言うと、「あなたは私の婿になる」の原題はThe Proposal(プロポーズ)。キャッチィなだけではなく、いずれも「お?」と思わせることひとしお。

 あ、英語名を無理やり日本語にする必要はないんだけどね。そのままの方が伝わりやすいことも多いから。でもさぁ、最近では日本製のゲームソフトですら、よく分からない英語名がついていて「???」と思うようなことありません? 短いキャッチィな単語か、簡単で日本語英語にもなっちゃってるような英語タイトルだったらズドンと心に響くけどね。ボンバーマンとか、ストリートファイターとか、わっかりやすいよね。ただでさえ、ゲーム離れが嘆かれる昨今、かっこいいことより分かりやすいことが大事だと思うわけですよ。

 ゲームのクオリティが高い、というだけでは手に取ってもらえない世知辛い今日この頃、小手先と言われるかもしれないけど、こういったマーケティング的力量がゲームの売れ行きを左右するってことも考えないといけないよね。

 ちなみに、逆パターンなんだけど、スクウェア・エニックスが発売した「すばらしきこのせかい」は2008年4月に北米で「The World Ends With You」(君が死んだら世界は終わる)という名で発売されたんだけど、こういうのってセンス抜群よね。つい、This wonderful world!とかつけちゃいそう。

カルチャライズ:ローカライズのハードルがあがってる?

 前回書いた通り、ローカライズはローカライズをする人のセンスによる部分が大きいんだよね。そのローカライズ担当者の魂が入れば入るほど「カスタマイズ」が成功する可能性は高いわけでやんす。

 北米の某大手ゲーム開発会社勤務の米国人が、「崖の上のポニョ」のローカライズについて語ってくれたんだけど、米語吹き替え版では、セレブを使ってボイスオーバーをしていたそうで、そこにマーケティングの投球っぷりを見る半面、ローカライズでオリジナルを壊さない努力をしているところに感銘を受けたそう。「先生」を「Sensei」と訳していたんだって。安直な考え方だと、Teacherって言いそうになってしまうけど、これが妙なりらしいんですわ。

 アメリカ人だから言えることなんでしょうけど、「アメリカ人は子供のころからすべて自分たち向けにローカライズされているものに常に触れていて、異文化を感じる機会を与えられていない。でも最近は、オリジナルがどこでオリジナルをそのまま感じてみたいと思っている流れを感じるんだよねぇ」と。ほう。なるほど。

 確かに、ローカライズの過程であまりにもオリジナルのテイストを失ってしまっている日本ゲームもあって、一時はゲームをオリジナルでプレイするために日本語を勉強するんだ、って外人も多くいました。日本テイストを残しつつ、違う文化環境の中でも理解してもらうためのカスタマイズってことだから、ローカライズ、カスタマイズ、その後の“カルチャライズ”へって流れなんでしょうね。

 オリジナルテイストを残すことも差別化、と考えれば、やはり双方の文化を知っているローカライズ担当者の力量に頼ることになるよね。いずれにしても、ローカライズを「翻訳→翻訳インプリ&リージョン対応」って思ってる場合はとっても遠く通じないお話。

思い込みはおっそろしぃ

 ハニィもステレオタイプに物を述べるから責任を感じてるところもあるんだけど、怖いなって思うことがあって、欧米で売れるためには「こうでなければならない」的な思い込みがどうやら日本メーカーの中にあるみたい。最近そういう思い込みが制作者側にまで伝わっている様子。正しい思い込みならいいんだけどね……。

 TGSを機会に訪日したイケメン米国人が、日本人は「北米で売るためにはこうしなければならない、ってよく聞くけど、絶対なんてことは何もないよ」とさ。これはあくまでもテクニカルな話。もちろん日本語を英語に訳すとか、グラフィックの質がハイスペック機向けに要求されてるとかいう当たり前のことは含まれないけどね。

 テクニカルとは、キャラは絶対マッチョじゃなきゃダメとか、UIのパラメータは表示してはいけないとか、小手先のこと。「そんなのゲームが新規性に富んでて、ユーザーがおもしろいと思えればどうでもいいこと」とイケメン米国人は語ったんだよね。ステレオタイプのトレンドとして知っていればいいことであって、ゲーム性を検討する前にぐちゃぐちゃ小手先のテクニカルの入れ知恵をされて、その思い込みにひっぱられてゲーム性が損なわれてしまったらどうしようもない、って話なんですわ。確かに一理あるわ。

 欧米のゲームのトレンドを知ることは、欧米市場にへつらってゲームを作るためではなく、理解していいところを見る、差別化のもとにする、ってことなのよねん。

ハニィのあとがき 

 いろいろと雑多なお話になってしまいましたけど、いずれも海外の方から見たコメントをハニィなりにまとめてみたお話です。ハニィもどっぷり日本人なんで、考えさせられますわ、はい。

 そういえば、EAさんがまた大きなリストラを発表しました。2009年度(2009年4月〜2010年3月期)は10億ドル(900億円)の赤字見込ってのに加えて、4月〜6月期:2億3400ドル(211億円)の赤字、7月〜9月期:3億9100ドル(352億円)の赤字を既に報告していて、ワールドワイドで9000人弱のうち1500人、なんと17%をリストラするそうですが、今年2回目(前回は1000人)のレイオフ。EAと言えばジャイアントパブリッシャーの代名詞だったのに、何とも悲しいお話ですわ。

 と、書き終えようかなと思ったところに、「Call of Duty: Modern Warfare 2」が11月10日(火)発売から2日間で700万本(全世界)販売を達成したとのニュースが。これってGTAを超える超ビッグフランチャイズの出現ってことですよね……。恐るべし。Activisionもウハウハでしょうけど、景気は回復したんだわ、きっと、って思えるハニィでしたぁ。

くねくねハニィのプロフィール

1967年アメリカサウスダコタ生まれの日本人。

小学生からはゲームセンターに通いまくってやたら大きく育つ。

1990年に都内K大学を卒業後、大手ゲーム会社にて海外ソフト担当となり、2001年に退職。それ以降は自称フリーのゲームアナリストとして暗躍。暗躍しすぎたので名前を変えて表舞台に。くねくねと唐突に現れて「親父ギャグ」をかまして周りの人々のレベルを下げまくる。独特の語り口調ですが、もう慣れてくださいとしか言えません。言ってる中身は至極マジメなので。ちなみに「風来のシレン」が好物で、名前もそこから借用。なんだか公認してもらったそうです。

 それにしてもハニィさん、気がつくと海外にいるのでなかなかつかまらないっすね。さすが名は体を表す。


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