ファンの期待に応えるための「Kickstarter」という選択 『リトルウィッチアカデミア2』のスタジオトリガー ロングインタビュー[2/3]
「本当に予想のできないことばかり」――クラウドファンディングによる「リトルウィッチアカデミア2」の制作資金調達について、スタジオトリガーが反響のすごさなどを語った。

インタビュー第1回はこちら
――前例として、湯浅政明監督の『Kick-Heart』と吉浦康裕監督の『イヴの時間』が「Kickstarter」で制作費を集めることに成功していたことも、トリガーが「Kickstarter」を利用するのに影響をあたえたのでしょうか。
大塚 舘本から「kickstarter」についての相談を受けた時、日本のアニメの過去事例を調べ、今あがった2つの作品に行き当たりました。個人的には特に、『Kick-Heart』の湯浅監督の作品が好きで、出資を企業から募って制作するという、今までのアニメのビジネスモデルとは違うやり方で一タイトルが完成されているのを知り、「こういう風にアニメを作れたら良いな」と刺激を受けました。時に、スポンサーがつきやすい企画、そうでない企画はどうしても出てきてしまいますが、作る側としては、どちらも作りたいという思いに変わりはありません。商業的な成功とアニメの面白さは必ずしも一致するわけではないので、クラウドファウンディングという新しいシステムを使って、ビジネスとしては難しくとも、意義のあるアニメの制作に取りかかれるというのは非常に魅力的でした。
――1万ドル支援された方への特典が、トリガーの社屋を訪問してスタッフと食事をしたり、フィギュアメーカーのグッドスマイルカンパニーを訪問できる旅行の権利である点も話題となりましたが、こちらはどのような経緯で決まったのでしょうか。
舘本 「Kickstarter」は企画を立ち上げる際、すべて支援金額とセットになる特典を定めなければならないんです。そのため、『Kick-Heart』の事例を参考にさせていただきながら、グッドスマイルカンパニーの方と事前に話し合って決めました。
大塚 まさか、全プランの中で、一番最初に1万ドルの支援プランが売り切れるとは思ってもいませんでした。本当に予想のできないことばかりです(笑)。
――そういったファンからの支援もあり、一日もたたずに目標の15万ドルを達成されたのですが、その結果についてはどのように思われていますか。
大塚 5時間で達成してしまうというのは、私どもとしても本当に想定外でした。すでに『リトルウィッチアカデミア』を発表しており、YouTubeでも世界の方々に楽しんでいただけている。作品についてのファンもいる。そういった土台があった上での挑戦だったので、ファンの方から支援を頂きやすいのではないかという期待はしていました。しかし一方では、企画した当初から、目標金額に達成しないこともあり得ると心配もしていました。まさに、やってみなければ分からない、という感じでしたね。良い意味で想定外の結果となり、本当に安心しています。
――これだけの支援があったのですから、ファンからの反応も相当のものだったのではないですか。
大塚 すごい数のメールが届きました! そのあたりは、実際に対応した舘本本人が話したほうが良いと思います。
舘本 「Kickstarter」の企画を立ち上げる際、社内的にも、グッドスマイルカンパニーの方との話の流れからも「窓口は舘本さんに任せます」と言われていて、僕自身も気軽に「大丈夫です」と答えていたんです。けれど、安請け合いはするべきではなかったなと思いました(笑)。
――具体的に、どれくらいのメールが来たんですか。
舘本 初日で2500通ほど、トータルで約1万通のメールをいただきました。
――それをひとりですべて対応されたんですか!?
