「おもむろに」を正しく使えない、すぐ「微妙」って言っちゃう…… 文化庁「国語に関する世論調査」の結果が興味深い
無意識に使いがちな言葉ってありますよね。
文化庁が全国16歳以上の男女を対象に実施した「平成26年度 国語に関する世論調査」の結果が公表されたのですが、その内容がなかなか興味深いものでした。「おもむろに」「小春日和」……、本来の意味で使えていますか?
「日本人の国語に関する意識や理解の現状について調査し、国語施策に役立てるとともに国民の国語に関する興味・関心を喚起する」という目的で実施されているこの調査。社会や家庭における言葉遣いの乱れなど、国語を巡る議論でよく見かける内容も掲載されています。
そのような調査結果の中、「私はきちんとした日本語を使っているよ!」と自負している方にも特に注目してほしい項目が。「慣用句等の意味・言い方について」です。
たとえば、「おもむろに」を「ゆっくりと」という本来の意味で使っている人は全体の44.5%、「不意に」という意味で使っている人は40.8%、わからないと回答する人は5.3%だったそうです。
年齢別で調査結果を見てみると。50代以下では「不意に」の割合が「ゆっくりと」の割合を上回り、40代以下では「不意に」の割合が6割台前半〜約7割となっています。しかしながら、高齢の方でも意味を勘違いしている方は少なからずいらっしゃるようで……、なかなか難しい問題です。
また、初冬の頃の穏やかで暖かな天気を表す「小春日和」や、つまらないものでも無いよりはましという意味の「枯れ木も山のにぎわい」も誤用している人が多くみられます。
さらに、「言い方の使用頻度について」の調査に関しても、なかなかドキッとさせられる結果が出ていました。「いいか悪いかの判断がつかないとき」に「微妙」と返答してしまうこと、ありますよね。友達同士のフランクな会話やSNSの中で、「とてもすばらしい(いい・おいしい・かっこいい)」を「やばい」の一言で済ませてしまうこともしばしば。やばい、この言葉遣い微妙だったんだ。
このように無意識の言葉遣いを指摘されてしまうと「ウッ……」と喉になにか詰まったかのように、会話しづらくなってしまいそうですが、やはり日ごろから少しでも“意識”して言葉を話すことが大切なのだと実感させられます。「言葉の乱れは、心の乱れ」という言い回しもあることですし、今一度自分が話している言葉について考えてみたいですね。
(高城歩)
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