創業者の想いを受け継ぐ、パナソニック サイクルテックの電動アシスト自転車「ビビ」売れるのには理由がある(2/2 ページ)

» 2011年10月12日 14時27分 公開
[種子島健吉,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

知っていて、知らない「電動アシスト自転車」

 販売好調の電動アシスト自転車だが、自転車協会の調査によると2010年の年間販売台数は約38万台である。通常の自転車が約950万台なので、その規模に比べるとまだまだこれからの製品だ。

画像 2トントラックを改造した特注の「電動アシスト自転車 試乗体感キャラバンカー」は、荷台を展開することで坂道を出現させてしまう大がかりなもの。高低差のないグラウンドのような場所でも、坂道試乗体験ができる

 それに関して三宅氏は、だいたいの日本人がすでに電動アシスト自転車という言葉は知っているとしたうえで、「知識として知っていても、乗ったことがなければ本当に知っていることにならない」と言う。

 そのため試乗会などでは、ペダルをこがないと進まないことに驚く女性や、坂道での快適さに「オォー!!」と雄叫びを上げて驚愕する男性すらいる。

 メーカーでも「実際に乗ってみなければ良さが分からない製品」であるという点は大いに問題だと考えており、6台の「電動アシスト自転車 試乗体感キャラバンカー」を用意して日本全国で試乗イベントを開催。より多くの人に「体感」してもらえるよう力を注いでいる。

震災、エコ、健康、今こそ求められている製品

 大震災の影響でガソリンの供給が危ぶまれ、通勤需要でクロスバイクタイプの電動アシスト自転車の販売台数が伸びた。万が一、公共の交通機関が止まってしまったときでも強い味方ということだ。

 電動アシスト自転車は、約10円の充電コストで50キロメートル走行できるほど省エネルギーであり、ヤマト運輸、富士ゼロックス、郵便局、交番などでも使用されている。これはコストの削減だけでなく、環境に配慮しているとして企業や組織のイメージアップに寄与する面も大きい。

 電動アシスト自転車は、モーターユニットのアシスト力と人間がこぐ力との比率の上限が2:1までで、時速10キロメートルになるとアシスト力がだんだん弱まっていき時速24キロメートルで切れるという仕組みなため、心肺や関節などに過剰な負担をかけずに有酸素運動が可能という側面もある。社会的情勢、消費者の気分をかんがみて、現在これだけ望まれている製品はないのではないか。

 パナソニックではこのような追い風を感じつつも、今後はユーザーの「もっと長距離を走れないのか?」「もっと車体が軽くならないのか?」「もっと価格が安くならないのか?」という声に応えなければならないと考えている。

 その1つ目の回答として、2011年12月1日に最上位モデルに16Ah(アンペアアワー)の大容量リチウムイオンバッテリーを搭載する「ビビチャージ」の発売も予定している。

 また以前は「昔カタギの自転車職人」といった男性社員ばかりだったが、最近はデザイン部門に女性社員も増えており、彼女らが企画した女性向けの車種が好評という。そのため、カラーリングやデザイン面などで、よりチャレンジした車種を発売しようという気運が高まっているという。

画像 乗ったまま充電できる回生充電機能、自動で節電走行できるエコナビ機能、16Ahバッテリー搭載の最上位モデル「ビビチャージ」ならば、平地充電モード時に約160キロメートルの走行が可能(現在の最長走行距離モデル、リチウムビビRX-10Sはエコモード時で約97キロメートルの走行が可能)

画像 女性社員のプロジェクトチームと、女性ファッション誌 InRedのコラボレーションによって大人の女性に好評を博した「A.girl's(エーガールズ)」。黒系や白系など落ち着いたものになりがちだったパナソニック自転車のカラーリングに、女性が真に求めるカラーを加えることに成功した

 今回の取材では、日本の製造業の強さ、製品の良さを、「技術力」であるとか「品質の高さ」という部分で感じることができた。

 とかく製品のリーズナブルな価格設定だけが話題となりがちな昨今、ともすれば技術力や品質の高さという点ではもう安い他国製品に太刀打ちできないなどと自虐的ともとれる意見も聞かれる。

