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GCテコ入れと開発力の強化を岩田社長が語る
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2003年8月8日 |
8月7日に都内のホテルで行われた「任天堂 経営方針説明会」での同社の現状報告。景気のいいGBAマーケットの報告に対して,GAMECUBEビジネスはやや苦しいことが見え隠れする。
「GCに関しては,昨年の年末商戦で期待したほどは販売を伸ばすことができず,昨年度は目標に到達できなかった。また,この第一四半期には過剰気味だった流通在庫を消費するということに重点をおいて,さまざまな販促活動を行ってきた」と岩田社長。
「任天堂からの出荷は8万台にとどまったが,流通在庫水準は適正なものに戻ったので,これからは店頭でのセルスルーとわれわれの出荷数が釣り合い,また年末の在庫がたくさん必要になってくる時期に向けては,われわれからの出荷が増えていく見通しだ」とし,セルスルー状況を見て年間目標の達成は十分可能であることも報告した。
もちろんその上で軸となるソフトが必要なのはいうまでもない。既報の通り「マリオカート」「ポケモンコロシアム」,GC版「メイドインワリオ」,ナムコとのコラボレート作品となる「ドンキーコング」,さらに「マリオパーティ」の新作,「ゼルダ」の新作(※発売は来年度)などの名前を挙げ,これらの注目タイトル群で年末にかけてGCを拡販していく考えを明らかにした。
GCの失速原因と新展開 「任天堂は,ゲーム機ハードを発売しているメーカーの中で最も強力な自社ソフト開発力を持つのが特徴」とした上で,どうして一昨年の発売時に上々の滑り出しを見せたGCが失速してしまったのか――,その原因を岩田社長自らが答えた。
まず「昨年の前半から半年以上にわたって,有力タイトルが出せなかった」と状況を分析。さらに「われわれの開発力の総合力が十分ではなく,競合他社のフリーソフトバンドルなどのさまざまな影響により,昨年は挽回しきれなかった」と続けた。
岩田氏は「任天堂は携帯型と据え置き型の2つのプラットフォームを持つので,その両方を中心的に支えていけるようなソフトを定期的に出し続ける必要がある。そういう意味では,自社開発力の強化はわれわれにとって最重要課題のひとつ」ということを,社長就任以来ずっと考えて取り組んできたという。
その開発力の強化の答えは,新設された東京の開発部門と,先月の半ばから開催している,学生対象の「任天堂ゲームセミナー」だ。一方で外部の開発会社を買収するという考えは否定的のようだ。岩田社長は,「われわれは基本的には企業買収で開発力強化するつもりはない。ソフト開発力の源泉というのは会社の中にいる人材であり,企業買収で買えるのは会社という入れ物だけだ。ソフト業界においては,企業買収という構造そのものが合わない」との見解を示した。
また,最近のコラボレーションにも触れ,「外部の力を有効に活用することは非常に重要。今後も世界中の開発者とのコラボレーションを積極的に仕掛けていきたい」とし,「任天堂の持つ知名度の高いキャラクター資産の活用や,クリエーター同士の混血や合作によって生まれる新しいアイデアなどによって,魅力的な商品ができるはずだし,それが魅力となってプラットフォームホルダーとしてのソフトメーカーの取り込み策にもなる」との考えを明らかにした。
同時に「このような形で生まれるゲームソフトは,ゲーム離れ現象が進んでいる市場に対して示すべき新しい魅力ある商品になる」と力説。ソフトメーカーの取り込みついては,「単純に経済条件を競争するということに明け暮れるのではなく,有力な自社開発陣がいるからこそ可能な手段を投じていく,というのが任天堂の基本方針」とまとめた。
[SOFTBANK GAMES]
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