艦これ提督的ウォーゲーム要務令「日本機動部隊」編:弓道部の艦娘と戦いたい提督は購入急げ!(2/2 ページ)
「零戦1機とはワイルドキャット2機で対戦しろ!」
練習シナリオの最後は、「翔鶴」「瑞鶴」姉妹と「エンタープライズ」「ヨークタウン」が戦う空母戦だ。それぞれ、輪形陣を組んだ空母部隊同士で、空母航空隊の運用と戦闘機を交えた空戦のルールを覚える。航空隊は空母の上で、格納庫にいる状態から武装して攻撃や上空護衛のため発艦していく。武装した状態で攻撃を受けるとミッドウェー海戦のように誘爆する危険もある。
空戦を対空砲火を受ける前に行うのも艦これの戦闘処理と共通する。このゲームでは、零戦は米軍の戦闘機「F4F ワイルドキャット」に対して圧倒的に強く、1枚のユニットを裏状態2枚に分割(9機編隊を5機と4機の部隊に分けるようなもの)して、その分割した裏ユニット1つと表状態のF4Fワイルドキャットがほぼ互角の戦いを展開するほどだ。ただ、その代わりというか、米軍には強力な対空砲火を有する戦艦(ノースカロライナやサウスダゴタとこれも艦これ提督にはおなじみの戦艦)や防空巡洋艦のアトランタ型が登場して、日本の攻撃隊をばったばったと撃墜する。
海戦は空母だけで決まるものではないことを知る
練習シナリオまでこなすと、いよいよ実際に太平洋戦争でおきた空母戦を再現するシナリオだ。歴史上初めての空母戦となった珊瑚海海戦に、空母4隻を失って日本海軍が大敗したミッドウェー海戦、艦これ秋のイベントのモチーフにもなったガダルカナル島をめぐる戦いでおきた第二次ソロモン海戦と南太平洋海戦と、それぞれの海戦で実際に参加した兵力と戦況を再現したシナリオで、艦隊を指揮して戦うことになる。
そのため、珊瑚海海戦では米空母部隊を撃滅して輸送船団をポートモレスビーに突入させなければならないし、ミッドウェー海戦では、敵の索敵機にほぼ確実に発見された状態で事前の計画通りに朝一番で敵基地攻撃を攻撃しなければならず、第二次ソロモン海戦と南太平洋海戦では、敵空母部隊とガダルカナル島の敵基地の両方を相手に戦って輸送船団を守らなければならない。さらに、このボードウォーゲームでは、複数の空母戦を行ってその総合ポイントで勝敗を決める、まさに艦これ秋イベントのような「キャンペーンシナリオ」や、史実の設定とは関係ない、日米海軍が総力で戦う“決戦シナリオ”も用意している。
空母戦をシンプルなルールで再現し、短時間で体験できる「日本機動部隊」は、現在日本で流通している唯一の空母戦ウォーゲームだ。オリジナル版の登場から30年を過ぎているが、2009年に国際通信社が再販した「ジャパン・ウォーゲーム・クラッシクス」シリーズ版が、国際通信社のアナログゲームオンラインショップ「a-game」のウォーゲーム>国際通信社で並ぶラインアップや、イエローサブマリン、書泉グランデといったゲームショップで購入できる。2013年夏からの艦これブームで販売数も増えているので、興味のある提督諸君はなるべく急いで購入しておくのが無難だ。
ボードウォーゲームにおいて実際にあった作戦を再現した状況で艦隊を指揮することで、空母戦は敵空母を沈めるだけではなく、空母部隊と戦艦主力の水上打撃部隊、陸上基地が連携して輸送船団をいかに守って目的地まで送り届けるのかが最終目標となることを身をもって経験できる。
それは、軍艦に関するたくさんの文献資料を読んだり写真や図面を見るより、ウォーターラインシリーズのプラモデルを1隻でも作るほうが、軍艦をより直感的に理解できるのと似ているかもしれない。ボードウォーゲームに“参戦”すると、海戦に関する文献資料を何冊も読み解く以上に、海軍作戦の“仕組み”を直感的に知ることができるはずだ。
艦隊これくしょんで、太平洋戦争の逸話に興味を持った提督の諸君には、ぜひ、このボードウォーゲームの世界に参戦して、逸話の意味を身を持って感じてもらえれば、と思う。
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