 そいった時勢に、ちょっと前までは日本製品を語る際に常套句だった「技術力」「高品質」という言葉を、再び日本製品の形容として用いることができるのは何よりうれしいことだと思う。

画像 パナソニック電動アシスト自転車の最高峰モデル「チタンフラットロードEB」。フレームには、軽量かつ振動吸収性に優れるが加工の難しいチタンが使われている。チタンが高価な素材のため、価格は58万5千円〜69万9千円(カスタマイズオーダーの違いにより増減)

※パナソニックの自転車製造販売部門は、社名の変更などで時期により名称が変わっていますが、本稿では便宜上、「パナソニック」あるいは「パナソニック サイクルテック」で統一させていただきました。
前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

先週の総合アクセスTOP10
  1. 生後2カ月の赤ちゃんにママが話しかけると、次の瞬間かわいすぎる反応が! 「天使」「なんか泣けてきた」と癒やされた人続出
  2. 車検に出した軽トラの荷台に乗っていた生後3日の子猫、保護して育てた3年後…… 驚きの現在に大反響「天使が女神に」「目眩が」
  3. 安達祐実、成人した娘とのレアな2ショット披露 「ママには見えない!」「とても似ててびっくり」と驚きの声
  4. 兄が10歳下の妹に無償の愛を注ぎ続けて2年後…… ママも驚きの光景に「尊すぎてコメントが浮かばねぇ」「最高のにいに」
  5. “これが普通だと思っていた柴犬のお風呂の入れ方が特殊すぎた” 予想外の体勢に「今まで観てきた入浴法で1番かわいい」
  6. 「虎に翼」、新キャラの俳優に注目が集まる 「綺麗な人だね」「まさか日本のドラマでお目にかかれるとは!」
  7. 「葬送のフリーレン」ユーベルのコスプレがまるで実写版 「ジト目が完璧」と27万いいねの好評
  8. お花見でも大活躍する「2杯のドリンクを片手で持つ方法」 目からウロコの裏技に「えぇーーすごーーい」「やってみます!」
  9. 弟から出産祝いをもらったら…… 爆笑の悲劇に「めっちゃおもろ可愛いんだけどw」「笑いこらえるの無理でした」
  10. 3カ月の赤ちゃん、パパに“しーっ”とされた反応が「可愛いぁぁぁぁ」と200万再生 無邪気なお返事としぐさから幸せがあふれ出す
先月の総合アクセスTOP10
  1. フワちゃん、弟の結婚式で卑劣な行為に「席次見て名前覚えたからな」 めでたい場でのひんしゅく行為に「プライベート守ろうよ!」の声
  2. 親が「絶対たぬき」「賭けてもいい」と言い張る動物を、保護して育ててみた結果…… 驚愕の正体が230万表示「こんなん噴くわ!」
  3. 水道検針員から直筆の手紙、驚き確認すると…… メーターボックスで起きた珍事が300万再生「これはびっくり」「生命の逞しさ」
  4. フワちゃん、収録中に見えてはいけない“部位”が映る まさかの露出に「拡大しちゃったじゃん」「またか」の声
  5. スーパーで売れ残っていた半額のカニを水槽に入れてみたら…… 220万再生された涙の結末に「切なくなった」「凄く感動」
  6. 桐朋高等学校、78期卒業生の答辞に賛辞やまず 「只者ではない」「感動のあまり泣いて10回読み直した」
  7. 「これは悲劇」 ヤマザキ“春のパンまつり”シールを集めていたはずなのに…… 途中で気づいたまさかの現実
  8. 「ふざけんな」 宿泊施設に「キャンセル料金を払わなくする方法」が物議 宿泊施設「大目に見てきたが厳格化する」
  9. がん闘病中の見栄晴、20回以上の放射線治療を受け変化が…… 「痛がゆくなって来ました」
  10. 食べ終わったパイナップルの葉を土に植えたら…… 3年半後、目を疑う結果に「もう、ただただ感動です」「ちょっと泣きそう」