舘本 対応しました。今回、「Kickstarter」でファンからの支援受付をスタートした時、僕らはまだロサンゼルスにいたんです。ちょうどアニメ・エキスポの打ち上げパーティに参加している最中だったのですが、その最中に15万ドルを達成してしまって……。パーティで仲間と一緒にお酒を飲んでいた時に、友だちから「Kickstarter、達成おめでとう」と電話をもらったときは、最初冗談だと思いましたね。そんなに早く達成することは想定していなかったので、あわててホテルに帰り、メールの対応をし始めたのですが、数が膨大で、すべての方へ返信をさせていただくのに丸二日はかかりましたね。
――凄い反響だったんですね! 日本に残られた舛本さんにお聞きしたいのですが、これだけ外国の方からの反応があったということは、日本でもいろいろな反響があったのではないですか。
舛本 ありましたね。反応のタイミングとしては、「Kickstarter」でファンからの支援受付を始めた時ではなく、達成してそれがニュースになってからでした。もらったコメントで多かったのは「なんか『Kickstarter』というのをやって成功したらしいね?」でした(笑)。「何かをして、何かが起こった」ということは知っているようだったのですが、「Kickstarter」が何か、とか達成したものが何なのかはあやふやな感じでしたね。でも、それがリアルな反応だと思うんですよ。「Kickstarter」およびクラウドファンディングの認知度はまだまだ日本では低いんです。その具体的な仕組みは、トリガーとして取り組むまでは僕自身も知らなかったですし、そういった意味で、もらった反応は、すごく現実味があるものだったと思うんです。
――「自分も『Kickstarter』に挑戦してみたい」といった相談はもらいましたか。
舛本 プライベートで数件ありました。今回の企画に携わった人間として話を聞かせてほしい、と相談されましたね。
――日本国内にもクラウドファンディングサービスはあるのですが、アメリカの「Kickstarter」を選ばれたのは、会社としてトリガーはもっと外国に出て行こうという方針のあらわれでしょうか。
大塚 日本国内と国外を分けてアニメを作るつもりはありません。日本でも東京にいるファンと地方にいるファンでは、取り巻く環境が違ってきます。都内のほうがアニメのイベントは多いですから参加しやすい、一方で地方のファンは参加するのが難しかったりします。けれど、作品を愛するファンの思いは変わらない。同じ事が、外国のファンでも言えると思うんです。地理的条件で、どうしても作品と強く関わることができない。外国のファンの、「日本のファンはいいな」という思い、何かの形で作品につながりたいという願いが形を変えたものが、YouTubeやTwitterでいただいた「Kickstarterやりましょうよ」という言葉だったのだと思います。それなら、その声に応えたい、外国の方も参加できる場を作りたいという思いで「Kickstarter」に参加しました。ですので、戦略的に「国外に出て行こう」と決めたというより、すでに外国にもファンがいて、その人達から求められる形で今回の企画が実現したという流れですね。
――確かに、すでに外国に『リトルウィッチアカデミア』のファンがいた、ということが「Kickstarter」での成功に、間違いなくつながっていると思います。
大塚 そうですね。現在、娯楽といえば数えきれないほどのものが手に入る中で、アニメを選んでもらう、さらにその中で『リトルウィッチアカデミア』を選んでもらうといことが、以前よりも難しくなってきていると思うんです。そんな情勢の中では、日本国内だけにとどまるよりも、トリガーの作品だけにとどまらず、日本のアニメ自体を見てくれる層を増やすために外に出て行きたいと思っています。当たり前のことですが、アニメ制作もビジネスとしてやっていることなので、お金が出なければ作品は作れないんです。今のクオリティーになるまでアニメを育ててくれた日本国内のファンのため、日本のアニメ産業を存続させるため、外国のファンを増やして、より多くの力でアニメ業界を支えていくことは不可欠だと考えています。→第3回へ
英文:Answering Fans’ Wishes with Kickstarter: Studio Trigger (“Little Witch Academia 2”) Interview [2/3]
関連記事
アニメ「リトルウィッチアカデミア 2」の資金募集が60万ドル以上を集めて無事終了
当初目標の15万ドルを大幅に超える成功を収めました。海外ファンの実写版「ファイナルファンタジーVII」プロジェクト Kickstarterで資金募集中
ハリウッド映画に携わったスタッフを擁するプロジェクトチームで、FFVIIの本格的な実写Webシリーズを目指しています。ゲームの中で撃たれた感触、体で感じる 振動機能つきスーツ開発中
スピーカーや振動フィードバックシステムを組み込んだスーツ「ARAIG」を着れば、ゲームを「体で」感じられる。「イヴの時間」英語字幕版Blu-ray化を目指すプロジェクト 24時間で目標額1万8000ドルを突破
さらに英語吹替え版を製作するとして5万ドルを設定し、現在の出資額は6万6000ドルを超えている。日々是遊戯:ピーター・モリニューの実験作「Curiosity」ついにクリアされる 結局「人生を変える秘密」って何だったの?
褒美として神になる権利をやろう(本当)。
© Tokyo Otaku Mode Inc.
