遊んでいる姿が楽しそうなのが大事――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(後編)(4/5 ページ)
ターゲットはあまり設定したことがない
河津 『New スーパーマリオブラザーズ Wii』は世界中で売れていて、昔のマリオが好きだった世代もそうではない世代もみんな熱狂的に遊んでいますが、老若男女を問わず遊べるものを作る秘けつはどこにあるんですか?
宮本 よく分からないんですよね。昔、ゼルダの伝説シリーズとかを作る時には、「差別や文化、宗教は国ごとに違うので触れない」と気にしていたのですが、あまり関係ないような気もしてきています。最近作っているものは、本当に素直に作っています。
よく、ゲームを考える時に「ターゲットは?」とか聞かれますよね。困るんですよね。ターゲットというのはあまり設定したことがないんです。「漢字が読める人しか遊べないのでこれでいいという考えで、ルビを付けるかどうかを決める」といった場合には必要なのですが、ターゲットってあまり考えたことがなくて、「いや、多いほどいいですよ」ということなんですよね。
確かに国民性によって相性があって、世界中で売るのは難しいというジャンルもあるとは思います。しかし、周りにあるものと比較して作るのではなく、その人の持っている魅力とか感じている面白さを何とか紹介しようということで作れば、あまりターゲットを意識しなくてもいいと思うんですよね。ただ、素直に作ろうと思うと、無理なことばかり降りかかってくるんですよね。周りから「それはおかしい」と言われたり。
周りにあるゲームに勝つものを作るのも大変なんです。しかし、周りのゲームを超えようということにエネルギーをかけるよりは、自分独自のものを無理に何とか形にする方にエネルギーをかけようとした方が効率的なんです。そういう風に考えて作っていると結構楽しいし、その楽しい状態になるといろんな国のことを考えたりする必要もないので、「自分たちが素直に面白いと思えるか」ということだけで作りますね。
具体的な話としては、ローカライズ※というものをしますよね。欧米で5〜6カ国、東南アジアを合わせて7〜8カ国のローカライズをします。そのローカライズをする人たちと20年くらい付き合いを続けてきて、ローカライズセンターみたいなものを作っています。昔は日本で作ったものを6〜10カ月遅れで米国で売り、そこからまた半年遅れで欧州で売っていたのですが、今は情報の流れが速いので「世界中で同時発売してくれ」と言われるんですね。
だから、世界中で同時に売れるように開発を進めるんです。開発者が日本人なのに、よく分からない英語やフランス語から作るという仕組みを確立することはあります。『New スーパーマリオブラザーズ Wii』だと、日本の発売が一番遅いんです(発売日は北米2009年11月15日、欧州11月20日、日本12月3日)。そういうところはありますが、作る内容ということに関してはあまりターゲットを考えないですね。
河津 ありがとうございます。自分もよく(「ターゲットを考えろ」と)会社に言われるので、「宮本さんも特別に考えていないと言っているから、自分も特別に考えない」と言おうかと(笑)。
宮本 いや、考えることもあります(笑)。日本ではやっているものと組む、というのはやらないです。日本ではやっているものと組んだら、日本でしか売れません。これは単純なことですから、グローバリゼーションとは関係ない話ですね。
だから、ちょっと生意気なのですが、昔から日本のアニメや漫画などと組んだことはほとんどないですね。好きなものがあったらたまに組むのですが、糸井重里さんと(『MOTHER』で)組む時も、“糸井重里さんというブランド”と組むのではなく、“糸井重里さんの物書きとしてのセンス”と組むと決めて、一緒に仕事をさせてもらいましたし、それは心がけていますね。(日本ではやっているものと組むと)海外に持っていく時、何の意味も持たなくなってしまい、かえってハンディキャップになったりするのでそれはしていません。
また、(世界での売り上げは)日本が1とすると、米国が2、欧州が1です。ところが、最近それが変わってきていて日本が1、米国が2、欧州も2になりました。つまり、日本で100万本売れるなら、世界では500万本売れるということです。500万本売ってくれると、次作るのが楽になります。だから、世界で売れるようなものを作った方が圧倒的に有利なので、あえて日本に絞ったものは作らないようにしています。
……たまにやっていますね(小声で)。いや、あるんですよ。「これは日本だけやね」と言って作ったもののあまりにも売れているので、「世界中に持っていこうよ」ということで持っていったものがいくつかあって、意外にうまくいった時があるんです。典型はポケモンですよね。
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