奇祭「かなまら祭」が記念撮影用の男根型モニュメントの自粛を発表 参加客の露出行為を受けて
男性器モチーフのおみこしで知られる「かなまら祭」で、祭りの本義を無視した行為が増えつつあるそう。
男性器をモチーフにしたおみこしが町を練り歩く奇祭として知られる、若宮八幡宮・金山神社(神奈川県川崎市)の例大祭「かなまら祭」。2015年は4月5日に催されたのですが、当日境内で発生したお客さんの露出行為を受け、2016年度は記念撮影用の男根型モニュメントを自粛することを同社が発表しました。
金山神社では性と鍛冶屋の神「かなまら様」を祀っており、毎年4月の第1日曜日に「かなまら祭」を開催しています。江戸時代に川崎宿の飯盛り女(娼婦)が行っていた商売繁盛と梅毒除けの願掛けを由来としたもので、しばらく途絶えていたところ1970年代に現代の形で復活。直立した男根型のご神体が3種類、上下に揺れながら町内を周遊するのが見もので、毎年境内だけでも約2〜3万人のお客さんが来場する人気の高い奇祭です(2013年開催のレポート記事)。
自粛が決定したモニュメントは、25〜30年前から境内にお祭り中設置されている、男根を模した2本の木像。おみこしとして担がれるご神体とは違い、来場者がまたがるなど直接触れて記念撮影できるので、撮影の順番待ちで長蛇の列ができる人気物の1つでした。
金山神社の担当者によると、今年のかなまら祭では2人が“祭りの本義を無視した露出行為”を行ったとのこと。警察や警備会社の協力を経て注意喚起をしても速やかに対応しなかったといいます。
1人はふんどし一丁の男性で、「着慣れていないためか締め方が緩く、局部が見えるかどうか際どかった」そう。担ぎ手ではないにも関わらずふんどし姿で、さらには周囲のお客さんをあおるといった悪ふざけも行っていたため、場内放送や直接の指導で着衣するよう主催側が求めましたが、「ふんどしなのにどうして」と反発し、すぐ協力に応じませんでした。
もう1人は、男性が局部を出している姿を係員が舞台上から発見。場内放送で注意するとすぐさまそれを仕舞い、人混みに消えていきました。「ネットの情報から本物の局部ではなく模造品だった可能性もありますが、本人を押さえられなかったため確認できませんでした」(担当者)。
「かなまら祭」では男性器のモチーフが目立つものの、本来は子孫繁栄(子授け)・安産・夫婦和合・縁結び・商売繁盛を祈願する祭。欧米では性器の崇拝が極めて難しいのもあって、エイズのお守りを求める同性愛者など、90年代から外国人が数多く参加するようになりました。4〜5年前までは国内よりむしろ海外で有名なお祭りで、お客さんもほとんどが外国人だったそうです。
3〜4年前からは国内でも注目が集まり、日本人客も多く訪れるように。同時に、脚光を浴びるのを狙ってパフォーマンスする芸人やネットアイドルなどの姿も増えてきました。もともと神社では警察から指導を得ながら、おみこしの担ぎ手に飲酒をさせないなど、祭を存続していくためあらゆる注意を払ってきました。近年増加していた悪ふざけや迷惑行為、無許可のパフォーマンスについても、許容しないことをアナウンスし続けています。
今回の措置に至ったのは、こうしたアナウンスをしてきたにも関わらず直接の注意がなかなか受け入れられなかったことに問題を感じたから。ふんどし姿の男性からは決定を知って謝罪の電話が来ましたが、自粛は取り下げず、来年度のお客さんの反応を見て再開を検討します。2017年のかなまら祭では男根型モニュメントの姿に、主催・参加者の絆をみたいです。
(黒木貴啓)
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