コメダ珈琲店で朝、ミックスサンドとコーヒーを頼んだら…… “とんでもない事態”に爆笑「恐るべし」「コントみたい」
最初に軽く結ぶだけで…… 2000万再生された“マフラーの巻き方”に反響「これは使える」「素晴らしいアイデア」【海外】
「14歳でレコ大受賞」 人気アイドルがセクシー女優に転身した理由明かす 家族、メンバー、ファンの“意外な反応”
9歳で絵を描き始めた少年→18年後…… 大人になって描いた絵が「信じられない!!」「驚きすぎて息ができない」【海外】
サイゼリヤ、メニュー改定で“大人気商品”消える 「ショック」悲しみの声……“代わりの商品”は評価割れる
家賃1万円台で暮らす夫婦、アルミ弁当箱につめる夕食は…… ジブリ映画のような温かい食卓に「幸せは、これなんよ」
「ひどい……」 ディズニーランド、人気グッズ発売日に人殺到で“地獄絵図” 「通勤ラッシュ並」「阿鼻叫喚」 完売で高額転売も
「デパ地下の味」 バレンタインでロッテ「青いガーナチョコ」に人気殺到…… 店では“売り切れ“、転売も続出
高校最後のお弁当、ふたを開けた“中身”が700万表示 胸がぎゅっとなる光景に「涙腺にきた」「おかあさーんっっっつ」
「あまりに平野紫耀×真剣佑」 “ハイブリッド顔”の21歳のアイドルが話題に 元メンバーはタイプロ出演中
- パパに抱っこされる娘、13年後の成人式に同じ場所とポーズで再現したら…… 「お父さん若返った?笑」「時止まってる」2人の姿に驚き
- 古いバスタオルをザクザク切って縫い付けると…… 目からウロコの再利用に「すてきなアイデア」【海外】
- 14歳のとき、親友の兄と付き合うことになった女性→13年後…… “まさかの結末”に「韓国ドラマみたい」【海外】
- リンゴを1年間、水の中で放置→顕微鏡で見てみたら…… 衝撃の実験結果に「これはすごい」「息をのみました」【海外】
- 海釣り中、黒猫に「ちょっと来い」と呼び出された釣り人 → 付いて行くと…… 運命のような保護から2年、飼い主に話を聞いた
- “駐車場2台分”の土地に、建築家の夫が家を建てたら…… “とんでもない空間”に驚き「すごい。流行る」
- 「なんだこの暗号は……」 マクドナルドの“大人だけが読めるメッセージ”が410万表示「懐かしい〜」「読める人同世代w」
- 着陸する戦闘機を撮ったはずが…… タイミングが絶妙すぎる1枚に「一部の専門家には貴重な一枚」 投稿者に話を聞いた
- ズボラ母が5人分サンドイッチを爆速で作ったら…… 目からウロコの時短テクと美しい仕上がりに「信じられない」
- 【今日の計算】「7−2×0+9」を計算せよ
- ドブで捕獲したザリガニを“清らかな天然水”で2週間育てたら…… 「こりゃすごい」興味深い結末が195万再生「初めて見た」
- 「配慮が足りない」 映画の入場特典で「おみくじ」配布→“大凶”も…… 指摘受け配給元謝罪「深くお詫び」
- 母「昔は何十人もの男性の誘いを断った」→娘は疑っていたが…… 当時の“モテ必至の姿”が1170万再生「なんてこった!」【海外】
- 風呂に入ろうとしたら…… 子どもから“超高難易度ミッション”が課されていた父に笑いと同情 「父さんはどのようにしてこのお風呂に入るのか」
- 母親から届いた「もち」の仕送り方法が秀逸 まさかの梱包アイデアに「この発想は無かった」と称賛 投稿者にその後を聞いた
- 市役所で手続き中、急に笑い出した職員→何かと思って横を見たら…… 衝撃の光景が340万表示 飼い主にその後を聞いた
- 「ごめん母さん。塩20キロ届く」LINEで謝罪 → お母さんからの返信が「最高」「まじで好きw」と話題に
- DIYで室温が約10℃変わった「トイレの寒さ対策」が310万再生 コスパ最強のアイデアへ「天才!」「これすごくいい」
- 「こんなおばあちゃん憧れ」 80代女性が1週間分の晩ご飯を作り置き “まねしたくなるレシピ”に感嘆「同じものを繰り返していたので助かる」
- 岡田紗佳、生配信での発言を謝罪 「とても不快」「暴言だと思う」「残念すぎ」と物議