第13回:「隠れキャラ」に隠された、プレイヤーをゲームのとりこにするヒミツ(つづき):なぜ、人はゲームにハマルのか?(3/5 ページ)
さらに面白いのが、「グーニーズ」の4面に登場する「隠れキャラ」のビックバイパー。その正体は、コナミを代表するシューティングゲームの人気シリーズ「グラディウス」の自機……なのですが、実は「グーニーズ」の発売当時はファミコン版の「グラディウス」はまだ発売されていませんでした(※)。つまり、自社の次回作を宣伝する役割として「隠れキャラ」を利用していたというわけです。これのおかげで、「ファミコン版『グラディウス』の発売日っていつだっけ?」などとソフトの存在が気になったという人も少なからずいたのではないでしょうか? なお蛇足ながら、かく言う筆者も発売日に「グラディウス」を買った一人です(笑)
また、今回は写真をご用意していませんが、上記以外にもデータイーストのファミコン用ソフトでは通称volマークと呼ばれる「隠れキャラ」が「B-WING」「バギーポッパー」など複数の作品にまったく同じデザインで登場していました。このvolマークの存在を今でも知っているという人は、きっと当時から相当の「隠れキャラ」事情通だったことでしょうね(イヨッ、隠れキャラ博士〜ッ!)。
まだまだあります! 「隠れキャラ」を巧みに利用したブランディング戦略あれこれ
ここからは「隠れキャラ」を利用して、とりわけ当時の少年・少女たちにキャラクターだけでなく、メーカー自体の存在をより身近なものにすることに成功した(と、思われる)例を見ていくことにしましょう。
もっとも分かりやすい例は、ハドソンが1986年に発売したファミコン用アクションゲームの「高橋名人の冒険島」になるでしょう。本作では、途中でゲームオーバーになった後ステージから再開できるコンティニューができるようにするためには、1面の終盤にある「隠れキャラ」をあらかじめ取っておくことが必須条件となります。
ところで、このコンティニューを可能にする「隠れキャラ」はいったいどんなデザインだったのか、本作を当時プレイした経験のある人であれば今でもおそらく覚えていらっしゃるのではないでしょうか? そうです、その「隠れキャラ」の正体は、他でもないハドソンのシンボルキャラクターである蜂のハチスケでした。当時からテレビCMでもおなじみだったハチスケを、ゲームの中で大きな役割を果たす「隠れキャラ」としても登場させることで、当時の子どもたちはハドソンという社名は容易に忘れることができない単語なったハズです(もちろん筆者もその一人でした)。
また、前述したコナミのファミコン用アクションゲーム、「キングコング2」に登場するコナミマン太郎も非常にユニークな仕掛けを施した「隠れキャラ」です。本作では特定の場所にある障害物を破壊するとコナミのシンボルマークが出現するようになっていて、さらにこれを取ると画面外からコナミマン太郎が飛んで来て、見事キャッチできれば主人公のキングコングの体力が全快するという仕組みになっていました。早速、ご用意したムービーでその凝った作り込みぶりをぜひご覧になってみてください!
実はこのシンボルマーク、同社のホームページによると1986年8月にデザインを新しくしたものですが、本作はこのマークに変えてから最初に発売されたファミコンソフト(※1986年12月18日発売)にあたります。つまり、「隠れキャラ」としてシンボルマークを登場させることによって、ユーザーに対して自社ブランドの認知度向上を図るという狙いがあったものと推測されます。
ちなみに、今回のところは写真をご用意できませんでしたが、東映動画(現:東映アニメーション)が1986年に発売したファミコン用シューティングゲーム「バルトロン」でも、会社のシンボルマークである帽子をかぶったネコ(通称:ペロマーク)が「隠れキャラ」として登場するアイデアを取り入れていました。
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